走り回っているうちに転んでしまったり、熱いヤカンに間違って触れてしまったり、小さい子どもにケガはつきものです。傷ややけどの跡を残さず治すには、適切な処置を素早く施すことが大切です。そんなときに活用できるのが、ワセリンです。
今回は、子どもが擦り傷・切り傷、やけどを負ってしまった場合のワセリンを用いた処置方法をご紹介します。
■ポイントは保湿!軽度の擦り傷・切り傷の処置方法
子どもが負いやすい傷に、擦り傷や切り傷があります。これらの傷は、ワセリンを使用することで素早くきれいに治せるかもしれません。ただし、親が処置できるのは軽度の擦り傷や切り傷であり、重度の場合はできるだけ早く病院を受診することが大切です。
軽度の擦り傷や切り傷ができたら、はじめに流水で傷口の異物をきれいに洗い流します。傷口に砂やゴミが付着していると細胞の機能が低下し、傷の治りが遅くなってしまうので、水道水などのきれいな水でしっかり洗い流してください。
傷口の異物を除去した後は、消毒液を使用せずに絆創膏を貼ります。消毒をしない理由は、皮膚にもともと生息している常在菌の力を利用するため。常在菌には、傷口を化膿させる「化膿菌」の増殖を防ぐ力があります。放置したせいで傷が悪化するということはありません。
傷を早く治すためのポイントは、「保湿」をすることです。傷口からにじみ出る液には細胞を元気にする成分が含まれており、この力を存分に利用するためには傷口の保湿が重要なのです。ワセリンは高い保湿効果が期待できるため、傷口に塗布してから絆創膏で保護しましょう。なお、ガーゼつきの絆創膏は傷口を乾燥させる恐れがあるので、絆創膏選びも大切です。傷口が広範囲の場合は、絆創膏の代わりにラップを使用してもOKです。
■傷跡を残さない!軽度のやけどの処置方法
擦り傷や切り傷だけでなく、「やけど」の処置にもワセリンを使用することができます。ただし、重度の場合は入院治療が必要となるケースもあるので、軽度のやけどにのみ利用できる処置方法として覚えておきましょう。
子どもが軽度のやけどを負ってしまったら、まず原因となっているものを子どもから遠ざけてください。「一刻も早く冷やさなければ」と、子どものそばを離れてしまうのはとても危険です。熱さでパニックを起こした子どもが、やけどの原因となっているものを再び触らないという保証はありません。
子どもの安全を確保した後、氷水もしくは流水で30分ほど患部を冷やします。このとき、患部の位置や皮膚の状態をしっかり確認することが大切です。蒼白または赤褐色の水疱ができるなど状態が悪化するようであれば、早めに病院を受診しましょう。また、「冷やしているのに痛みが続く」「皮膚の赤みが改善しない」という場合も、病院を受診することが大切です。
患部を冷やしたら、ワセリンを塗布して皮膚を保護します。その後、抗炎症作用を持つ軟膏を塗布すればOKです。ただし、処置後に悪化しないとも限らないため、しばらくは様子をみるようにしましょう。
■肌が弱い子どもには赤ちゃん用ワセリンがおすすめ
ワセリンには通常のワセリンの他、赤ちゃんの皮膚や口唇の保湿にも使用できる赤ちゃん用ワセリンもあります。子どもの肌が弱い場合は、赤ちゃん用ワセリンを使用するのがおすすめです。赤ちゃん用ワセリンを選ぶときは、配合されている成分に注目しましょう。香料や着色料が含まれておらず、かつパラベンフリーのものは安心して使用することができます。
保湿力の高いワセリンは、軽度の傷・やけどの処置に使用することができます。さらに、乾燥肌の保湿や唇の保護、手足のヒビ・アカギレ対策にも使用可能です。子どもがケガをしたときにすぐに対処できるよう、自宅に所持しておくことをおすすめします。