消毒薬の選び方
消毒剤の毒性、副作用、中毒
13.ベンゼトニウム塩化物(Benzethonium Chloride)
毒性
(単位:mg/kg)
LD50 | ||
---|---|---|
マウス | 腹腔 | 7.813 |
静脈 | 30 | |
経口 | 338 | |
ラット | 腹腔 | 16.5 |
静脈 | 19 | |
経口 | 368 | |
皮下 | 119 |
致死量
- ヒト経口推定致死量
- 50~500mg/kg
(10%液の場合 大人 25~250mL)
副作用
接触皮膚炎
ベンゼトニウム塩化物は、皮膚刺激性、粘膜刺激性は極めて弱いが、濃厚な液を皮膚、粘膜に用いた場合、刺激症状が現われることがある。創傷部位に反復使用した場合、アレルギー性接触皮膚炎を起こしたと報告されている。
- 25歳、女性。調理師として保育園に勤務し、洗剤や消毒剤を使う機会が多くなり発症した。両手背~両前腕遠位1/3までにかけて発赤し、同部に米粒大までの紅色丘疹、鱗屑、痂皮、色素沈着が混在して見られた。指背にも紅斑、鱗屑が見られたが、指腹や手掌は比較的軽微であった。
ベンゼトニウム塩化物には骨格筋のクラーレ様麻痺作用があり、ラットなどへの注射によって四肢に一過性の麻痺が起こり、時として呼吸筋不全麻痺が起こるとの報告がある。人間でも静注により、心血管虚脱が現われ、呼吸が浅くなり、チアノーゼ、悪寒、嘔吐、頻脈、不整脈、血圧低下、乏尿、昏睡が起こるといわれている。
誤飲例
- 3ヶ月、男児。口唇形成術施行時に誤って10%ベンゼトニウム塩化物にて口腔内消毒を行った。口腔粘膜腐蝕と局所症状にともなう発熱、脱力、下痢、脱水などの全身症状発現。
- 誤って10%ベンゼトニウム塩化物を口にふくみ、すぐに吐出したにもかかわらず、ベンゼトニウム塩化物による咽喉頭炎、食道炎を起こした。
処置法
ベンザルコニウム塩化物と同様
中毒症状
ベンザルコニウム塩化物と同様