コラム
COLUMN
冬の寒い季節になると、背中にかゆみを感じることはありませんか。背中がかゆいと手が届かずイライラしたり、どんな状態になっているのかもわかりづらかったりと辛い状態になります。
実は、そのかゆみの原因は「乾燥肌」かもしれないのです。しかも、背中のかゆみを放置すると、今より大変な状態になってしまう可能性があります。
そこで、この記事では背中のかゆみの原因として考えられるものや、放置する危険性、かゆみの対策方法まで解説していきます。背中のかゆみにお悩みの方は、ぜひご一読ください。
背中がかゆいのは乾燥肌だから?
そもそも「乾燥肌」とは、どのような状態なのでしょうか。乾燥肌は、肌の一番外側の角質層の水分が少なくなり、皮脂の分泌量も低下することによって乾燥した状態になることです。
水分も油分も少なくなった肌は、肌内部の水分の蒸発を防ぐ「バリア機能」が低下し、外部からの刺激を受けやすい状態になります。
すると、肌は異物が付着したときに刺激として察知し、肌内部の細胞から「かゆみ物質」を分泌してしまうのです。
また、外部からの刺激だけでなく、乾燥が原因でできた湿疹がかゆい場合もあります。湿疹になると、肌がカサカサと粉をふいたような状態になったり、赤くなったりして強くかゆみを感じる可能性もあります。
背中のかゆみの原因は乾燥肌だけではない
背中のかゆみは、乾燥肌の他にもニキビ、蕁麻疹(じんましん)、石けんのすすぎ残し、かぶれなどさまざまな原因が考えられます。
ニキビはかゆくなるイメージがあまりない方も多いと思いますが、実はかゆみを伴うこともあります。背中はニキビができやすい場所でもあるので、毛穴が赤くなりポツポツとした状態になっている場合は、ニキビがかゆみの原因の可能性があります。
他にも、背中は見えにくい場所なので石けんのすすぎ残し、湿布などのかぶれが原因でかゆくなっていることもあるのです。
また、蕁麻疹で背中がかゆくなることもあります。蕁麻疹は、食べ物やストレスなどが原因といわれており、皮膚が赤く盛り上がり、強いかゆみを伴います。
このように、背中のかゆみにはさまざまな原因が考えられます。しかし、背中は見えにくくご自身で原因を判断することが難しい場所。かゆみが強い場合は、早めに皮膚科を受診するようにしてください。
そもそも背中は乾燥しやすい部位
実は、背中は数ある体のパーツのなかでも、乾燥しやすい部位です。以下で、背中が乾燥しやすい理由を解説していきます。
●他の部位より皮脂腺が少ないといわれている
「皮脂腺」とは、皮膚を外部の刺激から守る皮脂をつくっているところです。背中は頬や頭などの部位より皮脂腺が少ないといわれています。特に皮脂腺の量に対し皮膚の面積が広い背中は、乾燥しやすくなってしまうと考えられています。
●手が届きにくく保湿ケアが不十分になりがち
背中は手が届きにくいため、セルフスキンケアが不十分になりやすい場所です。腕や脚にはボディクリームを塗っても、背中に塗らないということはありませんか。
つい保湿ケアを怠ってしまい、気が付くと背中が乾燥してかゆくなってくることも少なくありません。
背中のかゆみを放置したらどうなる?
