英国におけるHIV新規診断例が2年連続で減少した。2017年には4,363例の診断例が報告されており、2016年と比べて17%の減少、2015年と比べて全体として28%の減少となったことがPHEによる最新のHIVデータの年次報告書により示され、今号のHPRで概説されている。
この減少は主にゲイ及びバイセクシャルの男性によるものであり、2017年における新たな感染例はこの患者群で2,330例となり、2016年と比べて17%、2015年と比べて31%の減少であった。この患者群における減少は2012年から先行して伝播の減少がみられており、HIV検査の大幅な増加、適時的な抗レトロウイルス治療開始の改善など予防策の組合せが改善されたことによると考えられる。
一方、アフリカ系黒人及びカリブ系黒人におけるHIV新規診断例は、2008年の2,655例から2017年の594例へと過去10年間で着実に減少してきた。さらに2017年には初めて、診断例の減少は他の人種のヘテロセクシャルの患者でも見られており、20%減少して849例となった。
この確実な減少にもかかわらず、現在でも多くの感染例で診断時期が遅く(CD4細胞数<350m3)、およそ5例に2例が診断時の少なくとも3~5年前に感染していた。
この新たなデータは、感染拡大のためには早期診断、早期治療が重要であることを示している。2017年には、英国で93,385例がHIVに関連した医療を受けており、98%(91,266例)がウイルス制御のために抗レトロウイルス治療を受けていた。2017年に抗レトロウイルス治療を受けた患者のうち、97%(88,528例)は感染力のないレベルまでウイルスが減少した。
PHEは、他の政府及び第三者機関と共に2030年までにHIVを制御すべく活動しており、この新たなデータはこれを達成するために勇気づけられる兆候である。
英国におけるHIV:国内で新規診断例の減少が続く
二酸化窒素に関するCOMEAPレポート及び微小粒子状物質に関する改訂ステートメント
2018.09.07
Vol. 12 / No. 32
大気汚染の健康被害に関するDHSC専門諮問委員会は汚染レベルを軽減する介入法のベネフィットを評価するのに用いられる、大気汚染に関連した死亡率の定量化に関する2つの勧告を発表した。
二酸化窒素に関しては、2015年に出された2つのステートメントを受け、COMEAPは現在、詳細なレポートを発表し、英国を含む複数の国で実施された、大気中の二酸化窒素が及ぼす健康被害に関する研究を検証した。このレポートでは、各有害物質を個別に検証することの困難性が示されている。特に、二酸化窒素と同じ排出源(自動車など)から出される微量粒子の健康被害は二酸化窒素単独の健康被害を正確に評価することの困難性につながっている。しかし、この新たなCOMEAPレポートでは、施策立案者が勧告を出すのに用いられる結論を示している。
微量粒子による大気汚染に関して、COMEAPは微小粒子状物質による大気汚染(PM2.5)の死亡率の定量化に関する既存の推奨を改訂した。ここで改訂された係数は以前と同じであるが、新たな推奨はそれに関する統計学的な不確かさが軽減されている。