コラム
COLUMN
まぶたがカサカサしてかゆみも出ていると、不快感が強く気になってしまいます。
また、カサカサするだけでなくかゆみもある場合は、目や皮膚の疾患が原因の可能性もあります。
まぶたのカサカサやかゆみをやわらげるには、原因を知り適切な対処を行うことが大切です。今回は、まぶたのカサつきやかゆみの原因を説明し、対処法や予防法を紹介します。
まぶたがカサカサしてかゆみがあるときの原因
まぶたがかゆい場合、目の病気のほか乾燥や外的刺激など、さまざまな原因が考えられます。
まぶたのカサカサやかゆみが引き起こされる代表的な原因について、詳しく見ていきましょう。
目の疾病(アレルギー性結膜炎など)
まぶたの裏側が炎症を起こしかゆみがある場合、アレルギー性結膜炎の可能性が高いです。ダニやハウスダストなどが原因の通年性と、花粉が原因の季節性に分けられます。
また、細菌やウイルスが原因の感染性結膜炎や、眼瞼炎(ただれ目)、ものもらい、ドライアイなどの可能性もあります。
目の疾病に関しては、原因により適切な治療法が異なります。症状が続く場合は医療機関を受診することが望ましいです。
とくに、炎症や目やにをともなう場合は、感染を広げるおそれもあるため早急に受診しましょう。
皮膚の乾燥
まぶたの皮脂や水分の減少で皮膚が乾燥すると、バリア機能が低下しカサカサやかゆみが出ます。
冬など空気が乾燥する状況では皮膚も通常より乾燥しやすく、バリア機能が低下しやすいため注意が必要です。
また、カサカサやかゆみが重いと眼瞼皮膚炎になる場合もあります。目の疾病と同様に、ウイルスや細菌、化粧品や花粉などがまぶたの刺激となり炎症を起こす疾病です。
皮膚の乾燥が原因でも悪化すれば疾病につながるケースもあるため、放置しないようにしましょう。
化粧品などによる刺激
化粧品やビューラーなどのまぶたに触れるメイクアイテム、点眼薬、コンタクトレンズなどが刺激となり、かゆみを引き起こすことがあります。
まぶたの皮膚は薄いため、ほかの部位の皮膚より刺激に反応しかぶれを引き起こしやすい性質があります。
また、かゆみが悪化すると、赤みやヒリヒリとした感覚のある接触性皮膚炎になるケースもあるため注意が必要です。
まぶたのカサつきやかゆみがあるときの対処法
まぶたがカサカサする状態やかゆみを改善するには、症状をやわらげる方法と原因を取り除く方法をあわせて実践することが望ましいです。以下で具体的な対処法を紹介します。
まぶたを冷やす
まぶたを冷やすと一時的にかゆみがやわらぎます。冷やしてかゆみが緩和すれば、まぶたをかいてしまい症状を悪化させることも防げます。
清潔なタオルに冷たい流水を含ませ、まぶたに優しく当てながら冷やしましょう。当てているうちに温度が上がってきたら、再度流水を含ませ冷やすのを繰り返すと良いでしょう。
また、保冷剤を清潔なタオルで包んでまぶたに当てる方法もあります。
市販の目薬や塗り薬を使う
ドラッグストアなどで購入できる目薬や塗り薬が、まぶたの症状緩和に役立つ可能性があります。抗菌薬入りの目薬や、花粉などの異物を洗い流すための洗眼薬など、さまざまな種類が販売されています。
ただし、市販の目薬や塗り薬は自己判断で使用するのではなく、薬剤師に相談してから購入することが重要です。
コンタクトレンズの使用やアイメイクを控える
目やまぶたに触れるものが原因でカサつきやかゆみが生じている場合は、該当するものを取り除くことで症状が緩和される可能性があります。コンタクトレンズやアイメイクを一旦控えて様子を見ることは、重症化を防ぐためにも役立ちます。
花粉などによるアレルギーが原因の場合、コンタクトレンズは症状を悪化させやすいため使用を控えることが望ましいです。
症状がひどい場合や改善されない場合は医療機関を受診する
前述のとおり、まぶたのカサつきやかゆみは目やまぶたの病気により引き起こされている場合もあります。
自己判断での対処や放置は、症状を長引かせたり悪化させたりする可能性があるため注意が必要です。重症化を防ぐためにも、症状が続く場合や赤み・腫れなどをともなう場合は、医療機関を受診しましょう。
まぶたがカサカサしてかゆみがあるときにやってはいけないこと
かゆいとまぶたをかいてしまいがちですが、かくことは悪化の原因となります。かゆい部分を擦るとヒスタミンなどの放出が促されて、さらにかゆくなってしまいます。
まぶたの腫れなどを引き起こす場合もあるため、かきむしってしまう前に冷やすなど、かゆみをやわらげる対処法を実践しましょう。
