コラム
COLUMN
肌が乾燥するとかゆみの症状があらわれ、掻きむしりたくなる方も多いでしょう。しかし、むやみに掻いてしまうと肌の表面が傷つき、炎症を起こしてしまいます。乾燥肌によるかゆみを軽減するためにも、しっかりと肌を保湿することが大事です。
今回は「乾燥肌とかゆみの関係」や「市販薬の使用」、「適切なスキンケア方法」について紹介します。今まさに乾燥肌にお悩みの方はぜひ参考にしてください。
なぜ乾燥肌はかゆみを伴うのか?
そもそも、なぜ乾燥肌になるとかゆみ症状となるのでしょうか。その理由は「肌のバリア機能の低下」が考えられます。
乾燥肌とかゆみの関係について詳しく解説しましょう。
●乾燥肌の症状
乾燥肌になると、肌全体の見た目がカサカサし、手で触れるとパサつきやざらつきを感じるようになります。表面をよく見てみると、肌がひび割れたように見えることも。
日常的に何も異変がなくても、入浴後や洗顔後に肌がつっぱることもあります。また、メイク後にファンデーションやパウダーが浮いてしまったり、皮膚がフケのように肌の表面が粉ふいたりすることも乾燥肌である可能性があります。
乾燥肌の判断材料はさまざまな事象がありますが、肌のうるおいが感じられなくなったら乾燥している状態と考えて良いでしょう。
●乾燥肌の原因
乾燥肌は、肌に必要な水分や皮脂が失われた状態です。乾燥肌の大きな要因は「加齢」だといわれています。
年齢を重ねるごとに肌の水分を保持する細胞の生成も低下し、皮脂分泌量も減少傾向にあります。皮脂の分泌量が減少することで肌にハリを与えるコラーゲンやヒアルロン酸などの保湿成分も減少します。乾燥肌は年齢肌を加速させる原因になりかねません。
乾燥肌の原因は加齢だけではなく、環境も関係しています。季節の変わり目や部屋の環境・日焼けも原因のひとつとされています。また、睡眠不足やストレスも肌環境の乱れに関わりがあるといわれているので、乾燥肌を改善したい方は生活習慣の見直しも大切です。
●乾燥肌で肌がかゆくなる理由
乾燥肌とかゆみの原因は「肌のバリア機能」の低下が関係しています。この機能は、皮膚内の水分の蒸発を防ぐ保湿の役割や、外部からの刺激・異物から肌を守る役割を果たしています。
角質細胞の中にある「NMF(天然保温因子)」や、皮脂と汗腺からできている「皮脂膜」、セラミドやコレステロールなどの油溶性保湿成分「細胞間脂質」がそれぞれバランスを保つことで水分の蒸発を防いでいるのです。
何らかの要因で肌のバリア機能が上手く働かなくなり、乾燥が進むとアレルゲンや異物による外的刺激を肌でダイレクトに感じ、かゆみの症状となって表れることもあります。
また、バリア機能が上手く働かなくなることで、かゆみを感じ取る神経が表皮側に伸びることもかゆみの原因だといわれています。
かゆみが気になる乾燥肌にも市販薬のかゆみ止めを使って良いの?
