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感染を広げる新型コロナウイルス。中国、日本、世界各国における感染者数と状況について

2022.11.28| 感染症・消毒

連日報道されている、新型コロナウイルスの感染状況。発生地である中国湖北省武漢市を中心に世界各国へと感染は拡大し、感染者数は日に日に増加しています。武漢市では多くの死者も出ています。こうした状況を踏まえ、2020年2月現在、世界各国ではどのような対応がとられているのでしょうか。今回は、中国、日本をはじめ、世界各国における新型コロナウイルスの感染者数と状況について解説します。

世界各国の感染状況と、対策について

感染状況イメージ

●中国と世界各国の新型コロナウイルスの感染者数【2020年2月12日現在】

厚生労働省の発表によると、2020年2月12日現在、中国におけるコロナウイルスの感染者数は4万4653人、死亡者数は1113人と報告されています。とりわけ発生地である湖北省武漢市での被害は大きいと報道されており、中国政府はさまざまな対策を講じているものの、その状況は深刻化しています。2002年から2003年にかけて流行したSARSの時は、感染者数が世界で8098人であったことと比較しても、その深刻さが分かります。
しかしながら、中国以外の感染状況をみてみると、感染者が確認されている26カ国のうち、30人以上の感染者が出ているのは、シンガポール(47人)、香港(49人)、タイ(33人)の3カ国のみで、半数以上の国では10人以下にとどまっています。また、死亡者が出ている国もほとんどありません。

●発生地である中国湖北省武漢市の対策

感染の中心地である武漢市では、感染の拡大を阻止するため、さまざまな対策がとられています。まず1月23日に、中国政府は武漢市の隔離措置を発効。これにより鉄道の封鎖、高速道路の利用停止、空港便の発着もすべて欠航となりました。これは1月24日から始まる中国の旧正月・春節の休暇を前に武漢市民の移動を制限することで、感染を広げないことを目的にとられた措置です。
2月11日には移動の制限をさらに強化。発熱の症状がある武漢市民に対して、受診できる医療機関を居住区内の指定医療機関のみに制限し、肺炎と診断された要観察者らに対しては、指定された病院内、または病院が用意した施設にとどまって治療を受けることを指示しました。このように感染拡大を抑えるためのあらゆる措置がとられていますが、終息の兆しはまだ見えていないのが現状です。

●世界保健機関(WHO)の対応とその影響

世界保健機関(WHO)は中国での流行状況をみて、日本時間の1月31日に緊急委員会を開催。新型コロナウイルスへの感染が中国以外の国においても拡大するリスクが高いことから、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に該当する状況である旨を宣言しました。この宣言を受け、世界各国でもさまざまな措置が講じられています。
米国務省は中国への渡航警戒レベルを最高レベルである「渡航中止」に引き上げ、国民に中国への訪問を控えるよう勧告しました。また、日本でも新型コロナウイルスの感染症を感染症法に基づく「指定感染症」、検疫法に基づく「検疫感染症」に指定。さらに感染者には指定機関による隔離治療を施し、武漢市からの入航者にも厳重な検疫を行っています。そのほか、ベトナムやパキスタン、ロシアなどでも渡航制限や陸路の国境閉鎖が行われるなど、各国で感染の拡大を阻止する対策がとられています。

また、WHOは2月11日、新型コロナウイルスによる肺炎を「COVID(コヴィッド)-19」と命名したことを発表。合わせて、ワクチンの開発には18カ月の期間を要するとの見通しも明らかにし、ワクチンの完成を待つ間、国際社会が連携し公衆衛生対策を進めると同時に、治療法や診断法を研究するよう呼びかけました。有効なワクチンが完成するまでには時間を要することもあり、感染拡大を阻止するための積極的な取り組みが世界規模で必要とされているのです。

日本の新型コロナウイルスの感染者数【2020年2月12日現在】

厚生労働省の発表によると、2020年2月12日現在、日本国内の感染者数は、国内事例で16人、武漢市からのチャーター便帰国者事例で12人の合計28人となっています。国内事例16人については、全員が指定医療機関に入院し、隔離治療が施されました。2月12日現在16人のうち、10人が退院、6人は入院となっています。一方、チャーター便帰国事例の12人は、全員入院中となっています。この中には症状がみられないもののウイルス感染が確認された「無症状病原体保有者」も含まれます。
また、これらの感染者(中国に帰国した1人を除く)に濃厚接触した人に対しても、ウイルス感染の可能性が懸念されることから、健康観察などの調査が行われています。

新型コロナウイルスの予防と対策

感染予防としてのアルコール消毒

●主な感染経路と予防対策

新型コロナウイルスの主な感染経路は、「飛沫感染」と「接触感染」と考えられています。

・飛沫感染

感染者の咳やくしゃみなど、ウイルスの含まれた飛沫を吸いこむことで引き起こされます。なお、新型コロナウイルスは、飛沫よりもさらに小さい微粒子を吸い込むことでも感染する可能性があるとの見方もあるようです。飛沫や微粒子の吸い込みを防ぐため、なるべく人混みを避け、室内の喚起も十分に行いましょう。また、咳やくしゃみなどの症状のある人はウイルスの拡散を防ぐため、マスクを着用するなどの”咳エチケット”を慣行してください。

・接触感染

ウイルスの付着した部分に触れた手で口や鼻に触れ、ウイルスが体内に侵入すること引き起こされます。多くの人が触れるドアノブや手すり、つり革などの公共物はウイルスが付着している可能性が高いので、それらに触れた後をはじめ、外出先からの帰宅時や食事の前、トイレの後などには、石けんと流水による手洗いを徹底しましょう。

●新型コロナウイルス対策にはアルコール消毒も効果的

新型コロナウイルスには、アルコール消毒が有効であると考えられています。手洗いの仕上げや外出時には、手指用のアルコール消毒剤で消毒を行うようにしましょう。また、よく手の触れる部分をアルコール剤で拭くことでも、効果的にウイルスを除去できるといわれています。日ごろから携帯用の手指消毒剤や、キッチン用のアルコール消毒剤などを常備しておくとよいでしょう。

まとめ

新型コロナウイルスの感染は世界各国に広がり、とりわけ中国では、特に武漢市において、深刻な状況となっています。感染拡大を防ぐためにさまざまな対策がとられていますが、終息を迎えるのはまだ先のこととなりそうです。日本でも検疫の強化や厳重な隔離治療が行われていますが、これに甘んじることなく、国民一人ひとりが予防意識を高め、日々の手洗いを十分に行いましょう。

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