加湿器を衛生的に使用したいが、どのように掃除したら良いのかわからない方も多いでしょう。「クエン酸で掃除できると聞いたが本当なのか?」と考えている方もいるのではないでしょうか。
クエン酸は加湿器の掃除におすすめです。安価で手に入れやすく、なかなか取れない水垢も落とすことができます。
今回は、加湿器が汚れる原因や汚れを放置すると起こること、クエン酸を使った加湿器の掃除方法、注意点などを紹介します。加湿器を良い状態で使用したい方はぜひ参考にしてください。
加湿器の汚れの原因
加湿器は、汚れが溜まりやすい家電製品の1つです。加湿器によって快適な環境作りをするなら、汚れの原因を知って適切に対処する必要があります。
加湿器の汚れの原因は以下のとおりです。
- ・水道水による水垢
- ・カビ・菌
- ・ほこり
それぞれの汚れが付きやすい箇所や、見た目の特徴などを詳しく紹介します。
水道水による水垢
水道水が蒸発すると、水に含まれているミネラル成分が残り、ざらざらとした白い粉のような汚れが発生します。加湿器の内部はもちろん、外部も水に触れる機会が多いので、水垢が付く可能性は高いです。
水垢が付いてからそれほど時間が経っていなければ、擦るだけで簡単に落とせるでしょう。しかし、水垢が蓄積すると、石のように硬くなり除去が難しくなります。
カビ・菌
加湿器のパーツは常に湿っているので、カビや雑菌が繁殖しやすいです。塩素消毒されている水道水でも、時間が経つと残留塩素は消失してしまいます。加湿器に発生するカビの種類は、赤カビや黒カビが一般的です。
加湿器を長期間掃除しなかった場合は、フィルター全体がカビてしまうこともあります。
また、トレイやタンクに発生するヌメリは、細菌をはじめとした微生物の集合体で「バイオフィルム」と呼ばれています。人体に有害なレジオネラ菌が繁殖する場合もあるので、注意が必要です。
ほこり
吸気口が付いているタイプの加湿器は、ほこりに注意しなくてはなりません。吸気口は空気とともにほこりも吸い込むため、フィルターには多くのほこりが吸着します。
ほこりは、布団や衣類などから出る繊維くずに、ダニのフンや死骸、花粉、食べかすといった小さなゴミが混ざったものです。ほこりはカビのエサになるので、カビの繁殖原因にもなります。
加湿器の汚れを放置して起こること
加湿器の掃除をしないと、せっかくの加湿器の機能が生かされないだけでなく、身体への悪影響を及ぼす可能性もあります。
加湿器の汚れを放置して起こることは、以下のとおりです。
- ・加湿器の性能が落ちる
- ・加湿器からカビ・菌が放出される
それぞれの状態について詳しく解説します。
加湿器の性能が落ちる
加湿器の吸気口に付いたほこりをそのままにすると、ほこりで目詰まりを起こし、十分な空気を取り込めなくなります。
空気の流れが妨げられると、加湿器の効率が低下し、適切な湿度を保つのが難しくなります。また、送風音が大きくなることもあります。
吸気口のほこりは、こまめに掃除機で吸い取りましょう。フィルターが取り外せて、水洗いできるタイプもあります。説明書の指示に従って掃除するようにしましょう。
加湿器からカビ・菌が放出される
加湿器のフィルターやタンクにカビや菌が増殖すると、加湿器から送られる空気や蒸気にカビや菌が混ざり、部屋全体に放出されます。
カビ菌が部屋全体に充満すると部屋が臭くなるばかりか、部屋にいる方は必然的にカビや菌を吸い込むことになり、アレルギー疾患を発症する可能性もあります。
なかでも、レジオネラ菌の増殖には注意が必要です。レジオネラ菌が増殖すると、レジオネラ症と呼ばれる重度の肺炎を引き起こすこともあり、厚生労働省でも注意喚起しています。
とくに高齢者や新生児など、免疫力が低い方がいる家庭では、加湿器の衛生面を重視しましょう。
加湿器の掃除にはクエン酸の使用がおすすめ
加湿器の掃除には、クエン酸の使用がおすすめです。クエン酸とは柑橘系の果物や梅干しに含まれる酸性の成分です。
加湿器につく汚れの1つ「水垢」はアルカリ性のため、酸性のクエン酸で中和すると汚れが落ちやすくなります。
