速乾性すり込み式手指消毒剤 一般用医薬品[第3類] ラビショット・ラビジェル
ウイルス不活化効果試験〈in vitro 〉
ラビショット及びラビジェルのウイルス不活化効果について評価するため、ノンエンベロープウイルス6種及びエンベロープウイルス3種の計9種のウイルスを用いて試験を実施し、日局消毒用エタノールと比較検討した。
その結果、ノンエンベロープウイルスでは、ラビショット及びラビジェルは全ての供試ウイルスに対して15秒以内で十分な不活化効果(99.9%以上の不活化)を示した。一方、日局消毒用エタノールはマウスノロウイルス、ロタウイルスA型及びアデノウイルス2型に対して15秒以内、コクサッキーウイルスA10型に対して30秒間、ポリオウイルス2型に対して1分間で十分な不活化効果を示したが、ネコカリシウイルスに対しては1分間でも十分な不活化効果が認められなかった。また、エンベロープウイルスでは、全製剤ともに15秒以内で十分な不活化効果を示した(表1)。
以上の結果より、ラビショット及びラビジェルは日局消毒用エタノールと同等以上のウイルス不活化効果を有しており、特にノンエンベロープウイルスに対して高い不活化効果を示すことが確認された。
- 【試験方法】
- ウイルス液0.1mLを供試製剤(ラビショット、ラビジェル又は日局消毒用エタノール)0.9mLに接種し撹拌後、経時的(15、30秒及び1分後)に0.1mLを取り、イーグル培地(MEM)0.9mLに加えた。撹拌して不活化した後、ウイルス感染価(TCID50*1)の測定を行った。供試製剤の代わりにMEMを用いた場合についても同様に試験を実施し、コントロールとした。なお、ウイルス感染価は顕微鏡観察により細胞変性効果(CPE)の有無を確認して測定した。
*1:tissue culture infective dose(50%),50%感染価(培養細胞の50%を感染させるウイルス量) - 【評価方法】
- コントロールに対する各作用時間におけるウイルス感染価の不活化率(%)を算出し、99.9%以上の不活化に要した時間をウイルス不活化時間として評価した。
表1.各種ウイルスに対する不活化効果
供試ウイルス | ウイルス不活化時間*2 | |||
---|---|---|---|---|
ラビショット | ラビジェル | 日局消毒用 エタノール |
||
ノンエンベロープ ウイルス |
ネコカリシウイルス(F9株) (ノロウイルス代替) |
≦15秒間 | ≦15秒間 | >1分間 |
マウスノロウイルス(Osaka-106株) (ノロウイルス代替) |
≦15秒間 | ≦15秒間 | ≦15秒間 | |
ロタウイルスA型(Wa株) | ≦15秒間 | ≦15秒間 | ≦15秒間 | |
ポリオウイルス2型(Sabin2株) | ≦15秒間 | ≦15秒間 | 1分間 | |
コクサッキーウイルスA10型 (臨床分離株) |
≦15秒間 | ≦15秒間 | 30秒間 | |
アデノウイルス2型(Ad.6株) | ≦15秒間 | ≦15秒間 | ≦15秒間 | |
エンベロープ ウイルス |
単純ヘルペスウイルス1型(HF株) | ≦15秒間 | ≦15秒間 | ≦15秒間 |
インフルエンザウイルスA(H1N1)pdm09(A/Osaka/2042株) | ≦15秒間 | ≦15秒間 | ≦15秒間 | |
インフルエンザウイルスA(H3N2)(A/Wyoming/3/03株) | ≦15秒間 | ≦15秒間 | ≦15秒間 |
*2:99.9%以上の不活化に要した時間