夏かぜ
咽頭結膜熱(プール熱) Pharyngoconjunctival Fever(PCF)
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流行時期
通常は、6月頃から徐々に増加しはじめ、7~8月頃にピークを形成し、10月頃まで流行が見られます。ただし、アデノウイルスは1年中活動しており、夏以外にも流行することがあります。
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主な症状
主な症状は、結膜炎、咽頭痛、発熱の3つです。(ただし、3つの症状が全て現われてこない不完全なケースもあります。)
急な発熱で発症し、咽頭炎によるのどの痛みが現われます。また、結膜炎に伴って、充血、目の痛み、かゆみ、目やに、まぶしくなったり涙が止まらなくなったりします
(流行性角結膜炎で見られるような、角膜の濁りがでることはほとんどありません)。
このほかにも「腹痛、下痢、咳」を伴うこともあります。これらの症状は3~5日程度続きます。基本的に予後の良い疾患ですが、まれに肺炎など重症化することがあり注意が必要です。 -
原因菌
咽頭結膜熱は、「アデノウイルス」というウイルスによって引き起こされる感染症で、プールの水を介して感染することもあることから「プール熱」とも呼ばれています。
主に3型のアデノウイルスが原因となります(アデノウイルスには約50種の型が確認されています)。
咽頭炎(のどの痛み)、結膜炎(目の充血)、発熱が主な症状としてあらわれるため、「咽頭結膜熱」と呼ばれています。
潜伏期間は5~7日間です。 -
好発年齢
幼児から学童にかけての子どもがかかりやすい疾患です。
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初診に適した科
内科,小児科。眼症状が強い場合は眼科にも相談しましょう。注1)
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感染経路
咳やくしゃみなどによって発生する飛沫によって感染する飛沫感染と、患者とのタオルの共用や手指を介した接触感染によって感染します。
また、塩素濃度の管理が不十分なプールに入ることでも感染が起こります。 -
予防方法
アデノウイルスは、感染力が非常に強く、手指や飛沫を介して感染するので、手洗い・手指消毒やうがい、身の回りの消毒を行うことが大切です。
なお、症状が治まった後も、咽頭からは7~14日間、便からは30日間程度は、ウイルスを排出し続けることがあります。このため、患者からの二次感染にも注意が必要です。- 流行時期や家族が感染した場合、できるだけ密接な接触は避け、こまめに手洗い・手指消毒・うがいを行いましょう。
- 便にもウイルスがいるので、こどもの排泄後はしっかり手洗い・手指消毒をするように指導し、赤ちゃんのおむつ交換の後は、しっかりと手洗い・手指消毒をしましょう。
- タオルや洗面器などの共用は避けましょう。
- ドアノブや手すり、おもちゃなどは、できるだけこまめに消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウム(0.02%)で消毒しましょう。
- プールから上がったら、シャワーを浴び、目をよく洗い、うがいをしましょう。
- 患者が目やにや涙を拭き取る場合は、ティッシュペーパーや清浄綿を使い、眼を直接手で触れないように気をつけましょう。
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消毒剤に対する
抵抗性アデノウイルスは、色々な消毒剤に対して比較的高い抵抗性を持つウイルスです。
有効な消毒剤としては、消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウムが挙げられます。
- 注1)
- 医療機関によって診療科目の内容は異なりますので、受診前にご確認ください。
※最近では、咽頭結膜熱と流行性角結膜炎を区別せず、両疾患をいずれも「アデノウイルス感染症」と呼ぶこともあります。
【参考資料】
国立感染症研究所感染症情報センター
病原微生物検出情報(月報):IASR / 感染症発生動向調査週報:IDWR感染症の話、過去10年間との比較グラフ(週報)
このカレンダーは、過去に観察された感染症の流行時期を示したものです。
流行時期は、年によって大きく変わることもあるので、最新の情報にご注意ください。