背景
中心ライン関連血流感染(CLABSI)を防止するための抗菌薬含浸ディスクがいくつか販売されているが、どのディスクが最も効果的かについては明らかでない。
目的
CLABSI防止目的で2種類の抗菌薬含浸ディスクの実用性と安全性を比較する。
方法
オーストラリアにある929床の単一施設で末梢挿入型中心ラインカテーテル(PICC)を挿入される入院患者をに対して、クロルヘキシジングルコン酸塩(CHG)またはポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)のディスクを無作為に使用した。PICC抜去または退院まで経過を追った。臨床的アウトカムはCLABSI発生頻度と全てのBSI、製品に関連した有害事象。
結果
143人を研究対象とし、除外・脱落例を除いて100例が解析対象となった。合計1,217カテーテル日の間にBSIは3件発生し、うち1件は粘膜障害関連BSIであり、CLABSIは双方1件ずつであった。CHG群に1例のみディスク関連の有害事象が発生した。
結論
PHMB含有ディスクはカテーテル挿入部に対して安全に使用できる。
監修者コメント
CHG含有スポンジとCHG含有ゲル付きドレッシングのCLABSI防止効果は、2009年と2012年にそれぞれ質の高い無作為化比較試験で証明されている。しかし、価格が依然として高く、普及しているとは言えない。著者らは、別の安価な薬剤であるPHMBを含有したスポンジの感染防止効果を検証するにあたり、まず少人数で実用性と有害事象の試験を行った。結果は両者に差が無く、大規模な比較試験に進んでよいというのが結論。そのような比較試験の結果が楽しみではあるが、その一方で、このような少数の症例でも、研究テーマが明確になっていれば感染制御の一流誌に採択されることは、日々の研究を論文化することの大切さを感じさせられる。