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コラム
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2020.10.12

乾燥肌・スキンケア

【医師監修】乾燥肌はどうして白い粉を吹く? 粉吹き顔になる原因と対策

乾燥肌が進むと、肌表面のカサつきがひどくなり、まるで白い粉を吹いたような”粉吹き顔”になるケースがあります。なぜ、粉吹き顔になってしまうのでしょうか。そして、粉吹き顔を改善するには、どのような対策を行えばよいのでしょう。今回は、粉吹き顔になる原因と対策について解説します。

【乾燥肌向け】粉吹き顔になってしまう原因

乾燥肌になると、肌が白く粉を吹いたような「粉吹き顔」になることがあります。これは、肌の最も外側にある角質がはがれかけている状態なのですが、なぜこのような症状になるのでしょうか。これを紐解くため、まずは肌と角質の関係や、角質が産生されるメカニズムについて解説します。

●健康な肌と角質の関係
肌は大きく分けると最も外側から「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層で構成されており、表皮の最も外側を覆うのが、「角質層」です。健康な肌の場合、この角質層は均等な大きさの角質がレンガのように積み重ねられて形成されており、角質と角質のすき間は細胞間脂質(セラミド)でしっかり埋められています。これが、角質層が整っている状態です。角質層が整うことで、肌は内部の水分を保持し、それと同時に、外部からの刺激もしっかりブロックすることができます。こうした肌の働きが「バリア機能」と呼ばれるものです。

整った角質で角質層が形成されることで、バリア機能がしっかり役割を果たし、肌の健康は維持されています。それでは、角質の”質”は何によって左右されるのでしょうか。続いて、詳しくみていきましょう。

健康な肌のバリア機能

●規則的なターンオーバーが理想の角質を育てる
そもそも角質は、肌の細胞が新しく入れ替わる代謝の仕組み(ターンオーバー)によって、常に生まれ変わっています。表皮の一番奥にある「基底層」で産生された角化細胞が、成熟しながら表面近くに押し上げられていき、角質層に到達する頃には、最終形態である角質細胞(角質)となって自然にはがれ落ちるのです。この一連の工程が行われる理想的な周期は4週間前後といわれており、この期間より長くても、また短くても、質のよい角質が産生されないと考えられています。

つまり、健康な肌であるためには、ターンオーバーを整え、角質をしっかり成熟させてから排出していくことが大切なのです。

●角質の未成熟化が粉吹き顔を招く
しかしながらターンオーバーは、加齢とともに乱れやすくなるほか、外部からの刺激によっても崩れることがあります。ターンオーバーが乱れると、角質が十分に育たないまま、表面付近まで押し上げられます。未成熟の角質は自然にはがれ落ちにくいため、役目を終えた後もきれいに排出されず、肌に積み重なってしまいます。未成熟の角質が積み重なった角質層は、バリア機能が低く、外部から摩擦が加わると、角質が簡単にめくれてしまいます。この、めくれた角質が粉を吹いたように見える”粉吹き顔”を引き起こしているのです。

【乾燥肌向け】粉吹き顔を予防・改善する対策

正しい洗顔時の泡のイメージ

粉吹き顔を改善するには、角質層を潤いで満たして角質をめくれにくくすると同時に、ターンオーバーを整えて、角質細胞の未成熟化を防ぐことが大切です。以下のポイントを参考に、粉吹き顔の対策を行いましょう。

●角質層を潤いで満たすスキンケア
粉吹き顔は、角質層の水分や細胞間脂質が不足しているため、角質がめくれやすくなることで生じます。そのため、肌の表面だけでなく、角質層の奥までしっかり潤すスキンケアが大切です。オススメは、高い親水性と保湿性のあるヘパリン類似物質を含む保湿剤です。この成分は角質層の内部まで浸透するため、粉を吹くほど進行した乾燥肌にも、優れた保湿効果を発揮してくれます。ヘパリン類似物質は乾燥肌の治療薬として皮膚科で処方されていますが、ドラッグストアでもこの成分を含むローションやクリームが市販されています。全身に使えますが、目や口の粘膜、傷口などに誤って塗ると、刺激を感じる場合があります。使い方が気になる場合は、薬剤師に相談してから購入しましょう。

