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【医師監修】インフルエンザは一度かかると免疫がつく?予防方法についても解説

2022.11.28| 感染症・消毒

ヒトには、感染症にかかると体内で“抗体”とよばれる物質をつくる仕組み(免疫系)が備わっています。一度体内に入りこんできた細菌やウイルスなどの病原体に対して作られるもので、それらの形や特徴を記憶し、再び同じ感染症にかかるのを防いでくれる働きがあります。

子どものころにワクチンを接種した記憶がある方もいると思うのですが、あれは、ウイルスを弱らせたり毒性を失くしたり、もしくはウイルスなどの特徴の一部を人工的に作り出したものを体内に摂取することで、事前に抗体をつくり出しておく予防法になります。

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1回もしくは数回のワクチン接種により感染リスクを大幅に減らすことができる感染症がある一方で、インフルエンザはなぜ頻繁にワクチン接種をしなければいけないのでしょうか?去年感染したから今年は大丈夫なのでは?などと思う方もいるのではないでしょうか。

今回は、このなぜ?について解説しながら、インフルエンザの予防について詳しくみていきましょう。

インフルエンザは一度かかると免疫がつくが…

通常、インフルエンザに感染すると体内に抗体がつくられるため、しばらくは同じ感染症にかからないはずです。また、ワクチンを接種していれば同様に抗体がつくられるため、インフルエンザに感染するリスクは抑えられます。

ただ、現実には、去年インフルエンザになったのに今年も感染してしまったという方や、ワクチンを接種したのに感染したというケースがしばしば聞かれます。これには以下のようなインフルエンザウイルスの特徴が関係しているため、注意しなければいけません。

インフルエンザの種類

インフルエンザのウイルスは1種類だけでなく、その構造の違いにより多くの型が確認されています。大きくA型、B型、C型に分類され、主に流行の原因となるのはA型、B型のインフルエンザウイルスです。それぞれウイルス表面の構造の違いにより、さらに細かく分類されます。

そのため、昨年と流行する型が異なれば、続けて感染するようなケースも考えられます。また、インフルエンザのワクチンも、その年に流行しそうな数種類のウイルスに対して準備されていますが、例えばその型と違うウイルスが体内に入ってきた場合、感染を引き起こしてしまうケースがあります。

●インフルエンザA型

<hA)が16種類、ノイラミニダーゼ(NA>インフルエンザウイルスには、表面の構造の違いにより多くの亜型が存在しています。表面構造のバリエーションとして、赤血球凝集素が9種類存在しており、これらの様々な組み合わせにより感染性が異なります。

インフルエンザA型のうち、近年国内で流行しているのは、H1N1型とH3N2型になります。他の型に比べて、症状の現れ方が激しい傾向にあり、悪寒や頭痛、筋肉痛、高熱などの全身症状が強いのが特徴です。2~3日で熱が下がり出し、その頃から鼻水やせきなどの呼吸器症状が現れる傾向が強いです。

●インフルエンザB型

主な症状はA型と大きく変わりませんが、比較的軽症であり、お腹の症状を訴える方が多いともいわれています。違いとしては、例年、A型のピークより少し遅れて流行してくることが多く、A型に感染した方が時期をずらして再度B型に感染するケースもあります。

インフルエンザを予防するためにできること

インフルエンザの予防手段としては、ウイルスが体内に入りこまないようにすることに加えて、入ってきても体内で増殖したりしないような状態に整えておくことが必要となります。

●予防接種

効果が期待できるまでには、予防接種をしてから2週間~数ヶ月かかるといわれています。例年1月~3月頃に流行しますので、12月中旬頃までには接種しておくことが望ましいです。13歳以上の方は原則1回接種ですが、13歳未満の方は2回接種となります。ワクチン接種を考える場合には流行シーズンに間に合うよう、早めに接種スケジュールを立てておきましょう。

●普段の生活習慣の見直し

ワクチン接種による予防も有効な手段ですが、それ以外にもウイルスが体内に入ってこないようにする工夫や、免疫力を維持するために生活習慣を整えておくことも大切になります。

手洗い・うがい・マスク

インフルエンザの主な感染経路は、飛沫感染と接触感染です。くしゃみや咳などの飛沫から自分を守り、また他の人に拡げないためにマスクを着用し、帰宅時には手洗い、うがいでしっかりと予防しましょう。

インフルエンザウイルスに限らず、手や物を介しての接触感染は多くの感染症の原因となります。接触感染の対策として、水がなくてもいつでもサッとできるアルコール消毒は取り入れやすい予防法の1つです。

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乾燥対策

感染リスクは、気温、湿度に影響されます。一般的に、ウイルスなどの病原体は気温・湿度が低い環境では、長い時間その感染性を維持することができるといわれています。

また、ウイルスは鼻などの粘膜を介して侵入してくることが多いですが、粘膜に備わっている侵入を防ぐための防御機能も乾燥によって低下してしまう事があります。日本では冬に感染症が流行しやすくなるのもこのような要因が関係していると考えられます。

生活環境では、なるべく湿度が低くなりすぎないよう加湿などの対策を取りましょう。

睡眠時間の確保

体内に侵入してきたウイルスと戦うためには、体力・免疫力が必要になります。寝不足や疲れが溜まった状態で風邪をひいてしまった経験がある方もいると思うのですが、身体の機能を回復するには十分な睡眠時間の確保が欠かせません。

バランスの良い食事

睡眠と同様に、栄養バランスは体調管理にとって重要です。免疫力の向上に良いとされる食材などの紹介も多くされていますが、なによりもバランスのとれた食事をしている事が大前提になります。感染症に負けない基礎・土台作りを心掛けましょう。

インフルエンザにかからないよう予防をしましょう

インフルエンザに限らず多くの感染症は、毎年その流行状況が変化しています。最新情報を常にチェックし、ワクチン接種などの事前対策や、流行シーズンの感染対策を心掛け、健康的な毎日を過ごせるようにしましょう。

工藤医師よりコメント

ワクチン接種はインフルエンザの予防・重症化の抑制に有効な手段ですが、毎年の流行状況によりその効果も左右されます。普段の生活習慣を見直し、ウイルスに負けない体作りを行うことが何よりも大切です。

監修者

医師:工藤孝文

内科医・糖尿病内科・統合医療医・漢方医。
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。
現在は、自身のクリニック:みやま市工藤内科で地域医療に力を注いでいる
専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療・ダイエット治療など多岐にわたる。
テレビ・ラジオなどのメディアでは、ジャンルを問わず様々な医療の最新情報を発信している。
NHK「ガッテン!」では、2018年度の最高視聴率を獲得した。
著書は15万部突破のベストセラー「やせる出汁」をはじめ、50冊以上に及ぶ。
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。

 

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