消毒薬の選び方

各種微生物に対する消毒薬の選び方

バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)

わが国でのVRE感染症の頻度は低い。しかし、コンプロマイズド・ホスト(易感染者)には、腹膜炎や敗血症などの重篤な感染症の原因になりえる。

VRE感染では、症状の出ない保菌者(定着)が大部分であるため、知らず知らずのうちに多くの患者に伝播しているパターンが少なくない。VRE感染症の防止には、日常の接触感染予防策の徹底が重要である。

(1)感染経路

「糞便-経口」で感染する。「VRE保菌者の糞便」→「医療従事者の手指」→「患者」の経路などで接触感染する。

感染防止には、手洗いや手指消毒とともに環境消毒が必要である。

(2)有効な消毒法

すべての消毒薬が有効である。0.2%両性界面活性剤、0.2%塩化ベンザルコニウム、0.2%塩化ベンゼトニウム、および消毒用エタノールなどを中心に用いる1-4)

環境

トイレ(洋式トイレの便座、ドアノブ、フラッシュバルブ)には消毒用エタノール清拭で対応する。また、病室(オーバーテーブル、ベッド柵、床頭台など)には、消毒用エタノールや0.2%塩化ベンザルコニウムなどでの清拭を行う。浴槽には0.2%両性界面活性剤などでの清拭を行う。この他、血圧計のマンシェットや体温計などには消毒用エタノール清拭を行う。

なお、ポータブルトイレのバケツや便器(ベッドパン)に対しては、フラッシャーディスインフェクタを用いた熱消毒が望ましい。

引用文献

  1. Anderson RL, Carr JH, Bond WW, et al: Susceptibility of vancomycin-resistant enterococci to environmental disinfectants. Infect Control Hosp Epidemiol,18:195-199,1997
  2. Zachary KC, Bayne PS, Morrison VJ, et al: Contamination of gowns, gloves, and stethoscopes with vancomycin-resistant enterococci. Infect Control Hosp Epidemiol,22:560-564,2001
  3. Byers KE, Durbin LJ, Simonton BM , et al: Disinfection of hospital rooms contaminated with vancomycin-resistant Enterococcus faccium. Infect Control Hosp Epidemiol, 19:261-264,1998
  4. Rupp ME, Marion N, Fey PD, et al: Outbreak of vancomycin-resistant Enterococcus faccium in a neonatal intensive care unit. Infect Control Hosp Epidemiol,22:301-303,2001