クエン酸は、料理やお菓子作りのほか、掃除にも使われることが多い便利なアイテムです。食用以外では、掃除に加えて洗濯でも役立ちます。
クエン酸には汚れを落とす作用があるため、洗剤の代用品として使えるのです。さらに、使い方によっては柔軟剤の代わりにもなるといわれています。
今回は、柔軟剤の代わりにクエン酸を使う場合のメリットや使い方、注意点などを解説します。
クエン酸は柔軟剤の代わりに使える?
クエン酸とは、レモンなどの柑橘類や梅などに含まれる酸味の主成分で、酸性の白色結晶の物質です。一般的に、食品添加物としてさまざまな用途で使用されています。
また、アルカリ性の汚れを中和により落とす作用があるため、食用以外でも掃除や洗濯に使えます。
さらに、クエン酸には汚れを落とすだけでなく衣類のごわつきを抑える作用もあり、柔軟剤のような効果も期待できます。
洗濯物のごわつきは洗剤の残りカスが原因で発生するため、洗剤が弱アルカリ性の場合、クエン酸による中和でごわつきを防止し、柔らかくなります。
柔軟剤としてのクエン酸の使い方
クエン酸を柔軟剤の代わりとして使う場合は、2パターンの方法から選べます。洗濯槽にクエン酸の粉末を直接入れる方法と、柔軟剤投入口にクエン酸水を入れる方法です。
それぞれ入れるタイミングや入れ方が異なるため、作業しやすい方法を選ぶと良いでしょう。2パターンの方法に分けて、クエン酸の使い方を紹介します。
洗濯槽に直接入れる方法
粉末のまま、クエン酸を直接洗濯槽に入れる方法です。クエン酸は水に溶けやすいため、粉末を直接洗濯槽に入れても差し支えありません。
この方法では、入れるタイミングが重要です。柔軟剤としての効果を引き出すには、必ずすすぎの直前に入れましょう。
洗いが終わり、すすぎの水が注入される際に洗濯機を一時停止します。停止したら蓋を開け、クエン酸の粉末を洗濯槽に入れてください。その後、運転を再開します。
洗濯中にタイミングを見て入れなければならない点は、デメリットに感じるかもしれませんが、粉末のまま使用できるためクエン酸水を作る手間が省けます。
柔軟剤投入口に入れる方法
クエン酸水を柔軟剤投入口に入れて柔軟剤の代用とする方法です。
粉末のままでは使えないため、クエン酸水を用意し、柔軟剤投入口に入れて柔軟剤の代わりに使用しましょう。クエン酸を水に溶かしたものを作り、洗濯の最初に柔軟剤投入口に入れてください。
クエン酸水を作る手間はかかりますが、最初に入れられるため洗濯中にタイミングを見る必要はありません。洗濯を開始したら終了まで気にかける必要がない点が、メリットといえます。
柔軟剤として使うクエン酸の目安量
クエン酸を柔軟剤の代用品として使う場合は、水の量に合わせて使用量を調整しましょう。
明確な決まりはありませんが、目安としては、すすぎ水40リットルに対してクエン酸粉末を小さじ1杯使用すると良いでしょう。
クエン酸を柔軟剤の代わりに使用するメリット
前述のとおり、クエン酸には蓄積されたアルカリ性の洗剤カスを中和させる作用があり、ごわつきを解消するために役立ちます。
クエン酸は、「余分なものを取り除く」というシンプルな方法で洗濯物を柔らかくするのが特長です。そのため、市販の柔軟剤とは柔らかくするメカニズムが大きく異なります。
市販の柔軟剤の代わりにクエン酸を使うことには、ほかにもさまざまなメリットがあります。代表的なメリットについて見ていきましょう。
コーティング作用がないため吸水性に影響しない
商品にもよりますが、一般的な市販の柔軟剤には布地をコーティングする作用があります。コーティング作用がプラスに働くことも多い反面、タオルなどに使用すると吸水性が低下してしまう点がデメリットです。
そのため、タオル類への柔軟剤使用は推奨されていません。また、素材によってはコーティングが原因で衣類などの肌触りが低下してしまう場合もあるため、注意が必要です。
