2017年度までのイングランドにおけるグラム陰性菌菌血症(大腸菌、クレブシエラ属菌及び緑膿菌)、黄色ブドウ球菌(MRSA及びMSSA)菌血症及びClostridium difficile感染症の届出の傾向に関するPHEの最新の年間データ及び年間の疫学についての解説がGOV.UKのウェブサイトに発表されている。
このデータや解説には、図表を用いて示した情報が含まれており、2017年7月の前回の年次報告書をアップデートするものである。今回初めてクレブシエラ属菌及び緑膿菌による菌血症の法定サーベイランスの年間データが発表された。主要なデータを以下に示す。
グラム陰性菌菌血症
2017年4月1日~2018年3月31日の期間にイングランドのNHS trustから合計41,060例の大腸菌菌血症が報告された。このうち、7,704例(18.8%)が院内感染例であった。2017年度に報告された感染例の合計は2016年度(40,630例)から1.1%の増加、2012年度(32,309例)から27.1%の増加となった。大腸菌感染症の罹患率は2012年度の人口10万人当たり60.4例から2017年度には74.3例へと上昇した。
クレブシエラ属菌による菌血症については、2017年4月1日~2018年3月31日の期間にイングランドのNHS trustから合計9,617例のクレブシエラ属菌菌血症が報告された。このうち、2,853例(29.7%)が院内感染例であった。
緑膿菌による菌血症は少なかった(4,286例、このうち、37.8%が院内感染例)。
菌血症の原疾患に関するデータによると、尿路感染症(UTI)が主なもので、大腸菌菌血症の49%、クレブシエラ属菌菌血症の32%及び緑膿菌菌血症の30%であった。
MRSA及びMSSA菌血症
2017年4月1日から2018年3月31日までの期間に、イングランドのNHS acute Trustから合計846例のMRSA菌血症が報告された。これは2016年度(825例)から2.5%の増加、2007年度(4,451例)から81%の減少であった。
2017年4月1日~2018年3月31日の期間にイングランドのNHS acute trustから合計11,938例のMSSA菌血症が報告された。これは2016年度(11,499例)から3.8%の増加、2011年度(8,767例)から36.2%の増加であった。人口10万人当たりの全MSSA例の年間発生率は2011年度の16.4例から2017年度には21.6例と上昇した。
Clostridium Difficile感染症
2017年4月1日~2018年3月31日の期間にイングランドのNHS trustから合計13,286例のClostridium Difficile感染症が報告された。これは、2016年度(12,845例)から3.4%の増加、2007年度(55,498例)から76.1%の減少であった。