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【医師監修】インフルエンザの予防接種後に揉むのはNG?適切なケア方法を紹介

2023.08.22| 感染症・消毒

インフルエンザの感染対策として、予防接種を受ける方が多くいます。インフルエンザワクチンを打った後、腕を揉むべきか悩んだ経験はありませんか。

今回は「インフルエンザの予防接種後に腕を揉むのがNGとされている理由」や「ワクチン接種後の適切な過ごし方」を紹介します。

日常で気をつけたい感染対策も紹介するので、インフルエンザを予防したい方はぜひ参考にしてください。

インフルエンザの予防接種後に揉むのはNG

インフルエンザのワクチン接種後に、腕を揉むべきか悩む方も多いのではないでしょうか。結論から述べると、インフルエンザの予防接種では腕を揉まないほうが良いとされています。

昔は「解熱剤や抗生剤などの筋肉注射は接種後に腕を揉む」といったイメージがあったため、その名残がありインフルエンザのワクチン接種後も腕を揉むべきだと考えている方も少なくありません。

しかし、腕を揉むとワクチンが急速に吸収されてしまい、局所反応やアナフィラキシーを引き起こすリスクが高まります。また、予防接種後に腕を揉むと皮下出血を引き起こす場合があります。インフルエンザワクチンを打った際は、むやみに腕を触ったり揉んだりするのは控えましょう。

インフルエンザの予防接種前後の適切な対応

インフルエンザの予防接種を受ける前と接種後の適切な過ごし方を紹介します。ワクチンを打つ前に、以下5つのポイントをしっかりとチェックしましょう。

体調を整えてから予防接種を受ける

体調不良の状態では、インフルエンザワクチンを接種できません。体に異変がある場合や、37.5℃以上の発熱がある場合は予防接種を希望しても断られる可能性があります。

予定どおり予防接種を受けたい方は、当日までにしっかり体調を整えておきましょう。風邪症状だけではなく、睡眠不足や二日酔いでも予防接種を受けられなくなる場合があるので、しっかりと体調管理を行ってください。

運動を控える

インフルエンザワクチンを打った後は、激しい運動を控えましょう。予防接種による副反応が出るかどうか、経過を見るためにも安静に過ごすのが望ましいです。

体調に問題がない場合でも、ワクチン接種後24時間はできるだけ安静に過ごしてください。

息が上がらない程度の軽い運動であれば予防接種後も行って構いません。ランニングや筋力トレーニング、水泳といった激しい運動は避け、ストレッチやウォーキングなど、体に負担の少ない運動に留めましょう。

飲酒を控える

インフルエンザのワクチン接種後にアルコールの摂取をすると、副反応が出やすい傾向にあります。副反応を引き起こす要因を作らないためにも、予防接種の前日と当日は多量の飲酒を控えましょう。

適量の飲酒であれば問題ありませんが、副反応のリスクが心配な方はアルコールの摂取を控えてください。予防接種当日に飲酒する場合は、ワクチンを打ってから最低でも2~3時間経ってからにしましょう。

予防接種を受けてから1時間以内の入浴は避ける

入浴はインフルエンザのワクチンを打った当日から可能です。ただし、予防接種を受けてから1時間以内の入浴はおすすめしません。

高温のお風呂や長風呂は体力を奪うので、予防接種当日は控えてください。また、入浴の際は、ワクチンを打った箇所を揉んだり擦ったりしないように注意しましょう。

体調に異変がある場合は、悪化させないためにも予防接種の当日は入浴を控えてください。

副反応が出たらすぐに医療機関を受診する

痙攣や呼吸困難、手足のしびれといった重篤な副反応が現れたら、すぐに医療機関を受診してください。ほかにも動悸や息切れ、めまいといった気になる症状がある場合も、我慢せずに医療機関へ相談しましょう。

ワクチンを打った箇所が強く痛んだり腫れたりした場合も、重篤な副反応に関係している可能性も考えられるので医療機関を受診してください。

多くの場合、インフルエンザワクチンの副反応は24時間以内に出るといわれていますが、数週間後に症状が現れる場合もあるので注意が必要です。

少しでも症状に不安がある方は「この程度なら大丈夫」と判断せず、医療機関を受診してください。

インフルエンザの予防接種後も日常での予防を

インフルエンザの予防接種を受けても、完全にウイルスに感染しないわけではありません。ワクチンを接種してもインフルエンザに感染する場合があるので、普段からしっかり予防することが大切です。

日頃から心がけたいインフルエンザの予防方法を紹介します。

手洗いとアルコール消毒

インフルエンザの主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。外出先から帰宅した際は、手指に付着したウイルスをしっかり洗い流しましょう。

アクセサリーや腕時計をしている方は、身に付けている物を外してから手を洗ってください。手首や指の間も丁寧に、石けんを使用してもみ洗いを行いましょう。

アルコール消毒もインフルエンザの予防効果に期待ができます。アルコール消毒はすぐに手を洗えないシーンでも活躍するので、携帯用を1つ持っておくと便利です。

部屋を加湿する

部屋の空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下します。ウイルスに感染しやすくなってしまうので、部屋は適度に加湿しましょう。

湿度は50~60%が目安です。とくに空気の乾燥しやすい季節は、湿度を保てるように工夫をしてください。

加湿器を利用すると便利ですが、なければ濡らしたタオルを部屋に干して湿度を上げる方法もあります。

健康的な生活を送る

免疫力を高めるためにも、普段から健康的な生活を送るように心がけましょう。しっかりと睡眠を取り、バランスの良い食事を摂取することが大切です。

忙しくて自炊が難しい方も、外食時には野菜がメインの料理を選んだり、おかずが数種類入ったお弁当を選んだりしながら工夫をしてみましょう。

栄養不足と睡眠不足に注意して過ごし、インフルエンザを予防してください。

インフルエンザの予防接種前後は体調の変化に気を付けよう

インフルエンザワクチン接種後に腕を揉むのは良くありません。ワクチンを打った後は、患部を擦ったり揉んだりしないように気をつけて過ごしましょう。

予防接種後の激しい運動や多量の飲酒は控え、ワクチン接種の前日と当日はしっかり体調を整えてください。

予防接種後に体調が悪くなった方や気になる症状がある方は、我慢せずに医療機関を受診しましょう。

佐藤医師からのコメント

インフルエンザワクチン接種後に腕を揉む必要はありません。ワクチン接種後に副反応が出る場合もありますので、体調変化に気付きましたら医療機関を受診するようにしましょう。

監修者

医師:佐藤留美

内科医・呼吸器科医・感染症科医・アレルギー科医。 久留米大学医学部を卒業後、大学病院、市中病院で臨床医として勤務。また、大学院で感染症の 研鑽を積み、医学博士を取得。内科・呼吸器・感染症・アレルギー等の専門医と指導医資格を多岐にわたり取得。現在は朝倉医師会病院呼吸器科部長として勤務。

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