消毒薬のQ＆A
消毒薬のQ&A
環境感染で取りたい対応策
水害時の環境消毒法は？
水害時には、糞便が環境にばらまかれる可能性があります。したがって、水害時での消毒におけるおもな対象微生物は、ノロウイルスやロタウイルスなどのウイルスや、病原性大腸菌や赤痢菌などの細菌です。環境消毒に用いる消毒薬を表1に示しました。なお、以前は水害時の消毒にクレゾール石けんが汎用されてきました。しかし、本薬の毒性は高いので、その使用はやめてください1-3）。クレゾール石けんの代用としては、両性界面活性剤（サテニジン®など）があげられます。
表1．環境消毒に用いる消毒薬
| 対象 | 消毒薬 | 使用上の注意点 |
|---|---|---|
| ウイルス 細菌 |
次亜塩素酸ナトリウム | ・有機物（汚れ）で不活化されやすい ・塩素臭、脱色作用、金属腐食性 |
| 消毒用エタノール | ・希釈で効力が大幅に低下する ・引火性 |
|
| 細菌 | ベンザルコニウム塩化物 ベンゼトニウム塩化物 両性界面活性剤 |
・ベンザルコニウム塩化物やベンゼトニウム塩化物の誤飲に注意！（経口毒性が高い） |
引用文献
- Foxall PJD, et al: Acute renal failure following accidental cutaneous absorption of phenol: application of NMR urinalysis to monitor the disease process. Human Toxicol 9: 491-496, 1989.
- 仲本昌一, 上原 元: クレゾール. 中毒研究 4: 349-353, 1991.
- 田畑 孝, 他: 経皮吸収による急性フェノール, クレゾール中毒の2症例. 中毒研究 2: 26, 1989.
