部屋の乾燥を防ぐために加湿器を使っているご家庭は多いでしょう。そんな身近な家電の加湿器ですが、お手入れが面倒なものもあります。
しかし、加湿器は適切に掃除をしないと火災の原因になる、体に害のある細菌が発生するなどのリスクがあります。
そこで今回は、加湿器を掃除しないことでつながるリスク、加湿器の汚れの種類と原因、加湿器の種類別の掃除方法を紹介します。
加湿器のお手入れ方法がわからない方はぜひ参考にしてください。
加湿器は掃除しないと危険
加湿器は定期的に掃除をする必要があります。加湿器の掃除をしないと、さまざまなリスクがあります。
加湿器を掃除しない場合に生じるリスクを以下で解説します。
水垢がたまって火災の原因になる
過去に加湿器の電源を入れたときに出火する事故が発生しています。
この出火は、水垢が加熱槽とパッキンの間にたまることでできた隙間から漏水し、加湿器内部にあるヒーター線が腐食し、その部分から火が出たと考えられています。
発熱や頭痛、下痢などを引き起こすレジオネラ菌が発生する
レジオネラ菌は、水中や土壌に存在する細菌です。水温が20~50℃前後の入れ替わりの少ない汚い水で繁殖しやすいため、加湿器を掃除しないと発生する恐れがあります。
加湿器を通す場合、加湿するときに出る粒子を吸うことでレジオネラ菌に感染すると考えられています。
レジオネラ菌に感染すると、発熱や咳、呼吸困難、頭痛、筋肉痛、下痢、意識障害など、さまざまな症状を引き起こす可能性があります。
加湿器の汚れの種類と原因
加湿器は水を使うため、とても汚れやすい機器です。汚れがたまると火災や細菌が発生するリスクのほか、健康に害を与える可能性があります。
また、加湿器の性能が落ちる原因にもなるため、こまめなお手入れが必須になります。
加湿器の主な汚れは水垢とカビ、ほこりの3種類です。以下で、加湿器の汚れの種類別に、汚れる原因と汚れている場合に生じることを解説します。
細菌やカビ
タンクに水を入れているため、お手入れしないと加湿器の内部で細菌やカビが繁殖する可能性があります。
タンク内で発生する細菌で、とくに注意が必要なのは、先述したレジオネラ菌です。タンクや水の受け皿の水が入れ替わっていない場合やぬめり汚れがある場合に、レジオネラ菌が発生しやすくなります。
細菌やカビがタンク内で発生すると、加湿器を通して部屋中にまき散らしてしまうかもしれません。
もし、加湿器をつけるとのどが痛い、咳が出る、悪寒がする、ぜん息や気管支炎の症状がある場合は、細菌やカビが発生している可能性があります。
水垢
加湿器に入れる水道水には、水を消毒するための塩素、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル類が含まれています。加熱するタイプの加湿器は、水が蒸気になって空気中に放出されていきますが、ミネラル類と塩素は気化フィルターやタンクにこびりついてしまいます。
気化フィルターやタンクに白っぽいカリカリとした汚れがついていたら、それが水垢です。気化フィルターに水垢が付着すると、加湿器の性能が低下したり、嫌なニオイが発生したりします。
加湿器から悪臭がする、いつもより運転音が大きいなどの場合、水垢がたまっている可能性を疑いましょう。
ほこり
空気を吸い込むタイプの加湿器は、吸気口フィルターにほこりがたまりやすいです。吸気口フィルターは、多くの加湿器が裏側についているので、定期的に汚れをチェックしましょう。
吸気口フィルターにほこりがたまると、うまく空気が吸い込めず性能が落ちる可能性があります。
加湿器の使用頻度にもよりますが、2週間に1回程度は、掃除機で吸気口フィルターの掃除を行いましょう。吸気口フィルターにほこりがたまりっぱなしになっていると、カビが発生することもあるので注意してください。
加湿器の種類別の掃除方法
