消毒薬の選び方
各種微生物に対する消毒薬の選び方
真菌 ‐アスペルギルス属‐
アスペルギルス属(図1)は糸状真菌で、アスペルギルス肺炎などの原因になる。
図1. アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)
肺炎などの原因になる。
(1)感染経路
アスペルギルス肺炎は、コンプロマイズド・ホスト(易感染者)が空気中のアスペルギルスを吸い込むことによって発症する1,2)。
骨髄移植患者や重篤な白血病患者などでは、アスペルギルス肺炎の防止のために無菌室に入室させるのが望ましい(図2)。また、易感染者が入室している一般病室には、カビ対策が必要である。ヒトからヒトへの感染はない。
図2. 無菌病室
アスペルギルス肺炎の防止に有用である。
(2)有効な消毒法
次亜塩素酸ナトリウムやアルコールによる清拭などを行う。
(3)環境消毒
易感染者の周辺環境(エアコンの拭き出し、壁、浴室など)にカビが確認されれば、湿気対策を行うとともに、消毒用エタノールや0.1%(1,000ppm)次亜塩素酸ナトリウムでの拭き取りを行う3,4)。2度拭きが望ましい。
引用文献
- Rose HD: Mechanical control of hospital ventilation and Aspergillus infections. Am Rev Respir Dis, 105: 306-307, 1972
- Aisner J, et al: Aspergillus infections in cancer patients. Association with fireproofing materials in a new hospital. JAMA, 26: 411-412, 1976
- Aronoff RH, et al: An evaluation of the fungicidal activity of disinfectants commonly used in clinical practice. J Am Podiatry Assoc, 72: 23-26, 1982
- Scott EM, Gorman SP, McGrath SJ: An assessment of the fungicidal activity of antimicrobial agents used for hard-surface and skin disinfection. J Clin Hosp Pharm, 11: 199-205, 1986