法的HCAIレポートによる四半期ごとの傾向:2018年1月〜3月

Vol. 12 / No. 22
Mandatory HCAI reports quarterly trends: January to March 2018

Staphylococcus aureus(MRSAおよびMSSA)およびEscherichia coli(E.coli)菌血症およびClostridium difficile感染症(CDI)の最新動向に関するPHEの最新四半期疫学解説がNHSによって法的に報告された[1]。表形式とグラフ形式の情報を含むこのレポートは、2018年1月〜3月のデータを提供している。いくつかの重要な事実を以下に示す。

MRSA菌血症
2007年4〜6月と2014年1月〜3月の報告例の発生率(人口10万人あたり)は85%(10.2から1.5)急激に減少していた。これに続いて、2014年の1月から3月、2018年の1月から3月では、人口10万人あたり発生率が1.5から1.7に13%増加した。
2013年4月からMRSA菌血症に対するPIRプロセスが始まった。
2013年4月から2014年3月での発生率は、100,000ベッド当たり1.2ケースで安定したままであった。

MSSA菌血症
2011年1月にMSSA菌血症の義務的報告が開始されて以来、発生率は増加傾向であった。2011年1月から3月、2018年1月から3月にかけて報告されたMSSA菌血症の症例は2,199件から3,037件に38%増加した。これに伴い発生率(人口10万人あたり)が16.8から22.1に32%増加した。
直近の四半期で(2017年1月〜3月、2018年1月〜3月)と比較すると、病院発症MSSA菌血症の発生率は3%低下し(10万ベッド日あたり8.8から8.5例)、人口10万人あたりでは、16.2症例から16.6症例へと発生率が3%増加した。

大腸菌菌血症
大腸菌菌血症の季節的ピークは、毎年7月から9月である。2013年4月から6月にかけて、各年度の各四半期は、前年の同四半期よりも増加しており、全体期間の増加を示している。2011年7月から9月と2018年1月から3月の間に、報告されたすべての大腸菌菌血症の発生率は、10万人あたり61.8人から69.3人(n=8,275〜9,519人)で12%増加した。同様に、同時期に発生した集団発生率は、46.9から56.0(n=6,279-7,689例)で19%増加した。
2017年1月から3月、2018年1月から3月にかけて報告されたすべての大腸菌症例の累計数と発病率は、それぞれ9,746人から9,519人、10万人あたり70.9から69.3で2%減少した。

Klebsiella属 菌血症
Klebsiella属の法的サーベイランス最初の年(2017〜2018)に、 菌血症は合計9,617例が報告され、発生率は10万人あたり17.4例であった。この間、30%(n=2,853)が病院発症のケースであり、罹患率は10万床あたり8.2例であった。 残りの70%(n=6,764)は、コミュニティ発症の症例であり、発生率は10万人あたり12.2例であった。

緑膿菌菌血症
法的なサーベイランス(2017年から2018年)の最初の年に、P.aeruginosa菌血症4,286例が報告され、10万人あたり7.8例の発生率であった。2017年から2018年にかけて入院したのは38%(n=1,619)で、入院率は10万人当たり4.7人であった。 残りの62%(n=2,667)は集団発生症例であり、人口10万人あたり4.8例の発生率であった。

クロストリジウム・ディフィシル感染症
2007年4月にCDIサーベイランスが開始されて以来、報告されたすべての病院発症例とCDI発症例の両方の発症率が全体的に低下している。季節的ピークは、2014年から2015年までは1月から3月に、2014年から2015年と2016年から2017年の間は7月から9月にかけてであった。これは病院発症のケースで特に顕著である。
病院発症CDIのケースでは、10,436人から1,613人に85%減少し、10万ベッド日あたりの発症率は112.5から18.2に84%減少した(2007年4月から6月―2012年1月から3月)。これに続いて、2012年1月~3月と2018年1月~3月の間で、累計数(1,613件~1,191件)と発生率(18.2〜13.5症例/100,000ベッド日)がさらに29%減少した。これは、監視期間中に報告されたすべてのCDI症例と比較して、病院発症CDI症例の間でより大きな減少があったことを示している。
直近の四半期を(2017年1月〜3月、2018年1月〜3月)と比較すると、報告されたすべてのCDIの累計数と発生率(人口10万人あたり)はそれぞれ、2,990件から3,088件、21.8から22.5とわずかに増加した。

1.PHE (14 June 2018). Quarterly epidemiological commentary: mandatory MRSA, MSSA, Gram-negative bacteraemia, and C. difficile infection data (up to January to March 2018).