PHEは淋菌薬剤耐性サーベイランス計画(GRASP)年次報告書を発表し、Neisseria gonorrhoiaeaeの薬剤耐性サーベイランスの最新データを示した。
淋病に対する現在のファーストライン治療はセフトリアキソンとアジスロマイシンの併用療法などであるが、その奏功率は抗菌薬耐性化により問題となっている。
2016年から2017年にかけて、淋菌分離株がPHEの定点サーベイランスシステムにより収集され、以下のことが示された。
・セフトリアキソンに対する耐性はみられなかった
・アジスロマイシン耐性は4.7%から9.2%へ増加した
・シプロフロキサシン耐性は33.75から36.4%へ増加した
・セフィキシムの最頻MICは0.015mg/Lから0.03mg/Lへと上昇した
・ペニシリン耐性は13.9%から10.8%へと減少した
しかし、2018年には国立レファレンスラボラトリで1例のセフトリアキソン耐性例が確認された。この症例は広範囲薬剤耐性N. gonorrhoeae(XDR-Ng)で、詳細は別の文書で発表されている。この株はセフィキシム、シプロフロキサシン及びテトラサイクリンにも耐性であったが、スペクチノマイシンには感性であった。この患者には英国に1名の女性パートナーがおり、発症の前月に東南アジアで女性との性交渉を持ったことが報告されている。PHEが行った調査によるとこの菌株の英国内での感染拡大はみられなかった。
臨床医は、全ての淋病患者を国のガイドラインに従って治療、管理を行うように努め、ファーストラインに推奨されている抗菌薬が変更になったことに気をつけなければならない。セクシャルヘルスの医療機関は、オンラインのHIV・STIウェブポータルを通してPHEに治療失敗の可能性例を報告しなければならない。