2024.02.14
【医師監修】のどのできものとは?種類と対処法・予防法を紹介
のどにできものができている方、または、のどにできものができやすい方もいるでしょう。のどのできものが病気ではないかと不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
今回は、のどにできるできものの種類や、できものができたときの対処法、医療機関を受診するタイミングを紹介します。
できものができやすくて悩んでいる方のために、予防方法も紹介するので、のどのできものや違和感に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
▼のどのできものの種類は?
のどのできものの主な種類には、以下の5つが考えられます。
● 膿栓
● 急性咽頭炎・扁桃炎
● 口内炎
● 咽頭乳頭腫・ポリープ
● ウイルスによる感染症
以下では、それぞれの原因について詳しく解説していきます。
膿栓
膿栓とは、扁桃に発生する白いできもので、誰でもできる可能性があります。膿栓のなかには、食べ物のカスや細菌の死骸が溜まっており、やわらかくて臭いのが特徴です。
膿栓は耳鼻咽喉科で比較的簡単に除去できますが、再発することも多い傾向にあります。膿栓の除去を行っていない病院もあるので、事前に確認してからの受診をおすすめします。自身で除去しようとすると、扁桃腺を傷つける可能性があるのでやめましょう。
急性咽頭炎・扁桃炎
急性咽頭炎・扁桃炎により、膿栓ができる場合があります。悪化すると、扁桃腺全体に白苔と呼ばれる膿が付着します。
急性咽頭炎・扁桃炎とは、ウイルスや細菌感染により発症する上気道感染症で、発熱やのどの痛みなどの症状が出ます。ウイルスと扁桃組織が戦い、死骸となったウイルスが膿栓の原因となります。
急性咽頭炎・扁桃炎は、抵抗力が弱まったときや疲れたときに発症しやすい傾向にあります。咽頭炎と扁桃炎の区別は難しく、急性咽頭炎・扁桃炎と呼ばれます。
口内炎
口内炎とは、口からのどにかけての粘膜にできる炎症です。誰にでもできる可能性があり、比較的身近な疾患といえます。
口内炎の主な種類は、アフタ性口内炎・カタル性口内炎です。2つの口内炎の特徴は以下を参考にしてください。
口内炎 の種類 |
原因 |
---|---|
アフタ性 | 偏った食事・ストレス・ドライマウスなどが原因で起きる |
カタル性 | 口の中を噛んだ・入れ歯や虫歯、形の悪い歯により傷ついた、火傷をした、など物理的な刺激が原因で起こる |
ほかにもウイルスやアレルギー、薬の副作用も口内炎の原因となることがあり、抗がん剤や放射線治療により、口内炎が生じやすくなる例もあります。
咽頭乳頭腫・ポリープ
咽頭乳頭腫・ポリープは、のどにできる良性の腫瘍です。声帯ポリープは、無理して大声を出し続けることで発生しやすくなります。大声を出すと声帯の粘膜が充血し、ひどくなると充血が血腫となるでしょう。さらに悪化すると、血腫はポリープとなります。
声帯ポリープの症状は、声がかすれる・声が変化するなどです。
咽頭乳頭腫は、ヒトパピローマウィルスがのどに付着することで発生します。良性ではありますが、切除しても再発する場合があります。
ウイルスによる感染症
ウイルスによる感染症で、のどにできものができることもあります。具体的には、ヘルパンギーナ・手足口病などです。
ヘルパンギーナは夏風邪の代表的疾患で、発熱と口腔粘膜に水疱畳の発疹がでます。5歳以下で発症する割合が90%以上を占めます。
手足口病は、手・足・口に水疱畳の発疹が現れます。4歳までの幼児がかかりやすい傾向にあり、成人での発症はまれです。
▼のどのできものが気になるときの対処法
のどのできものができたとき、適切な対処法がわからない方も多いでしょう。
以下では、自宅でののどのケアと、のどにできものができた場合に受診するべき医療機関を紹介します。
のどに負担をかけないようにする
のどにできものができても熱やひどい症状がない場合は、のどに負担をかけないよう気をつけつつ自宅で様子を見ましょう。食事のメニューは、辛いものや熱いもの、味の濃いものは避けてください。
