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肌がかゆいのは、もしかすると乾燥肌だからではなく蕁麻疹の症状である可能性もあります。
蕁麻疹には比較的短期間で治るものと、1ヶ月以上症状が続く慢性のものとあり、いずれもかゆみを伴うことから、乾燥肌によるかゆみと間違ってしまうことがあります。
今回は、乾燥肌によるかゆみと蕁麻疹の違い、乾燥肌によるかゆみの解消法などについて解説するので、ぜひ参考にしてください。
肌がかゆい…もしかして蕁麻疹?
蕁麻疹は皮膚疾患の1つで、かゆみ以外にもむくみや発疹などの症状が見られます。一方、乾燥肌は肌の水分が不足した状態のこと。肌がうるおえば、かゆみなどの症状は治まることがあります。
では、蕁麻疹とは具体的にどのような病気なのでしょうか。症状や原因について見ていきましょう。
蕁麻疹の主な症状
蕁麻疹の症状としては、むくみや発疹などが皮膚に見られることがあります。
虫に刺されたときのように数ミリ程度の小さな発疹があらわれることや、水ぶくれのような大きな発疹があらわれたりすることがあります。蕁麻疹はかゆみを伴うため、乾燥肌によるかゆみと迷う方も少なくありません。
蕁麻疹の発疹やむくみは、何度かあらわれたり消えたり繰り返されるケースが多いです。しかし、大抵のケースでは1週間以内、長く続いても1ヶ月以内の比較的短期間で症状が軽減します。
また、後で詳しく解説しますが、1ヶ月以上症状が続くなら「慢性蕁麻疹」の可能性があるかもしれません。
蕁麻疹の原因
蕁麻疹は何らかのきっかけや刺激によって症状があらわれます。症状が生じた原因によってアレルギー性と非アレルギー性に分けられますが、どちらもかゆみや発疹などの症状が出るため、見ただけではどちらの蕁麻疹なのか区別はつきにくいです。
アレルギー性の蕁麻疹は、動物のフケや食品、花粉やホコリなどが原因となることがあります。一方、非アレルギー性の蕁麻疹は、擦れや圧迫、寒さや暑さなど、物理的な刺激を受けることが要因となる場合があります。
ただし、要因がわからない蕁麻疹の発症も珍しくありません。原因が明らかではない蕁麻疹は、疲労やストレスなどによって症状が出ることもあります。
蕁麻疹は症状があらわれる長さによって、急性蕁麻疹と慢性蕁麻疹に分けられます。1ヶ月以内に症状が治まる場合は急性蕁麻疹、1ヶ月以上続く場合は慢性蕁麻疹と言われています。
いずれも特定の刺激によって症状が出るときは、その原因と思われる刺激を避け、ストレスや疲労を溜めないようにしましょう。
また、症状が良くならないときは早めに医療機関を受診してください。医師の説明を聞き、用法・用量を守って服薬しましょう。
乾燥肌によるかゆみと蕁麻疹の違い
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加齢や生活習慣の乱れ、ストレスなどのさまざまな原因により角質層がダメージを受け肌のバリア機能が崩れると、肌内部から水分が蒸発し、肌は水不足の状態になります。その結果として「乾燥肌」になることがあります。
肌が全体的に乾燥している場合は、保湿ケアでかゆみの症状が軽減されることがあります。乾燥肌のケアを行ってもかゆみが治まらないとき、あるいは肌に発疹が見られるときは、蕁麻疹の可能性があります。医療機関を受診し、医師に相談しましょう。
乾燥肌によるかゆみの解消法
乾燥肌が原因でかゆみの症状が出る場合は、かゆみのときだけ保湿ケアをするのでは効果を期待できないでしょう。かゆみの有無に関わらず、日頃から保湿ケアを行うことが大切です。
尿素、セラミドなどの保湿成分が含まれたスキンケアアイテムを活用することでうるおいを取り戻し、乾燥肌が和らぐこともあります。
また、乾燥しているだけでなく湿疹などを伴うかゆみが生じている場合には、医療機関でステロイド外用薬や抗アレルギー剤が処方されるケースもあります。医師の説明に従い、用法・用量を守って正しく使用するようにしましょう。
また、クレンジングや洗顔など、スキンケア方法を見直すことも大切です。顔や体を洗うときは、強く擦らないようにしましょう。擦ると刺激となり、肌の状態が悪化してしまうことがあります。
ナイロンタオルなどの硬い素材は使用せずに、石鹸をしっかりと泡立て、手を使ってやさしく洗います。
洗浄力が強いボディーシャンプーや石鹸、洗顔フォームを使うことも、肌の乾燥を促進させてしまう場合があります。できるだけマイルドなアイテムを使い、肌自身が持つうるおいを取りすぎてしまわないようにしましょう。
入浴後や洗顔後はすぐに保湿することも大切です。タオルで濡れた肌を擦らずに拭き、すぐに化粧水や乳液などで保湿をするように心がけましょう。
肌の水分の蒸発を防ぐため、室内の湿度を50~60%にキープすることもおすすめです。エアコンを長時間つけていると空気が乾燥するので、適度に換気をしたり、加湿器を使ったりするようにしましょう。
乾燥肌や蕁麻疹など肌のかゆみの原因を知り、適切なケアをしよう
肌にかゆみが生じているときは、肌の乾燥が原因となっているのか、それとも蕁麻疹由来なのか観察してみましょう。
肌全体が乾燥した状態になっているときは、乾燥肌が原因でかゆみの症状が出ているかもしれません。かゆみがあるときだけでなくないときも丁寧に保湿ケアをしましょう。
湿疹や蕁麻疹、強いかゆみの症状がある場合は、医療機関を受診することが大切です。薬を処方されたときは用法・用量を守り、適切にケアをして不快な症状を軽減させましょう。
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皮フ科かわさきかおりクリニック院長。医学博士、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本抗加齢医学会専門医。
兵庫医科大学病院初期研修医、皮膚科入局からキャリアをスタートし、病院やクリニック勤務を経て、現クリニックを開院。 皮膚科専門医として、女性医師として、母として、患者さんの心と身体に寄り添うことを信条としている。
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川﨑医師よりコメント
乾燥肌の場合は皮膚表面が粉を吹いたように見えたり、ひどい時はうろこ状の皮膚になっていたりすることが多いです。一方蕁麻疹は蚊に刺されたような膨疹と言われる発疹が特徴的です。