【医師監修】インフルエンザの時期はいつ?予防対策で大切な5つのポイントを紹介
2022.11.28| 感染症・消毒
インフルエンザは高熱や関節痛などのつらい症状に見舞われ、一度かかると1週間くらいは自宅で安静を強いられる感染症です。また、ウイルスの感染力も比較的強く、周囲に感染が広がり、大規模な流行がみられることもしばしばです。
そこで今回は、インフルエンザの発生時期について解説し、インフルエンザにかからないようにするための大切なポイントを紹介します。
インフルエンザの流行時期は?
インフルエンザは世界中で毎年流行が確認されています。季節的な流行は冬の時期が多く、北半球では10月から翌年3月、南半球では4月から9月に発生しています。
日本の夏休みシーズンに南半球へ旅行に行くと、現地でインフルエンザにかかってしまうこともあるのはそのためです。また、熱帯・亜熱帯の地域ではインフルエンザが1年中発生することもあるので、海外旅行をする際には、現地の流行情報に注意しておきましょう。
日本はというと、11月下旬から翌年3月ごろがインフルエンザの流行シーズンと言われており、2月頃が流行のピークとなることが多いです。
インフルエンザは流行時期以外にも発症することがある?
インフルエンザは流行時期以外にも発症するケースがあります。近年では夏にインフルエンザにかかるケースも見られており、大規模な流行とまではいきませんが、インフルエンザは時期に関わらずかかってしまうことがあるため、1年を通して注意しておく必要があります。
国や地方自治体が発信しているインフルエンザの流行情報にアンテナをはっておくとよいでしょう。
乾燥するとインフルエンザにかかりやすい理由
季節性インフルエンザは空気が乾燥すると感染しやすいと言われています。その理由を詳しくみていきましょう。
インフルエンザウイルスは低温かつ乾燥した環境を好む
低温で乾燥した環境はインフルエンザウイルスが活性化しやすく、このことが冬期にインフルエンザが流行しやすい理由の1つと言われています。
また、寒い季節は室内で暖房やエアコンを使う機会が多いために部屋の空気が乾燥しがちなので、インフルエンザが流行しやすいのです。
空気が乾燥すると気道粘膜の防御機能が低下する
空気が乾燥すると気道粘膜の防御機能が低下してしまうため、インフルエンザにかかりやすくなります。気道粘膜は空気中の細菌やウイルスなどをガードする役割がありますが、気道粘膜が乾燥すると粘膜が傷つきやすくなり、ウイルスなどへの防御機能が低下するので、感染しやすくなります。
インフルエンザの感染経路は?
インフルエンザは「飛沫感染」と「接触感染」が主な感染経路です。「飛沫感染」は、感染者のくしゃみや咳から発せられる飛沫を吸い込み、ウイルスが粘膜から体内に取り込まれて感染が成立します。
一方で「接触感染」は、ウイルスが付着した電車のつり革やドアノブなどに触れ、その手で鼻や目をこするなどでウイルスが体内に取り込まれて感染します。この感染経路を知っておくと、後ほど説明する予防対策が理解しやすいでしょう。
インフルエンザは型ごとに流行時期が変わる?
季節性インフルエンザで問題となるウイルスの型は、大別するとA型とB型があります。どちらもほぼ同時期に流行しますが、A型の流行を追うようにB型が流行る傾向にあります。
例えば、A型インフルエンザにかかって治ったとしても、あとからB型インフルエンザにかかってしまうことも。
また、A型は鳥類などの他の動物にも感染しますが、B型はヒトにしか感染しないという特徴もあります。2009年に世界的に流行がみられた新型インフルエンザも、豚由来のA型ウイルスがヒトに感染し、その後にヒトからヒトへの大規模な感染を引き起こしたものです。
インフルエンザの流行時期以外でも行いたい!5つの予防対策
インフルエンザは流行時期以外でも罹る可能性があるので、普段からきちんと予防することが大切です。以下に具体的な予防対策を紹介します。
規則正しい生活を心掛ける
免疫力が低下するとインフルエンザをはじめとした病気にかかりやすくなるので、規則正しい生活を送り、体力や気力を充実させておきましょう。
十分な睡眠時間を確保し、栄養バランスの整った食生活を心掛け、適度な運動によって体力をつけたり、ストレスを解消したりしておきましょう。
手洗いうがい・消毒を徹底する
インフルエンザの接触感染を防ぐためにも、日頃から手洗いうがい、消毒を行いたいもの。このとき手洗いは指先、指の間、手首までしっかり石けんで洗いましょう。
手洗い後は手指の消毒も効果的です。インフルエンザウイルスはアルコールで活性を失いやすいため、手指専用のアルコール消毒液を用意しておきましょう。なお、すぐに手洗いができないときは、消毒だけでも活用しましょう。
マスクを着用する
インフルエンザは飛沫感染も重大な感染経路で、マスクの着用はインフルエンザの予防や拡散を防ぐ効果があります。マスクはくしゃみや咳による飛沫の拡散を抑えてくれるため、他の感染者から自分への感染を防ぐだけでなく、感染している本人から他人に感染させないことにもなります。
また、マスクをつけると口腔内が保湿されるので、気道粘膜の防御機能を助けてくれる効果も期待できます。
感染リスクのある人混みには行かない
人がよく集まる場所ではインフルエンザウイルスが拡散されやすいと考えましょう。インフルエンザにかからないためにも、流行時期には人混みには極力行かないようにしたいものです。
通勤電車など、どうしても人混みが避けられない場合は、手洗いうがいや手指消毒をこまめにして、感染を防ぐ努力をしましょう。また、乾燥しがちなオフィスでは加湿を心掛け、ウイルスの好適環境をつくらないようにしましょう。
インフルエンザの予防接種を受ける
インフルエンザワクチンをうつのも予防効果に期待ができます。ワクチンをうつことでインフルエンザに感染しにくくなったり、インフルエンザに感染しても重症化しにくくなったりすると言われています。
ワクチンはその年の流行が始まる前(多くは10~11月頃)から医療機関で接種を開始しているところが多いので、流行時期に入る前にワクチン接種も準備しておきましょう。
流行時期に限らず予防が大切!インフルエンザの感染を防ごう
インフルエンザは時期に関係なく誰でも感染するリスクがあります。流行していなくても普段からしっかりインフルエンザ対策を行うことが大事です。規則正しい生活を心掛けたり、手洗いうがい、手指消毒を徹底したりしながら、インフルエンザの感染を防ぎましょう。
監修者
医師:工藤孝文
内科医・糖尿病内科・統合医療医・漢方医。
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。
現在は、自身のクリニック:みやま市工藤内科で地域医療に力を注いでいる
専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療・ダイエット治療など多岐にわたる。
テレビ・ラジオなどのメディアでは、ジャンルを問わず様々な医療の最新情報を発信している。
NHK「ガッテン!」では、2018年度の最高視聴率を獲得した。
著書は15万部突破のベストセラー「やせる出汁」をはじめ、50冊以上に及ぶ。
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。
工藤医師よりコメント
季節性のインフルエンザの流行は毎年決まった時期にやってきますので、流行前からしっかり感染対策を行いましょう。一方で、流行が下火な時期でも罹ることもありますので、日頃から感染予防知識を身につけ、しっかり対策を行うことも大切です。