まぶたを冷やす方法を紹介しましたが、反対に温めると血行が良くなります。ドライアイや眼精疲労の改善には役立つ方法ですが、かゆみには逆効果になる可能性があるためおすすめできません。
また、まぶたがかゆいと目を洗いたくなりますが、過剰に洗うのは目に良くないほか、まぶたを乾燥させる原因となってしまうため注意が必要です。
まぶたを洗う際は、刺激を与えないよう優しく洗いましょう。目やまぶたはデリケートなため、なるべく水道水ではなく人工涙液(点眼薬)による洗浄が望ましいです。
まぶたのカサつきやかゆみが出る前に予防する方法
まぶたがカサカサしたりかゆみが出たりすると、肌荒れやストレスにもつながります。できれば、症状が出る前に防ぐことが望ましいです。
そこで、まぶたのカサつきやかゆみを予防するために行うと良いことを紹介します。
保湿剤を使ったスキンケアを行う
まぶただけではなく肌全体がカサカサする場合、乾燥肌になっている可能性があります。肌が乾燥するとかゆみが出やすくなります。カサつきやかゆみが出ないようにするには、日頃から十分な保湿を行うことが大切です。
カサつきやかゆみに悩む方は、洗顔後やお風呂あがりに毎回保湿剤を使ってスキンケアをすると良いでしょう。
保湿力が高いヘパリン類似物質やヒアルロン酸、セラミドなどが含まれるスキンケアアイテムの使用が望ましいです。ただし、目に入らないように注意しながら使用してください。
アイメイクは慎重に行う
はじめて使用するアイテムや濃いメイクは、まぶたに負担を与える可能性があります。
とくに、つけまつげ(接着剤)やアイテープなどは、まぶたへの刺激となりやすいため注意が必要です。まぶたが乾燥気味の際は、アイメイクを薄めにするなど配慮すると良いでしょう。
また、メイク用のスポンジやブラシ、チップなどが原因でかゆみが出る場合もあります。使い捨てのものを使用するか、メイク道具をこまめに洗浄し、清潔を保つことが大切です。
コンタクトレンズの使用方法を厳守する
洗浄が不十分なままコンタクトレンズを使い続ける、または使い捨てタイプを何日も装着するなどの不適切な使用は避けましょう。
装着時間の目安を超えて長時間使用するのも、目やまぶたの負担となってしまいます。なるべく負担をかけず、細菌感染を招くリスクを避けるためにも、コンタクトレンズは適切な方法で使用しましょう。
洗浄不足などを防いで清潔を保つには、1日使い捨てタイプのコンタクトレンズの使用が望ましいです。
花粉やハウスダストからまぶたを保護する
アレルギーが原因でまぶたがかゆくなる場合もあるため、アレルゲンを避けることも大切です。
花粉症の可能性がある方は、メガネやゴーグル、マスクを着用すると良いでしょう。
また、室内への花粉の侵入を防ぐことも重要です。帰宅時は花粉を払ってから入室する、花粉の飛散が多い時間帯は布団を干さない、換気にも注意するなど、配慮しましょう。
ハウスダストやダニ、ペットの毛が原因の場合は、こまめな掃除で除去することが望ましいです。掃除機による掃除に加えて、拭き掃除を行うとより効果が期待できます。
まぶたのカサカサやかゆみには適切な対処法を
まぶたがカサカサしたりかゆみが出たりするのは、さまざまな原因が考えられます。まぶたが乾燥するのも主な原因の1つであるため、日頃から保湿剤を使ったスキンケアを心がけることが大切です。
まぶたをかいたり過剰な洗浄をしたりすると、症状が悪化する場合があります。皮膚が薄い部位で刺激に弱いため、負担をかけるようなことは避けましょう。
なお、カサつきやかゆみの症状が重い場合や赤みや腫れをともなう場合は、目や皮膚の病気にかかっている可能性もあります。自己判断は避けて医療機関を受診しましょう。
赤須医院院長
山梨大学皮膚科、トロント大学病理学教室を経て、1998年六本木に赤須医院を開設。確かな臨床経験と美容に精通したきめ細やかな診療が定評。専門はニキビ、シミ、ホクロ、スキンケア全般。著書に「顔そりスキンケア」「2週間でつるつる美肌になる本」(マキノ出版)などがある。
○医学博士○日本皮膚科学会専門医○美容皮膚科学会会員○アメリカ皮膚病理認定医
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赤須医師よりコメント
まぶたのカサカサやかゆみの原因には、目の疾患をはじめ、皮膚の乾燥や化粧品などの外的刺激があります。対処方法は、まず患部を冷却して炎症を取り除くことが大切です。予防として、日頃から保湿剤で皮膚にうるおいを持たせることで、外部からのアレルギー物質の侵入を防ぐことができます。