背中のかゆみを放置すると、赤くなったり、水ぶくれになったりする可能性があります。この状態を「乾燥性皮膚炎(皮脂欠乏性湿疹)」といいます。
乾燥性皮膚炎になると乾燥が進行し、患部をかいてしまうと炎症がひどくなることも…。背中のかゆみを放置すると症状が悪化するだけではなく、治りが遅くなってしまう可能性があるので、できるだけ早く対処する必要があるのです。
乾燥肌による背中のかゆみ対策
では、背中のかゆみの原因の多くである乾燥肌を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。以下の見出しで、背中の乾燥を防ぐための方法をご紹介していきます。
●保湿剤を使用してしっかり保湿をする
まずは、背中をしっかり保湿して、肌の「バリア機能」を保つことが大切です。背中は手が届きにくいですが、日常のケアが必要です。
また入浴後は肌が乾燥しやすいので、なるべく早く肌に水分が残っている状態のうちに、なるべく早く保湿剤を使用するとしっとりしやすいです。
背中に使用する保湿剤は、とろみのあるローションや乳液タイプのもの、白色ワセリンなどが使いやすいでしょう。
●入浴方法を見直す
背中を乾燥させない方法で、ポイントとなるのが入浴方法です。入浴は肌のうるおいを守る皮脂も洗い流すため、肌を乾燥させないように注意する必要があります。
まず、湯船の温度は40℃以下のぬるめに設定することです。熱いお湯につかると、皮脂を落としすぎる可能性があります。
また体を洗うときは、石けんを綿素材のタオルや手で泡立てて、ゴシゴシこすりすぎないように洗いましょう。石けんは刺激がほとんどないものを選ぶことがポイントです。
そして、体や頭髪を洗ったあとはすすぎ残しがないように、しっかり泡を洗い流しましょう。
●洋服は繊維にも注目して選ぶ
背中は洋服に触れている面積が広いので、繊維が肌の刺激になることも。
保湿性のある木綿素材のものを選ぶことがおすすめです。
●室内の湿度は60%を目安にする
背中の乾燥を防ぐために、室内の湿度を60%程度に保つようにしましょう。寒い季節、暖房やストーブをつけていると、想像以上に部屋は乾燥しています。
部屋が乾燥すると乾燥肌の原因となるので、室内の湿度をチェックし加湿器などで適切な湿度を保つように心がけましょう。加湿器がない場合は、洗濯物を干したり、水を入れたものを置いたりするだけでも湿度がアップします。
●こまめな水分補給を心がける
乾燥肌の対策では、水分をこまめに補給するのも大切です。スキンケアや部屋の加湿も重要ですが、体の内側からうるおすことも必要なのです。
肌と体が適切な水分量を保つには、1日に1.5~2リットルの水分摂取をしなければいけないとされています。のどが渇いたと感じるときには、すでに体は水分不足の状態ですので、その前に水分を補給しましょう。
また、一度にたくさん水分を補給しても尿として排出されてしまうので、こまめに摂るのがポイントです。その際、コーヒーや紅茶など、カフェインを含んだものにも利尿作用があるため、水分は水や麦茶で摂るようにしてください。
●ターンオーバーを整える生活習慣を送る
「ターンオーバー」とは、肌が古いものから新しいものへ生まれ変わることです。乾燥肌の対策として、このターンオーバーを整える生活習慣を送ることもポイント。
偏った食事による栄養不足や睡眠不足は、ターンオーバーを乱れさせる原因となります。新陳代謝をあげるビタミンB2とB6、バリア機能を維持する必須脂肪酸、肌の原料となるたんぱく質を中心に栄養バランスのよい食事を心がけましょう。
また睡眠時間はしっかり確保し、寝る前は自身にあった方法でリラックスして良質な睡眠をとるようにしてください。
乾燥肌の方は背中もしっかり保湿!症状が酷い場合は医療機関へ
背中のかゆみの主な原因は、乾燥によるものです。乾燥肌の方は、ローションや乳液、白色ワセリンなどでしっかりと保湿ケアをして、生活のなかでも乾燥しにくい状態をキープできるようにしていきましょう。
しかし、かゆみや赤みがひどい場合やニキビやかぶれが原因の場合は、皮膚科の受診も検討してください。
金沢医科大学医学部を卒業後、大学病院で小児科、市中病院で内科医として勤務。皮膚科、美容皮膚科でも研鑽を積み、2018年クリスタル医科歯科クリニックにて内科、アレルギー科、美容皮膚科を開設。内科院長として勤務。
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乾燥肌治療薬
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第2類医薬品
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- ローション
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- Hクリーム
- 泡フォーム
中島医師よりコメント
背中のかゆみは乾燥肌からくることが多いです。身体を洗う時は背中をあまりこすりすぎないようにし、入浴後に保湿を行ってください。また、蕁麻疹、ニキビ、脂漏性皮膚炎など治療の必要なものもありますので痒みが強い場合は医療機関を受診してください。