クエン酸には、アルカリ性との中和作用がありますが、コーティング作用はありません。タオル類をはじめ、コーティングがマイナスに働く素材の洗濯にも使いやすいです。
タオルの吸水性を下げずに柔らかくしたい場合は、クエン酸を使用してみると良いでしょう。
消臭効果が期待できる
クエン酸には、アルカリ性の臭い成分を中和する働きがあるため、柔軟剤として使えば消臭にも役立ちます。汗や皮脂の臭い、カビ臭などの中和・消臭に効果が期待できます。生乾きの臭いを予防したい場合にも使えます。
なお、クエン酸自体は無臭です。市販の柔軟剤には香りの強いものが多く、香りのないものを探している方もいるかもしれません。クエン酸は、無臭タイプの柔軟剤を求めている方にもおすすめできるアイテムです。
クエン酸を柔軟剤の代わりに使うときの注意点
柔軟剤の代用品としてクエン酸を使う際は、事前に知っておくべきことがあります。
クエン酸は、誤った使い方をすると柔軟効果が得られないだけでなく、洗濯物や洗濯槽を傷める場合もあるため注意が必要です。使用する前に、以下のポイントを押さえておきましょう。
目安量と入れるタイミングを守る
クエン酸を多量に入れ過ぎると濃度が高くなり、すすぎきれず洗濯物に残ってしまいます。洗濯物にクエン酸が付着したままになると、繊維を傷めたり硬くしたり、肌に刺激を与えたりすることがあるため注意が必要です。
さらに、金属製の洗濯槽や衣類の金属部分にクエン酸が残ると、サビや変色の原因になる可能性もあります。前述のとおり、すすぎ水40リットルにクエン酸粉末小さじ1杯を目安にし、多量の使用は避けましょう。
クエン酸を柔軟剤の代わりにするなら、必ず洗いが終わったタイミングで洗濯槽に入れる点も重要です。
洗いの前や途中で入れるとアルカリ性の洗剤と中和され、洗浄効果が妨げられてしまいます。タイミングを見るのが難しい場合は、クエン酸水を作って最初に柔軟剤投入口に入れる方法が良いでしょう。
市販の柔軟剤と併用しない・塩素系漂白剤と混ぜない
クエン酸は、柔軟剤の代わりに使用できるアイテムですが、ほかの柔軟剤と混ぜ合わせて使うことはできません。混ぜると双方の効果がなくなってしまうため、必ず単独で使用しましょう。
また、クエン酸を塩素系漂白剤と混ぜるのは厳禁です。混ざると有毒なガスが発生してしまいます。誤って混ざることのないよう、使用時には十分注意しましょう。
クエン酸水の作り置きは控える
前述のとおり、クエン酸を柔軟剤の投入口から入れたい場合は、粉末を水で溶かす必要があります。毎回混ぜ合わせるのは手間に感じるかもしれませんが、クエン酸を溶かした水の作り置きは推奨されていません。
クエン酸水の長期保存は、腐敗の原因になるため避けましょう。
とくに、柔軟剤の代用品として使用する場合は、衣類やタオル(洗濯物)に直接触れることになります。作り置きは控え、使用時に作ることが望ましいです。
なお、作り置きをしたい場合は、クエン酸水ではなく保存できる柔軟剤を手作りすると良いでしょう。
クエン酸と精製水、グリセリン、無水エタノールを混ぜ合わせ、好みで精油を加えれば簡単に作れます。
クエン酸は環境にも優しい!適切な方法で柔軟剤の代わりに使おう
クエン酸には、洗濯物に残ったアルカリ性の汚れや臭いを取り除き、柔らかくする作用があります。そのため、洗濯の際には柔軟剤の代用品として使うことができます。
クエン酸を柔軟剤の代わりに使用する場合は、目安量とタイミングを守ることが大切です。洗濯物や洗濯槽を傷めないためにも多量の使用は控え、効果を引き出すために適切なタイミングで加えましょう。
なお、柔軟剤の代用品としてクエン酸を使うことには、タオル類などの吸水性が維持されやすい、消臭効果が期待できるなど、さまざまなメリットがあります。
掃除だけでなく洗濯でも使用できるため、常備しておくと便利です。クエン酸の多様な使い方をチェックし、暮らしに役立てましょう。