カルバペネム耐性腸内細菌科細菌によるリスクをECDCが検証

Vol. 12 / No. 21
ECDC reviews risk posed by carbapenem-resistant Enterobacteriaceae

カルバペネム耐性腸内細菌科細菌はECDCが発表した緊急リスクアセスメントのアップデートのテーマであるが、患者や医療介護体制に対するリスクとなり、使用可能な治療薬が限られていることから致死率の高い感染症の原因となる。医療介護の現場におけるアウトブレークが、チェコ共和国、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、スペイン及び英国など複数のEU/EEA諸国で報告されている。
この新たなリスクアセスメントは2016年4月にECDCが初めて発表したレポートをアップデートしたものであるが、以下のようなカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)に関する現在の知見を検証している。
・多様で複雑な(通常は酵素による)機序により耐性化が拡大している
・現在大きな問題となっている2株の耐性株のEU/EEA諸国における拡がりの程度
現在、行われている対策は以下の通りである。
・高リスク群の患者に対する早期からの感染予防及び制御など、医療介護体制における拡がりの予防及び制御
・食品の流通を介した拡がりの抑制
・国境を越えた拡がりの防止
・資源の少ない国における耐性菌の検出能力及びサーベイランス能力を改善するための長期的かつ世界規模の対策
このレポートには、場合によっては大陸内で各国の侵襲性感染症分離株のカルバぺネム耐性化率に大きな違いがあることを示す、EDCD EARS-NET年次報告書のデータや地図の図表が転載されている。