かゆみが我慢できない時は、市販薬を使って症状を和らげる方法もあります。ただし、乾燥肌がかゆみの症状の原因である場合は、今の肌の状態に合った市販薬を使うことが大切です。
乾燥肌にも使える市販薬を購入したい方は、用法用量を確認するためにも、薬剤師が在中しているドラッグストアで相談することをおすすめします。もしも深刻な乾燥肌にお悩みの場合は、皮膚アレルギーなどの病気が潜んでいるかもしれません。その場合は、医師の診断を受けるようにしてください。
また、薬剤や食物アレルギーをお持ちの方も、事前に医師に相談するようにしましょう。
かゆみ止めに入っている一般的な成分
市販薬のかゆみ止めに配合されている、一般的な成分をまとめました。・抗ヒスタミン成分
(ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミンなど)
・局所麻酔成分
(ジブカイン、リドカインなど)
・ステロイド成分
(デキサメタゾン・プレドニゾロン・ ヒドロコルチゾンなど)
かゆみ止めは成分だけではなく、市販薬の種類によって使用感が異なります。クリームタイプや液体・ゲルやパッチ上のかゆみ止めなど、使い勝手の良さにも注目して商品を選びましょう。
乾燥肌が原因のかゆみ予防には普段の保湿ケアも大切
乾燥肌が原因のかゆみを予防するためには保湿ケアをしっかりすることも大切です。適切なスキンケアを行い、みずみずしいうるおいのある肌を手に入れましょう。
まずは普段のスキンケア方法を見直し、保湿ケアを行ってみてください。
●化粧水や乳液・保湿クリームで肌のうるおいキープ
乾燥肌を引き起こさないためにも化粧水や乳液・保湿クリームなどのスキンケアアイテムを活用し、肌に必要な水分と油分をたっぷり与えてください。
保湿成分として有名なのはヒアルロン酸やコラーゲンですが、尿素も保湿ケアに欠かせません。尿素は肌のバリア機能を構成する「NMF(天然保温因子)」成分のひとつです。尿素は肌内部へ水分を与えしっかり保水し、皮脂と混ざり合うことで肌のバリア機能を保つ作用に期待ができます。
スキンケア商品の買い替えを検討中の方は、尿素を含む商品も視野に比較検討してはいかがでしょうか。
●スキンケアのポイント
スキンケアは「タイミング」も重要です。入浴後や洗顔後は肌の水分が失われやすくなっているので、洗浄後3分以内に化粧水や保湿クリームを塗布することが望ましいです。
スキンケアを行う際は手を洗い、清潔にしておくようにしましょう。汚れや雑菌を一緒に肌へ塗り込まないよう、衛生面にも気を付けてください。
スキンケアアイテムは人肌に温めてから肌にのせると肌なじみが良くなります。手のひらの上で人肌程度に温めてから塗布するようにしましょう。
また肌に与えた水分を最後に閉じ込めることも大切です。乾燥が気になる箇所では保湿クリームを重ね塗りするなど、工夫しながらスキンケアを行ってください。
●シンプルな「ワセリン」もおすすめ
スキンケアの仕上げとして「ワセリン」の活用もおすすめです。ワセリンは石油から抽出した炭化水素類を精製して作られた保湿剤で、肌に塗ることで膜となり、外的刺激から肌を守ってくれます。
ワセリンは肌の角質層まで届かないという特徴があります。角質層まで浸透しないため肌への刺激や負担が軽減されるので、肌が弱い方でもご使用いただけるのがメリットです。ベビー用のワセリンも販売されており、子育てをされている方からも選ばれています。
ワセリンは無味無臭なので保湿クリームなどのニオイが気になる方もご使用いただけます。スキンケアの仕上げとして広く愛用されているので、肌の乾燥が気になる方は、この機会にぜひワセリンを試してみてはいかがでしょうか。
乾燥肌は日頃の保湿ケアで予防!スキンケアの方法も見直してみよう
乾燥肌が不快なかゆみの症状となる前に、日頃からきちんと保湿ケアに取り組むことが大切です。まずはスキンケアのタイミングや、ご使用中のスキンケア商品を見直してみましょう。愛用中のスキンケア商品を変えたくない方は、仕上げの保湿剤としてワセリンを活用してみてはいかがでしょうか。
うるおいのある若々しい肌を手に入れるためにも、今の肌の状態を確かめながら、保湿ケアをしっかり行いましょう。
金沢医科大学医学部を卒業後、大学病院で小児科、市中病院で内科医として勤務。皮膚科、美容皮膚科でも研鑽を積み、2018年クリスタル医科歯科クリニックにて内科、アレルギー科、美容皮膚科を開設。内科院長として勤務。
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乾燥肌治療薬
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第2類医薬品
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中島医師よりコメント
乾燥肌は肌表面のバリアが正常に機能しないため、衣服のこすれや石鹸の刺激でも痒みを起こすことがあります。乾燥している箇所は1日を通じて保湿をしっかり行うことが大切です。症状がひどい場合は、医療機関を受診し炎症止めや痒み止めの処方を受けてください。