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【医師監修】ノロウイルスで血便は出る?考えられる原因と対処法

2022.11.28| 感染症・消毒

ノロウイルスは例年、冬から春先にかけて流行する感染性胃腸炎です。嘔吐や下痢などが主な症状ですが血便が出ることもあるのでしょうか?血便があった時に考えられる原因と対処法を紹介します。

ノロウイルスで血便は出る?

ノロウイルスはウイルス性胃腸炎のひとつで、冬から春先にかけて感染者が多くみられます。主な症状は嘔吐や下痢などで、血便は通常みられません。胃腸炎で血便が出た場合は、病原性大腸菌、細菌性赤痢などの細菌性の胃腸炎などの可能性があります。

●血便が出る可能性がある細菌性の感染性胃腸炎とは

細菌性の感染性胃腸炎には、病原性大腸菌感染症、カンピロバクター腸炎、サルモネラ胃腸炎、腸炎ビブリオ感染症などがあります。それぞれの原因食品は異なりますが、下痢、悪心や嘔吐、腹痛、発熱などノロウイルスなどと同様の症状があらわれ、また、細菌性胃腸炎では血便を伴うことがあります。

血便が出た場合はどのように対処する?

血便が出る場合は、細菌性胃腸炎以外の病気が原因のことも考えられます。胃や十二指腸、小腸からの出血や痔、大腸がんなども血便が出ることがあります。胃腸炎で血便が出ている場合も、消化器のどこかから出血しているということなので早めの受診するようにしましょう。

そもそもノロウイルスの場合、どのような症状がでる?

ノロウイルスの主な症状は、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛があり、軽度の発熱があることもあります。子供は嘔吐、大人は下痢がひどくなることが多いと言われています。通常は、軽症で回復しますが、幼児や高齢の方は重症化することもあるので注意が必要です。

●ノロウイルスの感染経路

ノロウイルスの感染経路としては、カキなどの二枚貝を加熱せずに食べたことによる経口感染や、感染者の吐瀉物や糞便を処理した際に手や物品を介してヒトからヒトへ感染する経路などがあります。また、嘔吐物や糞便が乾燥することで、空気中に漂い、口に入ることで感染することがあるので、吐物や糞便はすばやく処理を行い、乾燥させないように注意しましょう。

ノロウイルスはどのように予防する?

普段の生活の中でのノロウイルス対策や家族など身近な人が感染した場合の二次感染を防ぐ方法を紹介します。

●日常生活では手洗い・うがいが大切

ノロウイルスは食品を介した感染経路以外に手を介した感染も起こりえます。手に付着しているノロウイルスを減らす方法としては手洗いが最も有効な方法です。そのため、日常生活では、食事の前やトイレのあとなどの手洗いを徹底することを心がけましょう。ノロウイルスの感染経路を理解し、日頃から予防を意識して生活することが大切です。

●食品をしっかり加熱・管理する

カキなどの二枚貝は中心部を85~90℃で90秒以上しっかり加熱するようにします。調理器具は85℃以上の熱湯で1分以上加熱し消毒を行います。生鮮食品は十分に洗浄するなど口にする食品には注意するようにしましょう。

●家族がノロウイルスに感染した場合は細心の注意を

感染者の吐物や糞便には、ノロウイルスが大量に含まれているので処理の際には細心の注意が必要です。処理を行う際は、マスク、手袋、使い捨てのガウン(エプロン)など防護具をつけて行うようにしましょう。ノロウイルスが付着した可能性のある場所は、0.02%次亜塩素酸ナトリウムをしみ込ませたペーパータオルで浸すように拭き取ります。トイレやドアノブなどの手がよく触れるところは、こまめに消毒を行うようにしましょう。

ノロウイルスに感染したらどのように治療が行われる?

現在のところ、ノロウイルスに対する抗ウイルス薬はありませんので、対症療法を行うことになります。下痢や嘔吐で脱水症状になりやすいので、経口補水液などでこまめに水分補給を行い、栄養補給をしながら安静を保ちましょう。脱水症状がひどい場合は、病院で点滴を行うなどの治療が必要になります。吐き気止めや整腸剤は対症療法として使用されることはありますが、抗生物質は効果がありません。

血便が出たらすみやかに病院を受診しましょう!

血便が出る場合は、ノロウイルス以外の病気の可能性があります。細菌性胃腸炎によるものであっても血便が出るのは体の異常のサインですので、早めに受診しましょう。

中島医師よりコメント

ノロウイルスは感染力が強く、症状は水様性下痢、嘔吐、腹痛です。ノロウイルスで血便が出ることは少ないですが、血便が長く続く場合は他の病気の疑いがありますので大腸カメラなどの精査が必要になります。日頃から便の状態を確認して健康をチェックすることも大切です。

監修者

医師:中島由美

金沢医科大学医学部を卒業後、大学病院で小児科、市中病院で内科医として勤務。皮膚科、美容皮膚科でも研鑽を積み、2018年クリスタル医科歯科クリニックにて内科、アレルギー科、美容皮膚科を開設。内科院長として勤務。

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