背景
本レビューの目的は、カテーテル関連血流感染(CABSI)を予防するために、70%アルコールワイプ、クロルヘキシジングルコン酸塩(CHG)含有アルコールワイプ、アルコール含浸キャップを用いたコネクター除菌の有効性を比較することであった。
方法
CINAHL、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Medline、PubMedにおいて、系統的検索を実施した。主要アウトカムはCABSIとし、無作為化研究と観察研究を含めた。組み入れ基準は、英語、あらゆる年齢層、日付の制限なし、CABSI予防のためのコネクター除菌介入を報告していることとした。除外基準は、多面的な介入、レター類、学会抄録とした。Newcastle-Ottawa Scaleによる質の評価、ナラティブ統合、メタ解析を実施した。プールしたデータは、臨床的な異質性のため、変量効果モデルによるペア比較を行った。統計学的異質性を、モデルの視覚的評価、カイ2乗・I2統計量によって調べた。
結果
研究10件が70%アルコールワイプと70%アルコール含浸キャップを比較しており、2件の研究(n=1,216)でCHG含有アルコールワイプを試験していた。CHG含有アルコールワイプは、70%アルコールワイプと比べてCABSIの発生が有意に少なかった(リスク比0.28、95%信頼区間0.20~0.39)。アルコール含浸キャップは、70%アルコールワイプよりもCABSIの発生が有意に少なかった(同 0.43、0.28~0.65)。各研究の質は低~中程度であった。
結論
アルコール含浸キャップおよびCHG含有アルコールワイプは、70%アルコールワイプよりも有意に少ないCABSIと関連していた。この知見は無作為化対照試験での検証が必要である。
監修者コメント
カテーテルの接続部(ハブ)は、微生物の侵入門戸となり、カテーテル関連血流感染の大きなリスクである。全てのスタッフが確実に消毒を行うことでそのリスクを低下させることができる。消毒の方法はいくつかあるが、本研究は方法によって感染防止効果の違いがある可能性をメタ解析で示した。特に、70%アルコールワイプに比較して70%アルコールキャップがより感染防止に有効であるという研究が9件あり、70%アルコールキャップの有用性が強く示唆される。ただし、多くは観察研究であり、筆者らが述べているとおり無作為化対照試験での検証が必要である。