化学的殺菌・消毒剤(医療用器具・機器・装置専用) 劇薬 フタラール消毒液0.55%「ケンエー」
プラスチック及びゴムに対する影響
フタラール消毒液0.55%「ケンエー」のプラスチック及びゴムに対する影響について評価するため、供試製剤に各種材質16種(プラスチック12種及びゴム4種)を室温にて14日間浸漬した際の材質の変化について、精製水と比較検討した。
その結果、目視による外観観察においてフタラール消毒液0.55%「ケンエー」では、軟性塩化ビニル、ポリアミド(ナイロン6,6)、ポリアミド(ナイロン6)、シリコーンゴム及びフッ素ゴム(黒ゴム)で変化が認められたが、その他の材質で変化は認められなかった。精製水では、軟性塩化ビニルで変色が認められたが、その他の材質で変化は認められなかった(表5)。また、JIS K7161を参考にした評価において両製剤ともにポリアミド(ナイロン6,6)、ポリアミド(ナイロン6)及び天然ゴムラテックスで変化が認められた(表6)。
以上のことから、フタラール消毒液0.55%「ケンエー」は一部材質に影響を及ぼすことが確認された。フタラール消毒液0.55%「ケンエー」の用法で規定される5分間、または消化器内視鏡の感染制御に関するマルチソサエティ実践ガイド【改訂版】2)で規定される10分間程度では大きな影響を及ぼさないと考えられるが、一部の材質に対して長時間の接触を避けることが望ましいと考えられる。
- 【試験方法】
- 供試製剤を入れた容器に各種材質片をそれぞれ浸漬させ、室温にて14日間放置した後、目視により各材質の外観の変化を観察した。また、JIS K7161「プラスチック-引張特性の試験方法 第1部:通則」3)を参考に荷重測定器を用いてプラスチックでは伸び始め応力及び破断応力、ゴムでは破断応力、破断時伸び及び圧縮時の縮みの変化を確認した。
表5.プラスチック及びゴムに対する影響(外観変化)
材質 | 14日間浸漬後の外観変化 | ||
---|---|---|---|
フタラール消毒液 0.55%「ケンエー」 |
精製水 | ||
プラスチック | ポリエチレン | 変化なし | 変化なし |
ポリプロピレン | 変化なし | 変化なし | |
ポリカーボネート | 変化なし | 変化なし | |
軟性塩化ビニル | 白色に変化 | 白色に変化 | |
ポリ4フッ化エチレン | 変化なし | 変化なし | |
ポリアミド(ナイロン6,6) | 緑色に変化 | 変化なし | |
ポリアミド(ナイロン6) | 緑色に変化 | 変化なし | |
ポリスチレン | 変化なし | 変化なし | |
ABS樹脂 | 変化なし | 変化なし | |
アクリル樹脂 | 変化なし | 変化なし | |
フェノール樹脂 | 変化なし | 変化なし | |
ポリアセタール | 変化なし | 変化なし | |
ゴム | シリコーンゴム | わずかに褐色に変化 | 変化なし |
天然ゴムラテックス | 変化なし | 変化なし | |
フッ素ゴム(黒ゴム) | 光沢低下 | 変化なし | |
ポリウレタン | 変化なし | 変化なし |
表6.プラスチック及びゴムに対する影響(JIS K7161)
材質 | 14日間浸漬後の強度変化 | |
---|---|---|
フタラール消毒液 0.55%「ケンエー」 |
||
プラスチック | ポリエチレン | 変化なし |
ポリプロピレン | 変化なし | |
ポリカーボネート | 変化なし | |
軟性塩化ビニル | 変化なし | |
ポリ4フッ化エチレン | 変化なし | |
ポリアミド(ナイロン6,6) | 伸び始め応力の低下 | |
ポリアミド(ナイロン6) | 伸び始め応力の低下 | |
ポリスチレン | 変化なし | |
ABS樹脂 | 変化なし | |
アクリル樹脂 | 変化なし | |
フェノール樹脂 | 変化なし | |
ポリアセタール | 変化なし | |
ゴム | シリコーンゴム | 変化なし |
天然ゴムラテックス | 破断応力、破断時伸び 及び圧縮時の縮みの低下 |
|
フッ素ゴム(黒ゴム) | 変化なし | |
ポリウレタン | 変化なし |