【医師監修】インフルエンザを「数」で理解しよう!感染者数や流行時期などを解説
2022.11.28| 感染症・消毒
感染者が多い年代や流行時期、インフルエンザにかかったときに休む日数など、インフルエンザを数から理解するための情報を集めました。
重症化しやすい年代や特徴などについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
また、インフルエンザの予防対策についても紹介します。できることから実施して、インフルエンザが流行する時期を乗り越えていきましょう。
インフルエンザの年間感染者数
インフルエンザの年間感染者数は、国内で約1000万人と推定されています。
なお、入院患者数は2018年~2019年の20,719人に対して、2019年~2020年は13,490人でした。
新型コロナウイルスが流行し、個人の感染対策が徹底されたことや、公共衛生上の対応が見直されたことで、インフルエンザの感染者数自体が減少したと考えられます。
インフルエンザの感染者数が多い年代
インフルエンザの感染者数が多いのは、15歳未満の子どもです。厚生労働省が発表した平成21年9月~12月の感染者数の年齢階級別のデータによれば、各月とも15歳未満の子どもが感染者全体の半数を超えていました。
子どもは合併症も起こす可能性があるため、医師に相談した上で、毎年ワクチン接種をして備えておくと良いでしょう。
インフルエンザが重症化しやすい年代
インフルエンザにかかりやすいのは15歳未満の子どもですが、重症化しやすい可能性があるのは60歳以上の高齢者です。
40代以下は重症化する割合はほとんど変わりませんが、50代になると40代の2倍以上、60代になるとさらに2倍程度、70代になるとさらに2倍程度に重症化する割合が増えていきます。
一般的に基礎疾患がある方は重症化する傾向があるといわれています。インフルエンザにかかり、重症化した15歳以上の患者のうち、基礎疾患がある方は7割程度です。慢性心疾患や慢性腎疾患などの何らかの基礎疾患がある方は、インフルエンザ予防対策の重要性も高いといえるでしょう。
なお、15歳未満の子どもの場合、インフルエンザが重症化した患者のうちの約7割に基礎疾患がありませんでした。このことからも、子どもは基礎疾患があるかないかに関わらず、インフルエンザの予防が大切だということがわかります。
インフルエンザの流行時期も覚えておこう
11月下旬から翌年3月頃がインフルエンザの流行シーズンです。10月頃には予防接種を受けて、インフルエンザに備えておくことができるでしょう。
また、例年2月頃が流行のピークとなります。外出時にはなるべく人混みを避け、帰宅したときには手洗いやアルコール消毒を実施するなどの習慣を身につけ、インフルエンザの予防対策をしていきましょう。
インフルエンザにかかった場合休む日数
インフルエンザウイルスは、発症から1週間は出続けるといわれています。学校保健安全法により、学校に通う子どもは発症後5日間が経過し、なおかつ解熱してから2日間は出席停止期間と定められています。
また、幼稚園などに通う幼児は、発症後5日間が経過し、なおかつ解熱してから3日間は出席停止期間です。学校に連絡して必要な日数は自宅で療養し、感染を拡大しないように努めましょう。
一方、勤労者の安全ガイドラインを定めた労働安全衛生法には、インフルエンザに罹患した場合の出勤の可否や停止期間については明記されていません。しかし、咳やくしゃみなどでインフルエンザウイルスを広げてしまう可能性がある期間は、出勤を避けましょう。
一般的には、発症の翌日を1日目として発症から5日間は出勤を停止します。勤務先でルールやガイドラインが決まっていることもあるので、就労規則などを確認しましょう。
まずはインフルエンザの予防を始めよう
インフルエンザを数にすることで、多くの事実を知ることができます。毎年1,000万人以上もの方がかかると聞けば、予防対策をしようという気持ちも高まるのではないでしょうか。
インフルエンザは決して珍しい病気ではありませんが、重症化することもあるので注意が必要になります。特に感染しやすい子どもや、重症化しやすい基礎疾患がある大人、60歳以上の方などは、予防接種をするなど積極的な対策が必要です。
予防接種以外にもインフルエンザを予防する方法は多くあります。例えば手洗いやアルコール消毒を習慣化すること、部屋の換気を行うなどでも感染予防対策はできます。できることから始めていくようにしましょう。
監修者
医師:工藤孝文
内科医・糖尿病内科・統合医療医・漢方医。 福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。 現在は、自身のクリニック:みやま市工藤内科で地域医療に力を注いでいる 専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療・ダイエット治療など多岐にわたる。 テレビ・ラジオなどのメディアでは、ジャンルを問わず様々な医療の最新情報を発信している。 NHK「ガッテン!」では、2018年度の最高視聴率を獲得した。 著書は15万部突破のベストセラー「やせる出汁」をはじめ、50冊以上に及ぶ。 日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。
工藤医師よりコメント
毎年のインフルエンザの感染者数は1000万人を超え、驚異的な数字といえるでしょう。誰もがかかり得る感染症ですので、とくに流行時期にはワクチン接種や日頃からの予防対策をおこなうことが大切でしょう。