【医師監修】インフルエンザの年間感染者数は?予防開始時期と方法についても解説
2022.11.28| 感染症・消毒
毎年、寒い時期に流行し、ときには学級閉鎖の原因にもなるインフルエンザ。ご自身や身近な方が感染してしまったということも少なくないでしょう。
今回は、身近に感じるインフルエンザの日本における年間感染者数、そしてインフルエンザの予防開始時期や方法について解説していきます。
インフルエンザの年間感染者数はどのくらい?
例年、日本国内のインフルエンザ感染者数は、推定約1000万人と言われています。日本人口の約8%の方が感染している計算になりますので、身近な方が感染することがあるのも納得です。
また、全世界で見ると、インフルエンザで死亡する方は、年間で推計約25~50万人、日本では推計1万人程度の方が亡くなっているとされています。
インフルエンザに感染しやすい時期
寒い時期に流行するインフルエンザ。日本でインフルエンザの感染がピークを迎えるのは1~2月ごろ、1年の中で最も気温が低い時期です。
インフルエンザの感染者は、気温も湿度も低くなり始める11月下旬ごろから徐々に増加し、4~5月ごろには減少する傾向にあります。
しかし、夏などの気温も湿度も高い季節でも感染する可能性がないわけではありませんので、年間を通して注意する必要があります。
インフルエンザの予防方法
インフルエンザは感染力が強く、潜伏期間でも感染する可能性があります。しかし、主な感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」とわかっていますので、しっかり対策することで感染リスクを下げられます。ここからは、インフルエンザの予防方法をお伝えしていきます。
予防接種
毎年つくられるインフルエンザワクチンは、多くの医療機関で接種可能です。インフルエンザワクチンを接種することで、発症する可能性を低減したり、感染した場合に重傷化を防止したりする効果が期待できます。
ただし、インフルエンザのワクチンは毎年接種しないと効果が得られません。毎年、流行時期の前には、ワクチンを接種するようにしましょう。
手洗い・うがい
飛沫感染と接触感染が主な感染経路のインフルエンザには、手洗い・うがいも有効な予防方法と言われています。帰宅時に限らず、こまめな手洗い・うがいを心掛けるようにしましょう。
また、手洗いは適切に行わないと、インフルエンザを予防する効果が損なわれてしまいます。まずは手の全体を濡らしてから、指の間、指先や爪の間など、隅々まで石けんを行き渡らせ、流水でしっかり洗い流すようにしてください。手洗い後は、清潔なタオルなどで水気を拭き取ります。
手指の消毒
アルコールには、ウイルスやバイ菌の消毒効果があり、インフルエンザウイルスも10秒ほどで不活性化することができます。そのため、アルコールによる手指の消毒は、効率的で手軽なインフルエンザの予防方法です。
外出先でこまめに消毒したり、帰宅後すぐに手指をアルコールで消毒したりすると、ウイルスを家庭に持ち込むリスクが減るのでおすすめです。
●免疫力をつける
手洗い・うがい、消毒などで対策していても、インフルエンザウイルスに感染してしまうことはあります。しかし、免疫力が高い場合、インフルエンザウイルスに感染しても、発症しないことがあるのです。
栄養バランスのよい食事を心掛け、規則正しく質の良い睡眠をとり、適度な運動をするなど、日頃から免疫力を高めるために健康的な生活を送るようにしましょう。
●部屋を加湿する
空気が乾燥すると、インフルエンザに感染するリスクが高くなりますので、部屋の湿度は60%を目安に加湿するようにしましょう。
インフルエンザが流行する冬場は、大気が乾燥する上に、暖房器具で部屋の中の空気も乾燥しやすい条件がそろってしまいます。加湿器がなどを活用し、湿度が低くなりすぎないように注意が必要です。
しっかり予防してインフルエンザの年間感染者数を減少させよう!
日本でも多くの感染者が出るインフルエンザは、毎年多くの死者が出ています。感染経路や感染しやすくなる条件などもわかっていますので、しっかりと予防をして、年間感染者数を減らすようにしていきましょう。
監修者
医師:工藤孝文
内科医・糖尿病内科・統合医療医・漢方医。
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。
現在は、自身のクリニック:みやま市工藤内科で地域医療に力を注いでいる
専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療・ダイエット治療など多岐にわたる。
テレビ・ラジオなどのメディアでは、ジャンルを問わず様々な医療の最新情報を発信している。
NHK「ガッテン!」では、2018年度の最高視聴率を獲得した。
著書は15万部突破のベストセラー「やせる出汁」をはじめ、50冊以上に及ぶ。
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。
工藤医師よりコメント
インフルエンザの感染対策については多くのエビデンスが確立されています。1つの対策に頼るのではなく、予防接種、手洗い・うがい、手指の消毒、加湿等の複数の対策を組み合わせることがより効果的です。