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vol.44 イタリア・ロンバルディにおける集中治療室に入室した新型コロナウイルス感染症患者の死亡に関連するリスク因子
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目的

イタリアのロンバルディ地方で集中治療室(ICU)での治療を必要とした新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の死亡に関連する独立したリスク因子を評価すること。

方法・場所・患者

2020年2月20日から4月22日までの間に、COVID-19 Lombardy ICU Networkの調整センターであるイタリア・ミラノのFondazione IRCCS Ca’ Granda Ospedale Maggiore PoliclinicoのICUに紹介入室した検査確定COVID-19重症患者連続3,988名のコホートを対象にした後ろ向き観察研究。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染は、鼻咽頭スワブのリアルタイムRT-PCRで確認された。追跡調査を2020年5月30日に完了した。

因子

ICU入室時点での基礎的特性、合併症、長期的薬物療法、呼吸サポート。

主要アウトカムと指標

ICU入室から死亡までの日数。死亡に関連する独立したリスク因子は、多変量Cox比例ハザード回帰モデルにより評価した。

結果

研究対象となった3,988名の年齢中央値は63歳(四分範囲(IQR):56~69歳)であった。3,188人(79.9%、95%信頼区間:78.7~81.1%)が男性で、3,300人中1,998人(60.5%, 95%CI:58.9~62.2%)が1つ以上の合併症を有していた。ICU入室時点で、2,929人(87.3%, 95%CI:86.1~88.4%)が侵襲的機械的換気(IMV)を必要としていた。追跡調査期間の中央値は44日(95%CI:40~47、IQR:11~69、範囲:0~100)、発症からICU入室までは10日(95%CI:9~10、IQR:6~14)、ICU滞在は12日(95%CI:12~13、IQR:6~21)、IMVが10日(95%CI:10~11、IQR:6~17)であった。累計観察期間は164,305患者日であった。病院およびICUでの死亡率は、1,000患者日あたり12(95%CI:11~12)と27(95%CI:26~29)であった。最初の1,715人の患者集団では、2020年5月30日時点で865人(50.4%)がICUから退室し、836人(48.7%)がICUで死亡し、14人(0.8%)がまだICUに在室していた。合計915人(53.4%)が病院で死亡した。死亡に関連する独立したリスク因子は、高年齢(10歳増加ごとにハザード比[HR]:1.75、95%CI:1.60~1.92)、男性(HR:1.57、95%CI:1.31~1.88)、ICU入室時吸気酸素濃度(FiO2)高値(10%上昇ごとにHR:1.14、95%CI:1.10~1.19)、陽圧終末呼気圧高値(1cmH2O増加ごとにHR:1.04、95%CI:1.01~1.06)、PaO2/FiO2比低値(100単位増加ごとにHR:0.80、95%CI:0.74~0.87)、慢性閉塞性呼吸器疾患(HR:1.68、95%CI:1.28~2.19)、高コレステロール血症(HR:1.25、95%CI:1.02~1.52)、2型糖尿病(HR:1.18、95%CI:1.01~1.39)であった。薬物療法は死亡との独立した関連がみられなかった(アンジオテンシン変換酵素阻害剤のHR:1.17、95%CI:0.97~1.42 、アンジオテンシン受容体拮抗薬のHR:1.05、95%CI:0.85~1.29)。

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結論

イタリア・ロンバルディにおいて検査確定COVID-19でICUに入室した重症患者を対象とした後ろ向きコホート研究において、多くの患者がIMVを必要とした。死亡率は高く、絶対死亡は多かった。

監修者コメント

ヨーロッパで先陣を切って流行が拡大したイタリアの重症患者の疫学。ICU入室患者のうち半数が生きてICUを出られないという、厳しい現実が示されている。年齢が最も大きなリスク因子であり、40歳異なれば死亡リスクが10倍異なる。男性が死亡の高リスクという結果は、男性にとって辛いものとなっている。また、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の人体感染門戸であるACE2受容体の発現を増やすACE阻害薬やARB使用との関連は、本論文をはじめいくつかの研究で否定されている。高血圧の存在自体も、本疾患の死亡リスクを高める要因ではない。