様子を見る段階では、うがい薬を使ってうがいをする、薬用トローチ、のどスプレーなどを使って早めの改善を目指しましょう。また、口内が乾燥しないよう、こまめな水分補給も心がけると良いです。
改善しない場合は医療機関を受診する
のどのできものがなかなか治らない、または悪化する場合には、医療機関を受診しましょう。のどの症状を診てもらえるのは耳鼻咽喉科です。口内炎なら歯科でも良いでしょう。
のどのできものの多くは、数週間で治る場合が多いですが、まれに咽頭がんや喉頭がんなど悪性の腫瘍の場合もあります。なかなか治らないできものがあるときは、放置しないようにしましょう。
▼のどのできもので医療機関を受診するタイミング
発熱やのどの痛みがあり、急性咽頭炎・扁桃炎、ヘルパンギーナ・手足口病が疑われる場合は、すぐに医療機関を受診して適切な治療を受けましょう。
口内炎はだいたいの場合自然に治りますが、2週間以上治らない場合には、医療機関を受診してください。のどを酷使することが多い方も、声のかすれが2週間以上続く場合には耳鼻咽喉科を受診するべきです。
そのほかでのどの違和感が続く場合にも、2週間を目安に医療機関を受診すると良いでしょう。
▼のどのできものを予防する方法
のどのできものを予防する主な方法は次の3つです。
● 口内を乾燥させない
● 口内を清潔に保つ
● のどを酷使しない
それぞれの予防方法について、以下で詳しく解説します。
口内を乾燥させない
ドライマウスはできものができる原因になります。それぞれの疾患が乾燥によってできやすくなる経緯は以下のとおりです。
疾患 | 乾燥によりできやすくなる経緯 |
---|---|
口内炎 | 粘膜を保護する力が低下し、口内炎ができやすくなる |
膿栓 | 乾燥により扁桃炎が起こりやすくなる |
ウイルス性 の感染症 |
乾燥により感染率があがる |
声帯 ポリープ |
声帯粘膜は乾燥に弱いので、声帯ポリープができやすくなる |
のどや口内を乾燥させないためには、部屋の加湿・うがい・こまめな水分補給・鼻呼吸を心がけるのが効果的です。
口内を清潔に保つ
のどのできものの予防には、口内を清潔に保つことが大切です。口内が不衛生だと、膿栓や口内炎ができやすくなります。食事後や帰宅時には、必ずうがいをしましょう。うがいをする際には、殺菌効果があるうがい薬を使用するとより口内を清潔に保てます。
うがいだけでなく、歯磨きをして口内を清潔にするようにしましょう。
のどを酷使しない
日常生活では、のどを酷使しないよう注意しましょう。無理に大きな声を出し続けると、声帯ポリープになる可能性が高まります。大きな声を出す必要があるときは、マイクやメガホンを使用してください。
また、ささやき声ものどの負担がかかります。タバコの煙や汚れた空気もなるべく避けるようにしてください。
▼のどのできものを予防しよう
のどのできものにはさまざまな種類がありますが、口内の乾燥や不衛生さが原因であることが多いです。
のどにできものがあるときは、悪化させないためにも、のどに負担をかけないようにしましょう。違和感が残るときは、うがい薬やのどスプレー、薬用トローチがおすすめです。
のどのできものを予防するためには、口内を清潔に保ち、乾燥を防ぐことが大切です。こまめな水分補給や部屋の加湿を心がけましょう。
のどにできものができてから2週間以上改善しない場合は、放置せずに必ず医療機関を受診してください。
佐藤医師からのコメント
のどのできものの主な種類として、膿栓、急性咽頭炎・扁桃炎、口内炎、咽頭乳頭腫・ポリープ、ウイルスによる感染症があります。こういったできものを予防するためには、口内の乾燥を防ぎ、清潔に保つことが大切です。こまめな水分補給、うがいや薬用トローチ、のどスプレーなどを使用して様子を見ても2週間以上改善しない場合は、医療機関を受診するようにしましょう。
監修者
医師:佐藤留美
内科医・呼吸器科医・感染症科医・アレルギー科医。
久留米大学医学部を卒業後、同大学病院や市中病院にて臨床医として研鑽を積む。大学院では感染症学の研究に励み、医学博士号を取得。臨床面では内科・呼吸器・感染症・アレルギーなどの専門医及び指導医となり、同大学関連の急性期病院にてCOVID-19の診療など第一線で活躍。その傍ら、現在は藤崎メディカルクリニックの副院長として地域医療にも取り組んでいる。(2024年2月現在)