クエン酸には、除菌効果や臭い消しの作用もあります。また、安全性が高く安価で手に入りやすいのもクエン酸の魅力です。
クエン酸を使った加湿器の掃除方法
クエン酸を使った掃除がおすすめの加湿器のパーツは以下のとおりです。
- ・タンク
- ・加湿フィルター
- ・トレイ
それぞれのパーツの掃除方法を詳しく紹介します。
タンクの洗い方
タンクの水垢にはクエン酸が効果的です。クエン酸を使った掃除方法は以下のとおりです。
- 1.クエン酸水を作る(40℃程度のぬるま湯4リットルに対し、クエン酸25グラムを溶かす)
- 2.タンクをクエン酸水に30分~2時間ほど浸ける
- 3.ブラシやスポンジで軽く擦る
- 4.クエン酸が残らないように水道水ですすぐ
クエン酸の効力により、こびりついた水垢が落としやすくなります。タンクの日常的な掃除には、クエン酸を使用する必要はありません。掃除方法は以下のとおりです。
- 1.タンクに残っている水を捨てる
- 2.少量の水を入れて蓋をし、タンクを振る
- 3.入れた水を捨てる
- 4.目立つ汚れがある場合は、ブラシやスポンジで軽く擦る
毎日タンクを掃除することで、タンク内に菌やカビが繁殖するのを防止できます。
加湿フィルターの洗い方
水垢による加湿フィルターの目詰まりを解消するには、クエン酸を使いましょう。掃除方法は以下のとおりです。
- 1.クエン酸水を作る(40℃程度のぬるま湯4リットルに対し、クエン酸25グラムを溶かす)
- 2.フィルターをクエン酸水に30分~2時間ほど浸ける
- 3.軽く押し洗いをする
- 4.クエン酸が残らないように水道水ですすぐ
加湿器から出る蒸気が臭う場合は、加湿器専用洗剤または中性洗剤を使ってフィルターを洗ってください。
目立った汚れがない場合は、月に1回ほどの頻度でフィルターを水またはぬるま湯に浸け、軽く押し洗いしましょう。
トレイの洗い方
トレイに水垢がついた場合は、クエン酸を使って掃除しましょう。掃除方法は以下のとおりです。
- 1.クエン酸水を作る(40℃程度のぬるま湯4リットルに対し、クエン酸25グラムを溶かす)
- 2.トレイをクエン酸水に30分~2時間ほど浸ける
- 3.ブラシやスポンジで軽く擦る
- 4.クエン酸が残らないように水道水ですすぐ
目立つ汚れがない場合は、水洗いでも構いません。細かい部分には、綿棒を使用すると良いでしょう。ヌメリが気になるようであれば、重曹(炭酸水素ナトリウム)を使った漬け置き洗いがおすすめです。
加湿器の掃除にクエン酸を使う際の注意点
加湿器の掃除にクエン酸を使うなら、以下の点に注意する必要があります。
- ・加湿器の取扱説明書を確認する
- ・クエン酸水の濃度・漬け置き時間を守る
それぞれの注意点について詳しく解説します。
加湿器の取扱説明書を確認する
加湿器を掃除する際には、必ず取扱説明書のメンテナンスについて記載されたページを確認しましょう。
確認事項は以下の2つです。
- ・クエン酸を使用しても問題ないかを確認する
- ・パーツの取り外し方法を確認する
クエン酸は加湿器の掃除に適していますが、全ての加湿器に使用できるわけではありません。取扱説明書でクエン酸が使用可能かを確認しましょう。
取扱説明書にクエン酸についての記述がない場合は、指定の方法でメーカーに問い合わせてください。
また、パーツを取り外す際にも取扱説明書での確認が必須です。無理やりパーツを取り外すと、破損や故障の原因になります。
クエン酸水の濃度・漬け置き時間を守る
加湿器の汚れがひどい場合でも、クエン酸水の濃度や漬け置き時間は変えないようにしましょう。
クエン酸の濃度が高すぎたり、漬け置き時間が長すぎたりすると、パーツにダメージを与える可能性があります。クエン酸での掃除方法が記載されている場合は、説明書に従って掃除をしましょう。
1度で汚れが落ちなかった場合は、日を置いてから再度掃除してみてください。繰り返し洗浄することで汚れが落ちていくこともあります。