また、細胞間脂質を構成する成分の約半分を占めるセラミドや、肌の潤いを守る天然保湿因子の主成分であるアミノ酸を含んだ保湿剤も、粉吹き顔対策に効果的でしょう。

●角質層を傷つけない、正しい洗顔方法
洗顔する際、石けんを十分に泡立てていないと、手指で肌をこすってしまう可能性があり、肌の表面に強い摩擦が生じ、角質層を傷つけてしまいます。洗顔する際は泡立てネットなどを用いて石けんを十分に泡立て、泡で顔を包み込むようにして優しく洗いましょう。また、すすぐ際は皮脂を取り過ぎないよう、38~40度程度のぬるま湯を使います。シャワーを直接顔に当てると、水流が強すぎて、角質層にダメージを与える可能性があるため、必ず両手でお湯をすくい、すすぎ残しのないよう、丁寧に洗い流しましょう。

すすぎ終わったら、柔らかいタオルを肌に押し当てるようにして、そっと水気をぬぐいます。この時もタオルでゴシゴシこすらないよう、注意して行いましょう。

●ターンオーバーを整える栄養を摂取
加齢によるターンオーバーの乱れは、自然な変化であるため、防ぐことは難しいです。しかし、日々の食事でターンオーバーを整える栄養素をしっかり摂取することで、よい状態を保つことは可能です。積極的に取りたい栄養素と、それを豊富に含む食材を紹介しますので、ぜひ毎日の食事に取り入れましょう。

栄養素を豊富に含む食材例

ファンデーションもきれいにのる! 粉吹き顔のメイクのコツ

メイクを行う女性

乾燥肌はカサついているため、潤いのある健康な肌に比べてメイクのノリがよくありません。特に粉を吹いた箇所は、メイクの仕方を誤ると、毛羽立ったように見えてきれいに仕上がらない場合があります。

粉吹き顔にメイクする際は、メイク前に角質層をしっかり潤し、角質のめくれを抑えることが大切です。先に解説したスキンケアのポイントを参考に、十分に保湿してからメイクに取り掛かりましょう。化粧下地には、保湿効果のあるタイプを使います。潤いの持続時間が長くなるので、メイク崩れが起こりにくいです。

仕上げのファンデーションは、油分を含むリキッドタイプがオススメです。少量ずつ、指で優しく伸ばしていきましょう。ファンデーションを塗り終わったら、何もつけてないリキッドファンデーション用のスポンジで軽く押さえます。このひと手間を加えることで、肌とファンデーションが密着し、透明感のある肌に仕上がります。
なお、ファンデーションの上からパウダーをはたいて仕上げるケースもありますが、粉吹き顔の場合、パウダーをはたくと角質の毛羽立ちが悪目立ちする可能性があります。パウダーはつけない方がよいですが、つけたい場合は、ブラシでふわっとのせるとよいでしょう。

まとめ

乾燥肌が白く粉を吹いた状態になるのは、未成熟化した角質が水分不足によってめくれやすくなるために引き起こされます。これを防ぐには、保湿重視のスキンケアを徹底して行い、それと同時に、成熟した角質を産生できるよう、食事などでターンオーバーを整える必要があります。今回紹介した対策を参考に、粉吹き顔を改善してくださいね。

中島医師よりコメント

乾燥肌による粉吹きはまずは充分な保湿が必要です。コットンに化粧水を浸して、乾燥している部位に10分程置くと簡単にパックができます。パックは10分以上置くと逆に肌の水分が逆に放出されてしまうのでご注意ください。

監修者画像

監修者

医師:中島由美

金沢医科大学医学部を卒業後、大学病院で小児科、市中病院で内科医として勤務。皮膚科、美容皮膚科でも研鑽を積み、2018年クリスタル医科歯科クリニックにて内科、アレルギー科、美容皮膚科を開設。内科院長として勤務。

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