2024.04.30
【医師監修】のどの激痛の原因とは?痛みをやわらげる対処法を紹介
のどの痛みは誰にでも起こり得る症状ですが、激痛となると日常生活に支障をきたしてしまいます。のどの激しい痛みへの対処の仕方がわからず困った経験のある方も多いのではないでしょうか。
今回は、のどの激痛を引き起こす原因や、痛みをやわらげるためにできることを紹介します。また、つらい症状が出る前に日頃から取り入れたい予防方法も紹介します。
のどの激痛でお悩みの方や、未然に防ぎたい方は参考にしてください。
▼「のどに激痛」その原因は?
のどが激痛でつらいのは、粘膜が刺激され炎症を起こしているからです。
適切な対処を行うためには、まず炎症の原因を知る必要があります。のどの激痛を起こす炎症の原因として、考えられるものを見ていきましょう。
ウイルスや細菌の感染
のどの激痛は、多くの場合ウイルスや細菌の感染が原因で起こります。症状はウイルスや細菌の種類により異なり、発熱などを伴う場合も多いです。
重症化や感染拡大を避けるためにも、適切な治療を受ける必要があります。
空気の乾燥
のどの粘膜が乾燥すると、ウイルスや細菌などの感染への防御能力が下がってしまいます。また、のどが乾燥した状態が続くと粘膜が傷つきやすくなります。さまざまな刺激に敏感になるため、痛みも強く感じやすいです。
気温が下がると空気が乾燥しやすくなるため、冬季など、寒い時期はとくに注意しましょう。
喫煙や飲酒のしすぎ
タバコやお酒はのどにとって刺激物のため、過剰摂取は炎症の原因となります。
声帯が炎症を起こすと、のどの激痛に加えて、酒やけやタバコやけといわれる声がれの症状が出るケースも少なくありません。
のどの酷使
大声を出し続ける、カラオケで歌いすぎるなど、のどを酷使するような行動も、炎症や激痛を引き起こす原因です。悪化すると声がれを起こすほか、声帯にポリープができることもあります。
大声を出すことの多い職業の方は、日常的にのどを酷使しやすいため、とくに注意が必要です。
▼のどに激痛がある場合に疑われる病気
のどに激痛があるときは、感染症などに罹患している可能性が高いです。激痛でつらい場合は、自己判断せずに早めに医療機関を受診しましょう。
のどに激痛があるときに考えられる病気には以下のようなものがあります。
咽頭炎
急性咽頭炎と慢性咽頭炎があり、急性の場合はウイルスや細菌の感染で起こることが多いです。一方、慢性の場合は、感染症以外にも胃酸の逆流など、さまざまな原因で起こります。
急性扁桃炎
ウイルスや細菌の感染などにより、のどの奥にある扁桃が炎症を起こす疾患です。扁桃が赤く腫れて膿を持つこともあり、のどの激痛や高熱の症状があらわれます。
一般的には通院により治療しますが、食事や水分を摂れないほどの激痛が続く場合は、入院が必要になることもあります。
扁桃周囲膿瘍
扁桃炎が悪化し、まわりに膿が溜まった状態となり、のどの激痛を起こす疾患です。
口を開けるための筋肉のまわりに炎症が起き、口が開けられなくなることもあります。再発しやすいという特徴もあるため、適切な治療を受けることが重要です。
▼のどの痛みをやわらげる方法
のどの激痛には、炎症をやわらげるためのケアが必要です。医療機関の受診が必須ですが、痛みが強い場合は自宅でできるケアも知っておくと良いでしょう。
のどの激痛をやわらげるために応急処置としてできることを紹介します。
うがい薬でうがいをする
のどの炎症をやわらげるには、うがい薬を用いてうがいをすると良いでしょう。うがい薬にはさまざまな種類があります。種類によって得られる効果が異なるため、選び方が重要です。
のどの腫れや激痛には殺菌作用のあるうがい薬が適しています。のどの炎症の原因となる菌の働きを抑えられるため、応急処置として役立ちます。患部の状態によってはうがい薬でも刺激となる場合がございます。違和感を感じる場合は使用を控えてください。
トローチやのどスプレーを使う
トローチもうがい薬と同様に種類が分かれており、医薬品と医薬品ではない飴タイプのものがあります。
のどの激痛には、抗炎症作用が含まれている医薬品のトローチを選ぶと良いでしょう。医薬品のトローチを使えばのどの痛みがやわらぎ、殺菌や消毒もできます。
