Vol. 18
蚊よけスプレー
夏の夜には花火大会などがあり、多くの人々が花火を見に行きます。自宅の庭で小さな花火を楽しんでいる家庭もあることと思います。また、キャンプなどで自然を満喫している人も数多いと思います。このような場合、蚊に刺されないように蚊よけスプレーやゲルを使用しているのではないでしょうか?海外旅行に行く方では現地の病原体(マラリアやデング熱など)から身を守るために蚊よけ製剤は必須のものとなっています。
多くの蚊よけ製剤にはディートと呼ばれる昆虫忌避薬が入っています。これは国際的に使用されている信頼できる薬剤です。そのため、蚊よけ製剤を購入する人のなかにはディート入りのものを選んでいる方もいます。この場合、気を付けなければならないことは肌に付けた後の有効時間なのです。ディートは濃度が20%程度あれば、4~5時間は有効です。しかし、5~6%となると僅か2時間程度の有効時間しかありません。汗をかいたりすれば、有効時間は更に短くなります。実は日本の製剤ではディートの濃度は7~12%程度なのです。そのため、2時間程度の有効時間と思ってください。そのため、蚊が生息しているところに長時間滞在するならば2時間毎に肌にスプレーしたり、ゲルを塗る必要があります。
キャンプなどでは子どもと一緒に活動していると思います。ディートは幼児にも安全に使用できる昆虫忌避薬なので、是非とも利用してください。しかし、適切に使用する必要があります。まず、幼児に向かって直接スプレーすることは避けます。この場合、最初に大人の手に塗布し、その手で幼児を擦るようにします。但し、幼児の手には塗布しないようします。子どもは手を口に入れるからです。眼や口に塗布することも避けます。幼児が眼や口を擦ると薬剤がその粘膜に触れてしまうからです。生後2ヶ月未満の幼児には塗布しないようにします。安全性が確認されていないからです。
キャンプ場などでは日焼け止めも必要となりますが、日焼け止めをディートと同時に用いても構いません。この場合、日焼け止めを最初に塗布します。ディートは繰り返し塗布することがあるからです。
東南アジアやアフリカなどのマラリア流行国に旅行や仕事に行く人では蚊よけ製剤は極めて重要な役割をしています。現地で20~30%の製剤を購入すれば繰り返しの塗布の回数は減らすことができます。しかし、日本から持ち込んだ製剤を使用するならば、やはり、2時間毎の塗布をしないと、蚊を媒介する病原体から身を守れないのです。蚊よけスプレーやゲル製剤は適切に使用しましょう。