細菌性胃腸炎(食中毒)
サルモネラ感染症 Salmonella Infections
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流行時期
例年7~9月の夏季がピークとなります。
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主な症状
悪心、嘔吐、腹痛で始まり、その後38℃前後まで発熱し、下痢を繰り返します。これらの症状は3~4日続きますが、1週間以上に及ぶこともあります。小児や高齢者では、菌血症を起こすなど重症化しやすく、回復も遅れる傾向があるので注意が必要です。
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原因菌
サルモネラ感染症は、サルモネラ属の細菌によって引き起こされる感染症で、主にサルモネラ・エンテリティディスという細菌が原因となっています。
国内の食中毒事例では、件数、患者数ともに毎年上位にランクされています。サルモネラ感染症は、原因食品として「鶏卵」がよく知られていますが、鶏卵以外にも食肉での感染や、人やペットからの接触感染によって発症することもあります。
潜伏期間は、5~72時間(平均12時間)です。 -
好発年齢
小児から高齢者まで幅広い年齢層で発症します。ただし、小児や高齢者はわずかな菌量でも感染しやすく、人やペットからの感染に特に注意が必要です。
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初診に適した科
内科、胃腸科、消化器科、小児科。注1)
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感染経路
汚染された食品が原因となる「食中毒」による感染経路と、感染者やペットのふん便が原因となる「感染症」の経路があります。
食中毒経路
- 汚染された食品の生食、あるいは不十分な加熱により食べた場合
【原因食品】鶏卵、生肉、生レバー、生ケーキなど - 汚染された調理器具や手指を介して、二次的に汚染された食品を食べた場合
【原因となりやすい調理器具】まな板、包丁、布巾、スポンジなど
感染症経路
- 患者のふん便処理後に、手洗い・手指消毒が不十分なことにより、汚染された手指を介して接触感染する場合
- 汚染された箇所(患者が用便後などに触れたドアノブやテーブルなど)に触れることで、手指が汚染されてしまう間接的な接触感染の場合
- ペットに触れ合うことで手指が汚染され、感染する場合(ペットは症状を示していなくても、腸内に保菌していることがあります。)
【原因動物】ミドリガメ、イグアナなどの爬虫類、イヌ、ネコなど
- 汚染された食品の生食、あるいは不十分な加熱により食べた場合
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予防方法
サルモネラ感染症は、汚染された食品、患者のふん便、ペットを介して感染するので、下記の予防方法をしっかりと行いましょう。
食中毒対策
- 卵は冷蔵保存し、割ったら早めに食べましょう。
- 調理器具は良く洗い、熱湯や次亜塩素酸ナトリウム(0.02%)、消毒用エタノールなどで消毒しましょう。
- 肉類を生で食べることは控え、よく加熱しましょう(75℃、1分以上)。
- 生肉を扱ったあとは、手洗い・手指消毒をしてから他の食品を扱うようにしましょう。
- 肉と他の食品は調理器具や容器を分けて処理や保存をしましょう。
感染症対策
- 料理の前や排便の後は、きちんと手洗い・手指消毒をしましょう。特に、こどもの排泄後はしっかり手洗い・手指消毒をするように指導し、赤ちゃんのおむつ交換の後も、必ずしっかりと手洗い・手指消毒をしましょう。
- トイレ内、特に水洗レバーや便座、ドアノブなどは、消毒用エタノールなどでこまめに消毒しましょう。
- ペットに触った後は、手洗い・手指消毒を行いましょう。
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消毒剤に対する
抵抗性サルモネラ菌は、色々な消毒剤に対する抵抗性が弱い細菌です。
消毒用エタノールをはじめ、次亜塩素酸ナトリウム、ポビドンヨード、逆性石けん液(ベンザルコニウム塩化物液)など、市販されているほとんどの消毒剤が有効です。
- 注1)
- 医療機関によって診療科目の内容は異なりますので、受診前にご確認ください。
【参考資料】
国立感染症研究所感染症情報センター
病原微生物検出情報(月報):IASR / 感染症発生動向調査週報:IDWR感染症の話、過去10年間との比較グラフ(週報)
このカレンダーは、過去に観察された感染症の流行時期を示したものです。
流行時期は、年によって大きく変わることもあるので、最新の情報にご注意ください。