激痛を早くやわらげたい場合は、直接患部に使用できるのどスプレーを試す方法もあります。状況に応じてトローチとのどスプレーを使い分けると良いでしょう。
ただし、医薬品のトローチやのどスプレーは過剰に使用しないよう、用法用量を守って使用してください。
▼のどの痛みがあるときにやってはいけないこと
のどの痛みが強いときは、刺激をなるべく与えないようにすることが大切です。うがいやトローチ、のどをうるおすなどの適切なケアに加えて、刺激となるものを避ける必要があります。
のどの炎症や激痛を悪化させるため、以下のようなことは避けましょう。
喫煙や飲酒
お酒やタバコはのどにとって刺激物のため、炎症が起きているときに摂取すると悪化させる原因になります。
のどの痛みが強いときは、禁酒禁煙を心がけることが大切です。
刺激のある食品の摂取
唐辛子やわさび、からしなどの辛味の強いものは、のどにとって刺激物です。
また、熱いものや硬いもの、塩気や酸味の強すぎるものなども避けたほうが良いでしょう。
大声を出す
のどの痛みがあるときに無理に大声を出すと、痛みが悪化してしまいます。
無理に声を出さないようにし、水分摂取を心がけ、乾燥による刺激も避けることが大切です。
▼のど風邪やウイルス感染を予防する方法
のどの激痛などのつらい症状は、できれば生じる前に予防したいものです。
主な原因であるウイルスや細菌の感染を日常的に予防することが大切と考えられます。感染予防のために、日頃からできる対策を見ていきましょう。
手洗いや手指の消毒
接触感染の予防には、手洗いや手指の消毒をこまめに行うことが大切です。手洗いは以下の手順を参考に、消毒とセットで適切に行いましょう。
【手洗いの手順】
1. 手をぬらし、石鹸を取り泡立てながら、手の平をよく洗う
2. 手の甲で伸ばすように洗う
3. 指先と爪の間を反対の手の平の上で丁寧に洗う
4. 両手を組んで指の間を洗う
5. 親指を反対の手で包んでねじるようにしながら洗う
6. 手首も同様にしっかりと洗う
7. 流水で石鹸と汚れを洗い流し、ペーパータオルや清潔なタオルで水気をよくふき取る
手洗いが終わったら、必ず手指の消毒を行いましょう。手洗いの手順と同様に、手の平、手の甲、指先と爪の間、指の間、親指のまわり、手首にしっかりアルコール消毒薬をすり込むようにしてください。
部屋の加湿
のどの防御機能が低下しないよう、室内の加湿をして空気の乾燥を防ぐことが大切です。
加湿器を使用するほか、濡れたタオルを室内にかけるだけでも加湿できます。湿度50~60%を維持できると良いでしょう。
免疫力を上げる生活習慣
感染症に罹患しないためにも、日頃から免疫力を上げておくようにしましょう。免疫力を上げるには生活習慣を整えることが大切です。
栄養バランスの良い食事と十分な睡眠や休息が、免疫力向上につながります。また、適度な運動や入浴などで体を温めることもおすすめです。
▼のどの激痛が続くときは早めに医療機関へ
のどの激痛の主な原因は感染症ですが、のどを酷使する習慣が関与するケースもあります。激痛を放置すると重大な疾患につながることもあるため、医療機関の受診が必要です。
自宅での応急処置として、うがい薬やトローチの使用で痛みが和らぐ可能性もあります。受診する前に少しでも痛みを緩和したい場合は試してみてください。
日頃から感染症を予防するために生活習慣を見直し、できることを取り入れましょう。
佐藤医師からのコメント
喉に激痛が起こる原因としては、ウイルスや細菌感染、空気の乾燥、喫煙や飲酒のし過ぎ、喉の酷使が考えられます。痛みを和らげるために自宅でできるケアとしては、うがい薬・トローチやのどスプレーなどがありますが、激痛が持続するときは早めに医療機関を受診するようにしましょう。
監修者
医師:佐藤留美
内科医・呼吸器科医・感染症科医・アレルギー科医。
久留米大学医学部を卒業後、同大学病院や市中病院にて臨床医として研鑽を積む。大学院では感染症学の研究に励み、医学博士号を取得。臨床面では内科・呼吸器・感染症・アレルギーなどの専門医及び指導医となり、同大学関連の急性期病院にてCOVID-19の診療など第一線で活躍。その傍ら、現在は藤崎メディカルクリニックの副院長として地域医療にも取り組んでいる。(2024年4月現在)