新型コロナウイルスの予防には、手洗い・アルコール消毒が効果的!
2022.11.28| 感染症・消毒
2019年12月、中国湖北省武漢市において発生して以来、世界各国に感染を広げている新型コロナウイルス。2020年1月には日本でも感染者が確認されており、その数は微増傾向にあります。ウイルスへの感染を防ぐには、一人ひとりが予防対策をしっかり行うことが重要です。今回は、新型コロナウイルスの特徴や、有効な予防対策について紹介します。
新型コロナウイルスとは?
新型コロナウイルスは、これまでに確認されているコロナウイルスとはタイプの異なるウイルスです。国立感染症研究所の報告によると、これまでに確認されているコロナウイルスには、次の4タイプがあります。
1 風邪のコロナウイルス
2 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS)
3 中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS)
4 動物コロナウイルス
このうち、ヒトに感染するのは1から3のコロナウイルスといわれています。1のコロナウイルスは、いわゆる風邪の病原体で、特に冬季に流行します。宿主であるヒトからヒトへ感染を広げますが、主な症状は咳やくしゃみ、発熱といった比較的軽度のものであるため、危険性の低いウイルスと考えられています。一方、2や3のコロナウイルスは、動物を宿主としますが、種の壁を越えてヒトへ感染すると、肺炎など重篤な疾患を引き起こす恐れがあります。どちらも過去に世界各国で流行を起こし、数千人から数万人に感染し、数百人もの死者を出しました。
2019年12月に発生した新型コロナウイルスは、こうした1から4のいずれともタイプが異なる新種のウイルスと考えられており、中国湖北省武漢市において、このウイルスによる肺炎患者の発生が報告されて以降、世界各国で感染者が発生しています。現段階では不明点が多いものの、発症すると発熱や咳のほか、肺炎を引き起こす重篤なケースもみられるようです。今のところまだ有効なワクチンや治療法は確立されていないため、発症した場合は専門機関において感染者を隔離し、対症療法を施しながら回復を待つという処置がとられています。ただし、症状の現れ方には個人差があるため、症状から感染を判断することは難しく、感染の鑑別には専門機関で検査を受ける必要があります。検査結果によって感染が判明した場合は、症状が軽度であっても、感染を広げるリスクがなくなるまでは隔離されることになります。こういった状況を踏まえて、厚生労働省では、国民一人ひとりの予防対策の徹底を呼び掛けています。
新型コロナウイルスの効果的な予防対策
新型コロナウイルスを予防するには、感染経路を断つことが大切です。現在のところ主な感染経路として指摘されているのは、感染者の咳やくしゃみなどの飛沫を吸いこむ「飛沫感染」と、ウイルスが付着したものに触れた手を介し、口や鼻からウイルスが侵入する「接触感染」です。そのため、インフルエンザや風邪などの一般的な感染症と同様の予防対策が有効と考えられています。
●石けんと流水による手洗い+アルコール消毒
感染症の予防対策の基本は、石けんと流水による手洗いです。帰宅時や食事前、多くの人が触れるつり革やドアノブなどに触れた後は、こまめに手洗いを行い、手指についたウイルスを洗い流しましょう。
<正しい手洗いの方法>
1. 手洗いの前に腕時計や指輪は外しておく。爪も短く切っておく
2. 流水でよく手を濡らした後、石けんをつけて十分に泡立てる
3. 手のひら、手の甲をこすり合わせるように全体を洗う
4. 指先、指の間、爪の間を念入りに洗う
5. 手首までしっかり洗った後、流水で十分に洗い流す
なお、厚生労働省によると、新型コロナウイルスの予防にはアルコール消毒の活用も推奨されています。手洗いの際は、石けんと流水でしっかり洗浄しましょう。仕上げに手指消毒用のアルコール剤を用いる際は、手指に水分が残っていると、アルコール剤が薄まってしまい、効果が十分に得られない可能性があります。清潔なハンカチやペーパータオルなどでしっかり水分を拭き取ってから、アルコール消毒を行ってください。
また、外出先などですぐに手洗いができない場合も、アルコール剤で簡易的に消毒すれば、感染するリスクを軽減することができると考えられています。携帯用のコンパクトなアルコール剤も市販されているので、常に持ち歩き、こまめに消毒するとよいでしょう。
●マスクの着用
実はマスクの着用によって、ウイルスの吸引を完全に防ぐのは難しいと考えられています。しかし、咳やくしゃみの飛沫を直接浴びるリスクを減らすという意味では、その有用性は少なくないと考えられます。そのため、人混みや電車の中ではマスクを着用しましょう。
なお、咳やくしゃみの症状がある場合は、マスクを着用するのがマナーです。飛沫をまき散らすことでほかの人に感染を広げないためにも、症状がある際は必ずマスクを着用しましょう。
新型コロナウイルスの感染が疑われる場合の対応
先に解説したとおり、新型コロナウイルスの症状は現れ方に個人差があり、感染したかどうかの診断は、専門機関で検査を受けなければ確定しません。厚生労働省によると、
●中国湖北省武漢市への渡航歴がある、または、武漢に渡航歴のある人と接触した
●咳や発熱といった肺炎の症状がある
これらのケースに当てはまる場合、検査を受けるのが望ましいとされています。ただしこの時、直接医療機関へ行くのは避け、まずは最寄りの保健所に連絡をし、検査を実施している専門機関を確認してから足を運ぶようにしましょう。また、これらのケースに当てはまらないものの、感染に不安のある場合は、厚生労働省の電話相談窓口(0120-565653)に相談することもできます。中には、咳やくしゃみ、発熱などの症状がみられない無症状の感染者も報告されています。少しでも気になることがある場合には、自己判断ではなく、専門機関に問い合わせるようにしましょう。
なお、新型コロナウイルスへの感染が疑われる場合、感染を広げないためにも、ほかの患者との接触は避けなければなりません。必ずマスクを着用のうえ、専門機関の指定された窓口へ向かうようにしましょう。
まとめ
新型コロナウイルスは目に見えないところで、じわじわと感染を広げています。無意識のうちにウイルスと接触する可能性があるため、日ごろから予防対策を徹底しましょう。予防対策の基本は手洗いですが、アルコール消毒もして備えましょう。携帯用のアルコール消毒液も市販されているので、気になるときにさっと使えるよう、常備しておきましょう。