加湿器を清潔に保つためのポイント
加湿器を清潔に保つためには、こまめな手入れや適切な加湿器選びが必要です。以下のポイントを押さえて加湿器を利用しましょう。
- ・加湿器のタンクの水は毎日交換する
- ・フィルターやトレイは月に1回掃除する
- ・長期間使わない場合はパーツをよく乾燥させる
- ・掃除のしやすさを重視して加湿器を選ぶ
それぞれのポイントを詳しく解説していきます。
加湿器のタンクの水は毎日交換する
加湿器のタンクの水の雑菌は、1~3日ほどで繁殖します。雑菌はもともと自然界に存在するものが多く、そもそもの混入を防ぐのは難しいです。
雑菌を加湿器内で繁殖させないためには、タンクの水を毎日交換する必要があります。水が残っていたとしても注ぎ足しはせず、新しい水に入れ替えてください。水を交換する際には、タンクを水で軽く洗いましょう。
また、タンクには、必ず水道水を入れることも重要なポイントです。水道水には塩素が含まれており、ある程度雑菌の増殖を防げます。
ミネラルウォーターや浄水器で処理した水には塩素が含まれていないため、菌やカビが増殖するリスクが高まるので注意しましょう。
フィルターやトレイは月に1回掃除する
フィルターやトレイは、月に1回のペースで掃除をしましょう。加湿器の取扱説明書にお手入れの頻度が記載されていれば、記載内容に従ってください。
一方で、月に1回のメンテナンスを忘れてしまう可能性もあります。「スマートフォンのリマインダーを利用する」、「カレンダーにメモをする」など忘れない工夫をするのがおすすめです。
とくに毎日加湿器を使用する場合は、月に1回の掃除を推奨します。ただし、加湿器を2~3日使わなかった場合は、水が触れる部分の掃除をしてから使用しましょう。
長期間使わない場合はパーツをよく乾燥させる
季節が変わり、加湿器のオフシーズンになったら、各パーツを洗浄後にしっかり乾燥させてください。水分が残っていると、保管期間中にカビや雑菌が繁殖する恐れがあります。
加湿器は、10月~4月初めまで使用するのが一般的です。暖房の使用時期とほぼ同じと考えましょう。
掃除のしやすさを重視して加湿器を選ぶ
加湿器は、汚れやすい家電製品です。購入時には、機能やデザインだけでなく掃除のしやすさにも注目しましょう。
加湿器の種類によっても、衛生面の維持のしやすさは異なります。各種類の特徴は以下のとおりです。
種類 | 特徴 | コスト |
超音波式 | ・水に含まれる菌をそのまま放出するので、各パーツのこまめな掃除が必要 | 安価 |
気化式 | ・フィルターに水を染み込ませるので、フィルターに菌が繁殖しやすい
・こまめなフィルター掃除が必要 |
電気代が安め |
スチーム式 | ・タンクのお湯を沸かして蒸気を放出する
・蒸気に雑菌が混じりにくい ・吹出口が熱くなるので火傷に注意する必要あり |
電気代が高め |
ハイブリッド式 | ・気化式にヒーターをプラスしたタイプ
・超音波式にヒーターをプラスしたタイプ ・菌の放出が抑えられる ・衛生面に配慮した製品が多い |
高価 |
凹凸が少なく洗いやすい形状のトレイや、手が入る広口タンクの加湿器は洗いやすく、清潔さを保ちやすいです。
使い捨てタイプのフィルターや、抗菌仕様のパーツを採用した加湿器を選ぶのも良いでしょう。
クエン酸を使った掃除で加湿器を清潔に保とう
加湿器は水しか入れないので、あまり汚れないと考えている方も多いです。しかし、加湿器には水垢やカビ、菌、ほこりなどの汚れが溜まりやすく、健康面にも影響がある場合があるため、注意しなければなりません。
加湿器の水垢掃除には、クエン酸を使うのがおすすめです。ただし、自身の持っている加湿器にクエン酸を使用しても良いか、確認を忘れないようにしましょう。
また、「タンクの水を交換する」「フィルター・トレイを月に1回掃除する」「長期間使わない場合はパーツをよく乾燥させる」などのポイントを押さえ、加湿器を清潔に保つことも重要です。
加湿器を選ぶ際にも、メンテナンスのしやすさを考慮しましょう。