消毒薬のQ&A
消毒薬のQ&A
器具の消毒・滅菌
スポンジの消毒方法は?
スポンジは汚れやすく、かつ洗浄や乾燥が行いにくいです。また、熱水をかけると、環境ホルモンが溶出してくる可能性があります。したがって、スポンジは構造的に消毒が行いにくい物品の1つです。
実際に、計6病院で使用中のスポンジの微生物汚染について調べたところ、88個中79個(89.8%)が103~109生菌数/スポンジの汚染を受けていました。おもな汚染菌は緑膿菌でした(図1)。
図1. スポンジの主な汚染菌は緑膿菌である
また、緑膿菌汚染を受けていたスポンジを室内放置して、本菌の生菌数の推移を調べたところ、本菌は2ヶ月間にわたって生存できることが判明しました(表1)1)
表1. 汚染スポンジでの緑膿菌の生存
サンプル 番号 |
緑膿菌の生菌数(cfu / スポンジ) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
0* | 2日 | 7日 | 14日 | 28日 | 2か月 | 3か月 | |
1 | 1.0×103 | <50 | <50 | <50 | <50 | <50 | <50 |
2 | 2.1×103 | 150 | <50 | <50 | <50 | <50 | <50 |
3 | 1.1×104 | 1.2×103 | 400 | <50 | <50 | <50 | <50 |
4 | 2.0×104 | 1.1×103 | 200 | <50 | <50 | <50 | <50 |
5 | 2.1×104 | 1.8×103 | 100 | <50 | <50 | <50 | <50 |
6 | 4.5×104 | 1.1×103 | 450 | <50 | <50 | <50 | <50 |
7 | 4.9×105 | 1.1×103 | 350 | <50 | <50 | <50 | <50 |
8 | 1.0×106 | 4.1×105 | 1.1×105 | 1.3×105 | 4.5×103 | 410 | <50 |
9 | 1.3×106 | 2.0×104 | 1.5×104 | 1.1×104 | 1.0×104 | 5.0×103 | <50 |
10 | 2.3×106 | 3.1×104 | 2.0×104 | 7.1×103 | 1.3×103 | 290 | <50 |
11 | 2.8×106 | 4.6×104 | 4.1×104 | 1.0×104 | 310 | <50 | <50 |
12 | 4.0×106 | 1.0×105 | 1.0×104 | 4.2×103 | 100 | <50 | <50 |
*スポンジを回収した日;いずれのスポンジも2日後には乾燥状態となった。
したがって、スポンジは微生物汚染を受けているものとして使用してください。たとえば、使い捨て手袋を着用してスポンジを用いるなどです。また、NICU病棟などでは,スポンジの代用として使い捨ての不織布ガーゼなどを用いても良いでしょう。
なお,ヘチマタワシもスポンジと同様に緑膿菌汚染を受けやすいです2)。
引用文献
- Oie S, et al: Contamination and survival of Pseudomonas aeruginosa in hospital used sponges. Microbios 105: 175-181, 2001.
- Frenkel LM: Pseudomonas folliculitis from sponges promoted as beauty aids. J Clin Microbiol 31: 2838, 1993.