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オミクロン株「XBB.1.5」の特徴^1）

[増加スピード]
米国では地域差はあるものの、変異株全体のなかでのXBB.1.5が占める割合は増加している。特に、米国の北東部で急速にその割合が増加している。

[免疫回避]
XBB系統はBQ.1とともに、これまでで最も抗体に抵抗性のある変異株である。そして、XBB.1.5は、最高の免疫回避を示すXBB.1と同等の免疫回避性があることが示されている。実際、「BA.1、BA.5、BF.7のブレークスルー感染した人」「不活化ワクチン (Coronavac) を3回接種した人」「mRNA ワクチン (BNT162b2またはmRNA-1273) の3回または4回の接種後にBA.5感染した人」からの血清は、XBB.1.5に対して高い中和力価を示さない。

[重症化・死亡]
重症化や死亡についてのデータはないが、XBB.1.5には、潜在的な重症度の変化に関連することが知られている変異 (S:P681Rなど)がないことが知られている。

米国における「XBB.1.5」の拡大傾向^2）

CDCは「加重推定値 (weighted estimates)」と「Nowcast 推定値 (Nowcast estimates)」[註釈]の2つの方法で変異株比率の経過を提供している。Nowcast 推定値を見ると米国では直近の3週間でXBB.1.5が急速に拡大していることがわかる(図1)。また、米国北東部においてXBB.1.5が占める割合が高いことがわかる(図2)。

[加重推定値]
加重推定値 (直近の3週間を除くすべての週について提供される) は、経験的な (観察された) ゲノム配列決定データに基づく変異株比率である。検体の収集、標本の処理、出荷、分析、公開データベースへのアップロードなど、データの作成に時間を要するため、この推定値には直近の数週間のデータは利用できない。

流行している全ての変異株のうち、1%未満の加重推定値を持つ亜系統は、その親系統と結合される。亜系統の加重推定値が1%の閾値を超え、ワクチンの有効性、伝播、重症度に影響を与える可能性のあるスパイクタンパク質の置換がある場合、親系統から分離されて、変異株比率データに単独で表示されるようになる。

[Nowcast 推定値]
Nowcast 推定値は、タイムリーな公衆衛生対策を可能にするために用いられる、直近の数週間の変異株比率のモデルベース予測である。標本が収集されてから配列データが分析に利用できるようになるまでに2～3週間を要することがあるため、Nowcast 推定値は最近の時間間隔の変異株比率を推定できる重要なツールである。

CDCはNowcast 推定値を使用して、特定の週の加重推定値が利用可能になる前の変異株比率を予測している。変異株が広がり始めたばかりの場合 (つまり、シーケンスの数が少なく、増加率が不安定な場合) は、この予測は不確実もしくは広い予測範囲内で変動する可能性がある。少数のシーケンスに基づく増加率の小さな変化は、予測に大きな誤差をもたらす可能性がある。

親亜系統のNowcast 推定値には、子亜系統の加重推定値が1%の閾値を超えるまで、子亜系統の予測変化が含まれる。加重推定値が1%の閾値を超えると、亜系統の最初のNowcast の推定値が1%を大幅に超えることがある。

Nowcast 推定値はウイルスの将来の拡散を予測するものではないが、過去数週間のゲノム監視データに基づいて、変異株の現在の蔓延を推定するのに役立つ。