消毒薬のQ&A
消毒薬のQ&A
ケア関連の感染予防・対策
ポビドンヨード使用後、数分間待たなければならない理由は?
ポビドンヨードは遅効性です。したがって、使用後に数分間待ちます。
表1に、MRSA(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)に対するポビドンヨードおよび消毒用エタノールの効果を示しました。本表から、MRSAの殺滅にポビドンヨードでは2分間の接触が、消毒用エタノールでは15秒間の接触が必要になることが分かります。ポビドンヨードは消毒用エタノールに比べて、速効性に欠けるのです1,2)。
したがって、ポビドンヨードによる消毒では、十分な殺菌効果を得るため、塗布後にしばらくそのままにしておく必要があります。塗布後に2分間以上など自然乾燥するまで待てば、ポビドンヨードの十分な殺菌効果が期待できるのです。
早く乾かしたいからといって、あおいだりガーゼで拭き取ったりすることは望ましくありません。
表1. MRSAに対する消毒薬の効果*
消毒薬 | 菌株** | 接触後の生菌数/mL | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
15秒 | 30秒 | 1分 | 2分 | 5分 | ||
ポビドンヨード | A | 5.7×103 | 4.0×102 | 5 | 0 | 0 |
B | 1.4×105 | 1.0×104 | 1.3×102 | 0 | 0 | |
消毒用 エタノール |
A | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
B | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
- *サスペンジョン法で行った。初発菌量は菌株Aで1.3×106生菌数/mL,菌株Bで2.1×106生菌数/mLであった(2回くり返しの平均値)。
- **臨床分離株
引用文献
- Haley CE, Marling-Cason M, Smith JW, et al. Bactericidal activity of antiseptics against methicillin-resistant Staphylococcus aureus. J Clin Microbiol 21: 991-992, 1985.
- Laufman H. Current use of skin and wound cleansers and antiseptics. Am J Surg 157: 359-365, 1989.