以下では、一般的な加湿器の掃除方法を紹介します。
ただし加湿器にはさまざまな種類があり、形や特徴もそれぞれです。どの商品にも取扱い説明書があるので、掃除を始める前に、お手持ちの加湿器の適切な掃除方法を確認してから行ってください。
全種類に共通するタンクの掃除方法
全ての加湿器に共通するのは、水を入れるタンクの掃除方法です。
加湿器のタンク内に残った水は全て捨てるようにしてください。水を捨てたら、新しい水を入れる前に少量の水を入れてタンクを振り洗いする、またはスポンジで擦り洗いをしましょう。
スチーム式加湿器の掃除方法
スチーム式の加湿器は、内蔵されたヒーターで水を温めて水蒸気に変えて加湿します。
使用するたびにタンク内の水の温度があがるため、カビが繁殖しやすいのが特徴です。水道水を蒸発させるため、タンクや蒸気口にミネラル類による水垢もつきやすくなります。
ミネラル汚れを落とすには、ぬるま湯3リットルに対しクエン酸20gを溶かしたクエン酸水をつくって、汚れのつきやすいタンクや蒸気口を30分程度つけ置き洗いをしてください。汚れがひどい場合は、1時間程度つけ置きをしましょう。
カビを繁殖させないために、加湿器本体にぬめりがある場合は、歯ブラシやスポンジを使って擦り落とし、やわらかい布で水分を拭き取ってください。
気化式加湿器の掃除方法
気化式の加湿器は水を含んだフィルターに風を当てて加湿します。フィルターが常に湿った状態なので、カビが繁殖しやすい傾向にあります。
フィルターは2週間~1ヶ月に1回程度、水で押し洗いをして流水で洗い流しましょう。水の受け皿も水垢やぬめり、カビがつきやすいので、こまめに擦り洗いをしてください。
汚れがひどい場合はフィルターやそのほかのパーツを、先ほど紹介したクエン酸を溶かしたぬるま湯に1~2時間つけ置きします。濡れたフィルターは、日陰で完全に乾かしてください。
加湿器によっては、お手入れサインが点灯して知らせてくれるものもあります。お手入れサインがついたら、すぐにお手入れをするようにしましょう。
超音波式加湿器の掃除方法
超音波式の加湿器は、タンクの水を超音波で細かい粒子に変えて、部屋を加湿します。リーズナブルなものが多いため人気が高いですが、汚れやすく、細菌が繁殖した場合にそのまま放出されるリスクがあります。
超音波式は本体に水が残りやすいので、レジオネラ菌を発生させないためにも、歯ブラシかスポンジで擦る、水で流すなどの方法でぬめりを取り除いてください。水を入れ替えるときにはやわらかい布で水分をふき取りましょう。
フィルターや水の受け皿が取れるタイプなら、クエン酸を溶かしたぬるま湯を使って掃除するのもおすすめです。
ハイブリッド式加湿器の掃除方法
気化式とスチーム式をかけ合わせて、それぞれのデメリットを補いながら、加湿力を上げたのがハイブリッド式加湿器です。気化フィルターにヒーターをつけて、温めた風を送ります。ハイブリッド式は抗菌作用があるものが多く、カビと細菌が繁殖しにくいのが特徴です。
しかし、お手入れは必要なので、気化フィルターと水の受け皿は2週間に1回程度、それぞれ押し洗いと擦り洗いをしてください。
汚れがひどい場合は、タンクや気化フィルター、ほかのパーツもクエン酸を溶かしたぬるま湯でつけ置き洗いをすると良いでしょう。
加湿器はクエン酸できれいに掃除しよう
水を使用する加湿器は、カビや雑菌、水垢で汚れやすい家電です。適切な頻度と方法で掃除をしないと、カビや体に害のある細菌を部屋にまき散らすことになります。
加湿器は製品に付属している取扱い説明書を確認して、こまめにお手入れをしましょう。2週間に1回程度はクエン酸を溶かしたぬるま湯を使って、水垢汚れを落とすのもおすすめです。
ただし、加湿器によってはクエン酸を使用できないものもあるため、お手入れをする前には商品に付属する取扱い説明書をよく読みましょう。