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vol.16 NICUにおける緑膿菌のアウトブレイク:病院の水道水が原因
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目的

新生児集中治療ユニット(NICU)における緑膿菌感染・保菌のアウトブレイクを調査すること。

研究場所と患者

カリフォルニア州の新築の市中病院内の28床のNICUで2013年6月から2014年9月までにケアを受けた新生児。

研究方法

症例探索は微生物検査記録に基づいて実施した。感染対策の観察や聞き取り、環境評価が行われた。緑膿菌感染のリスク因子を同定するために、対応のある症例対照研究を実施した。患者と環境の分離菌は株の関連性を決定するパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)に用いた。

結果

31例が同定された。症例は、患者病室の蛇口にフィルタを一時的に使用していない時に集積していた。出生週数を調整したのち、患者は蛇口フィルタの無い部屋に所在すること(オッズ比37.55、95%信頼区間7.16~∞)と関連があった。患者は末梢挿入中心ライン(同7.20、1.75~37.30)、人工呼吸器による換気(同5.79、1.39~0.62)への曝露に関して高いオッズを認めた。環境検体42件のうち28件に緑膿菌が認められた。直近の患者2名から分離された株は、これらの患者の部屋から得られた水廻り関係の検体から分離された株とPFGEにて近縁株と判定された。kenei_Pick_up_vol.16_18-2

結論

このアウトブレイクは、汚染された水道水が原因であった。蛇口のフィルタは短期的な解決をもたらしたが、患者を守るためには緑膿菌を水から完全に根絶することが必要であった。この事例は、医療機関における停滞した水のもつリスクを理解する重要性を改めて示した。

監修者コメント

蛇口のフィルタを使うとアウトブレイクが一旦終息したが、その使用をやめると再び患者が発生した。NICUを新築してから使用するまで3年ほど経過しており、新築直後に通した水がそのままたまっていたのが、緑膿菌の広範囲にわたる建物内水系汚染の原因と考えられた。教訓としては、病院の全ての蛇口から水を時々出し、「よどんだ水」を作らない事である。