夏かぜ

流行性角結膜炎 Epidemic Keratoconjunctivitis(EKC)

流行性角結膜炎
  • 流行時期

    通常は、8月を中心とした夏期に流行します。ただし、アデノウイルスは1年中活動しており、夏以外にも流行することがあります。

  • 主な症状

    両目に結膜炎の症状(充血、流涙、目やに、まぶたの裏側に小さなぶつぶつ、まぶたの腫れなど)が強くあらわれますが、咽頭結膜熱(プール熱)のような発熱やのどの痛みはほとんどありません。結膜炎の症状は2~3週間で治まりますが、角膜にまで炎症が及んで、角膜に点状の濁りを生じ、見えにくくなることがあります。この濁りは、数ヶ月から1年にも及ぶことがあります。

  • 原因ウイルス

    流行性角結膜炎は、「アデノウイルス」というウイルスによって引き起こされる感染症で、咽頭結膜熱(プール熱)とともにウイルス性結膜炎の代表的な疾患です。
    主に8型のアデノウイルスが原因となります(アデノウイルスには約50種の型が確認されています)。感染力が大変強く流行性であること、また、結膜(白目)の炎症に加え、角膜(黒目)にも病変を認めることがあるため、「流行性角結膜炎」と呼ばれています。
    潜伏期間は8~14日間です。

  • 好発年齢

    咽頭結膜熱と異なり、小児から老人まで幅広い年齢層で発症します。

  • 初診に適した科

    眼科。注1)

  • 感染経路

    手指やタオルなどの物品を介した接触感染によって感染します。患者がウイルスに感染した眼を手でこすると、このとき手に大量のウイルスが付着します。
    その手で触れた箇所にウイルスが付着し、そこを他の人が触れ、無意識に目や口に触れるといった経路で感染が容易に成立します。

  • 予防方法

    アデノウイルスは感染力が非常に強く、手指を介して感染が広まるので、手洗い・手指消毒や身の回りの消毒を行うことが大切です。
    なお、症状が治まった後も、2週間程度は、ウイルスを排出し続けることがあります。このため、患者からの二次感染にも注意が必要です。

    • 流行時期や家族が感染した場合、できるだけ密接な接触は避け、こまめに手洗い・手指消毒を行いましょう。
    • タオルや洗面器などの共用は避けましょう。
    • ドアノブや手すり、おもちゃなどは、できるだけこまめに消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウム(0.02%)で消毒しましょう。
    • 患者が目やにや涙を拭き取る場合は、ティッシュペーパーや清浄綿を使い、眼を直接手で触れないように気をつけましょう。
  • 消毒剤に対する
    抵抗性

    アデノウイルスは、色々な消毒剤に対して比較的高い抵抗性を持つウイルスです。
    有効な消毒剤としては、消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウムが挙げられます。

注1)
医療機関によって診療科目の内容は異なりますので、受診前にご確認ください。
※最近では、咽頭結膜熱と流行性角結膜炎を区別せず、両疾患をいずれも「アデノウイルス感染症」と呼ぶこともあります。

【参考資料】

国立感染症研究所感染症情報センター
病原微生物検出情報(月報):IASR / 感染症発生動向調査週報:IDWR感染症の話、過去10年間との比較グラフ(週報)

このカレンダーは、過去に観察された感染症の流行時期を示したものです。
流行時期は、年によって大きく変わることもあるので、最新の情報にご注意ください。