背景
手術前の皮膚消毒薬として、様々なものが利用可能である。主なものはアルコール(AL、エタノールまたはイソプロパノール)、クロルヘキシジングルコン酸塩(CHG)、ポビドンヨード(PI)である。
アルコールの優位性はこれまで多くの研究で示されており、その速効性が手術前の皮膚消毒薬として適した特性であることが明らかになっている。一方、残留活性を特性とするCHG とPI の優劣については明確ではない。
方法
帝王切開時の手術前皮膚消毒として、2%CHG-AL と8.3%PI-AL を比較した。アウトカムは手術部位感染(SSI)とし、臓器・体腔SSI は除外した。さらに、表層切開創SSI と深部切開創SSI に分けた評価も行われた。
結果
臓器体腔SSI を除くSSI は、CHG-AL 群で4.0%、PI-AL 群で7.3%、と、CHG-AL 群で低値だった。
また、その差は統計学的に有意であった(p=0.02)。表層切開創SSI、深部切開創SSI で比較しても、CHG-AL 群はPI-AL 群に比べて少ない傾向にあった。
結論
創感染の予防目的には、手術前皮膚消毒としてCHG-AL がPI-AL よりも優れている。
監修者コメント
カテーテル関連血流感染の予防において、CHG がPI に優るというデータは多く出ており、昨年はCHG-AL のPI-AL に対する優位性を明確に示す研究結果も報告された。本論文は、SSI 予防に関してCHG-AL の優位性を示した初の論文として注目される。