免疫グロブリンの供給不足に伴う破傷風治療・予防に関する暫定ガイダンス

Vol. 12 / No. 27
Interim guidance on tetanus treatment and prophylaxis in the light of immunoglobulin supply shortage

PHEは破傷風免疫グロブリンの供給不足を考慮し、破傷風の発症リスクがある外傷や臨床的に破傷風が疑われる患者の管理に関する国の改訂ガイドラインを発表した。
創傷の性状や患者の免疫状態によるリスク・アセスメントに基づき、破傷風の発症リスクがあると考えられる外傷に対しては、破傷風を含んだワクチン接種や破傷風免疫グロブリン(TIG)の筋注投与を徹底することが推奨される。通常の免疫グロブリン製剤(Subgam)の使用もTIG筋注(IM-TIG)の代替製剤として薦められてきた。PHEは先日、NHSにおいて破傷風の発症リスクがある外傷の治療に対するIM-TIG及びSubgamの供給が高度に不足していることを把握するようになった。さらに、代替製剤としてNHS Englandが使用を承認しているヒト免疫グロブリン(HNIG)製剤の供給が不十分な状況にある。
その結果、PHEはリスクの高い外傷の治癒が遅延している患者、リスクが特に高い患者で効果が期待できる者に対してTIGまたはHNIGを優先的に使用するため、早急に既存のエビデンスを検証し、破傷風の発症リスクの高い創傷の定義の改訂を含めた暫定ガイダンスを発表した。

今号のHPRに掲載されている感染症レポート及びワクチン接種率レポート

Vol. 12 / No. 27
Infection and vaccine coverage reports in this issue of HPR

ワクチン接種率レポート
肺炎球菌ポリサッカライドワクチン(PPV)接種率レポート、イングランド、2017年4月~2018年3月
65歳以上の成人における2018年3月31日までのPPV接種率は69.5%で、2016年度より0.3%、2015年度、2014年度より0.6%低かった。過去12ヶ月間で予防接種を受けた65歳以上の成人の割合は11.8%で、2016年度の16.3%から低下していた。この減少の主な要因は全国的なPPV不足によるものと思われる。一度PPV の対象になれば、生涯ずっとPPVの対象者であり、ワクチンの供給が十分になればいつでもキャッチアップ接種が可能である。

帯状疱疹ワクチン接種率レポート、イングランド、2018年2月~5月
2018年5月末までの帯状疱疹ワクチン累積接種率の暫定的な推定結果は、70歳の定期接種群で41%、78歳のキャッチアップ接種群で42%であった。2017年5月と比べて接種率は定期接種群で5%、キャッチアップ接種群で4.5%低かった。この低下は、一部には2017年4月に接種対象基準が変更となったためと考えられる。定期接種群及びキャッチアップ接種群の新たな接種対象基準での対象者はそれぞれ、69歳及び77歳の者である。この点を考慮した場合、ワクチン接種率は、ここ数年間にみられた低下傾向が逆転する可能性があり、2017年5月末時点における接種率よりも高くなることがこのレポートでは示唆されている。イングランドの高齢者における多くの帯状疱疹関連疾患を予防するためには、現在及びこれまでの接種対象者にあたる80歳までの患者に対して、GPが帯状疱疹ワクチンを継続的に接種していくことが重要である。

妊婦に対する百日咳予防接種計画の最新情報、イングランドにおけるワクチン接種率、2018年1~3月
妊婦の百日咳ワクチン接種率はこの四半期で平均72.1%であり、2017年の同時期より1.7%低かったが、2016年4月以降、依然として高い水準が続いている。

ワクチンで防げる疾患レポート
2017年のイングランド及びウェールズにおけるA型肝炎ウイルス感染症、C型肝炎の検査結果レポート

自己注射使用者の感染症に関する無作為匿名モニタリング
自己注射使用者のHIV及びウイルス性肝炎に関する無作為匿名モニタリング