消毒薬の選び方
消毒剤の毒性、副作用、中毒
14.アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩(Alkyldiaminoethylglycine Hydrochloride)
毒性
(単位:mg/kg)
LD50 | ||
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ラット | 経口 | 3000~4000 |
マウス | 経口 | 11500 |
致死量
- ヒト経口推定致死量
- 3g/kg
副作用
接触皮膚炎
- 0.1%アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩によるパッチテストでは、陽性率は2.3%であった。
- 34歳、女性。毎日数回0.5%アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩にて両手を消毒していた。使用約10日後より両手、両前腕、顔が赤く腫れあがり、かゆみが出て来た。
- 医療用具の消毒、室内の清掃を行っていた看護助手(4例)が、両前腕、両手背、両手指に掻痒性皮疹、小水疱、紅斑の混在する局面を生じた。
- 63歳、男性(病院薬剤師)。大量の30%アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩を10%に希釈する作業を週2回行っていた。両上肢・顔面・頸部に皮膚炎症状を認めたため、一時休業の上加療した結果、10日後ほとんど治癒した。治癒後再び同じ作業を行ったところ上肢・顔面・頸部に皮膚炎が再発した。
麻酔器具に残存していた薬液による化学性髄膜炎
- 24歳、女性。子宮頚管縫縮術において、脊椎麻酔施行1.5時間後より嘔吐、頭痛が出現し、さらに施行12時間後に便失禁、傾眠傾向、項部硬直及びびまん性の脳浮腫が認められた。麻酔に使用するガラスシリンジよりアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩が微量ながら検出され、残留消毒剤による化学性髄膜炎と推定された。
- 30歳、女性。子宮内容除去術で脊椎麻酔を施行した。帰室2時間後より嘔気、頭痛、軽度の発熱と悪感が出現し、化学性髄膜炎と診断。ガラスシリンジからは0.2%アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩が定性的に検出された。
中毒症状
経口の場合
消化管の刺激症状を現す可能性がある
(悪心、嘔吐、腹痛、下痢など)
眼に付着した場合
結膜炎
中毒症状
ベンザルコニウム塩化物と同様