コラム
COLUMN
皮膚に発疹が出て、原因がわからず悩んでいる方もいるのではないでしょうか?もともと乾燥肌でお悩みの方は、発疹の原因が乾燥肌と考えることもあるかもしれません。
そこで今回は、そもそも発疹とは何なのか、そして乾燥肌による発疹の原因である「皮脂欠乏症湿疹」について解説します。
発疹の改善方法や予防方法、乾燥肌の改善におすすめの成分も紹介するので、肌のトラブルに悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
そもそも発疹とは?
発疹とは、見た目に現れる皮膚の変化を意味します。見た目の変化の種類は以下のようなものがあげられます。
斑:皮膚が部分的に変色する(紅斑・紫斑・白斑・色素斑)
膨疹:皮膚が部分的に平たく盛り上がる
丘疹・結節・腫瘤:皮膚にぶつぶつができる(3cm以上は腫瘤と呼ばれる)
水疱・嚢胞:皮膚にできたぶつぶつの中に液状の内容物が入っている
嚢種:真皮内に内容物が入った袋状の発疹
発疹と湿疹の違い
発疹と似た言葉に「湿疹」というワードがありますが、以下のように異なる意味が異なっています。
発疹:皮膚の症状を説明する言葉(例:頭が痛い・倦怠感があるなどと同じ)
湿疹:病名・皮膚に起きる炎症の総称(例:インフルエンザ・気管支喘息などと同じ)
それぞれの言葉の使い方の例としては「アレルギー物質により発疹が出た」「この湿疹の種類はアトピー性皮膚炎だ」などがあげられます。
乾燥肌が原因で発疹ができることはある?
肌が乾燥すると皮膚のバリア機能が低下し、外部からの刺激が皮膚の知覚神経に作用しやすくなり、かゆみが生じます。
皮膚を掻くと皮膚のバリア機能はさらに低下し、発疹ができます。乾燥肌による発疹は、「皮脂欠乏性湿疹」である場合が多いです。乾燥肌により「アトピー性皮膚炎」の症状として発疹が出やすくなる場合もあります。
乾燥肌による発疹の原因「皮脂欠乏性湿疹(乾燥性湿疹)」とは?
皮脂欠乏性湿疹は、カサカサした肌、白い粉を吹いている、さざ波や鱗のように見える、などが特徴です。手足・スネ・ヒジ・目の回り・頬など乾燥しやすい部位に生じることが多く、かゆみ・ヒリヒリとした痛みを伴うこともあります。
掻くことで、二次的に皮膚が赤くなる、ブツブツができる、色素沈着が起きるなどの症状が生じます。身体が温まっているときにかゆみが出やすい傾向にあります。
乾燥肌による発疹の対処法
まず、かゆみがある場合には、かかないようにしましょう。かいてしまうと発疹が悪化する可能性があります。
また、乾燥による発疹の場合は保湿をしっかりすることが大切です。ただし、発疹がある場合は肌が敏感になっているため、普段使っている保湿剤がしみる場合は使わないようにしましょう。
肌が敏感になっているときは、低刺激で高保湿の保湿剤に変えてみるのも1つの方法です。肌を保湿しても症状が改善されない場合は、疾患の可能性もあるため医療機関を受診しましょう。
乾燥肌による発疹を予防する方法
乾燥肌による発疹を予防するには、何よりも乾燥肌を改善する必要があります。乾燥肌を改善する方法を以下で紹介していきます。
- 生活習慣の見直しをする
- 保湿を重視したスキンケアを行う
- 紫外線対策をする
- 乾燥しにくい衣類を選ぶ
生活習慣の見直しをする
乾燥肌を改善するためには、生活習慣の見直しとバランスの良い食生活が重要になります。
まず睡眠は皮膚の再生に必要なので、十分な睡眠時間をとることが大切です。睡眠時間をしっかり確保すること、質の良い睡眠がとれるように工夫することを心がけましょう。
食生活においては偏った食事にならないように、3食しっかり食べるよう心がけましょう。乾燥肌を改善するために必要な栄養素は、肌の材料である「タンパク質」をしっかり摂る必要があります。
そのほかにも、コラーゲンの生成を助ける、血液循環を促す、肌の抵抗力を高めるために、「必須脂肪酸」「ビタミンE」「ビタミンA」「ビタミンB郡」「ビタミンC」をバランス良く摂取しましょう。
保湿を重視したスキンケアを行う
乾燥肌を改善するためには、保湿を重視したスキンケアを行いましょう。
洗顔後・入浴後は乾燥しやすいので、なるべく早めに保湿剤をつけるようにしてください。強い刺激は皮膚のバリア機能にダメージを与えるため、保湿剤を塗る際には強く擦り込まないよう、やさしく丁寧にしましょう。
また、過度な洗顔は必要な皮脂を落としてしまうため1日2回程度に留めるようにしましょう。
紫外線対策をする
乾燥肌を改善するためには、保湿だけでなく紫外線対策も必要です。
過度な紫外線を浴びると角質層がダメージを受け、乾燥しやすくなるため日焼け止めを塗るのがおすすめです。
ほかにもUVカット効果のある衣類を着用する、日傘をさす、帽子をかぶるなどの対策をすると良いでしょう。紫外線対策は夏だけでなく、1年中続けることが大切です。
乾燥しにくい衣類を選ぶ
乾燥肌を改善し発疹を予防するためには、衣類の素材にも気を配ると良いでしょう。
衣類は、皮膚との間で摩擦を生み、とくに肌着類、セーター、靴下などが肌に影響を与えやすいです。ポリエステル、ナイロンなどの化学繊維、ウール、麻などの素材は摩擦が起きやすい傾向にあります。
コットン、シルクなど自然素材は摩擦が起こりにくいので、衣類を選ぶ際に参考にしてみてください。
乾燥肌の改善におすすめの成分
乾燥肌の改善には丁寧な保湿が重要です。その上で、おすすめの成分を以下で紹介します。
- ヘパリン類似物質
- ヒアルロン酸
- セラミド
ヘパリン類似物質
ヘパリン類似物質は人の肝臓で生成される糖類の一種「ヘパリン」に似た成分で、水分子を引き寄せて保持する保水効果が期待できます。
それ以外にも、血行促進・抗炎症の作用があります。またヘパリン類似物質配合の製品は、年齢を問わず使用できるという特徴があります。
初めて使う場合はご自身の肌に合うかどうか、医療機関・薬剤師に相談することが望ましいです。
ヒアルロン酸
ヒアルロン酸にも保湿効果が期待できます。ヒアルロン酸はもともと体内に存在します。
皮膚の中には繊維状のコラーゲンがあり、その繊維の隙間にあるヒアルロン酸が保水するという仕組みです。1グラムで6リットルもの水分を蓄えられます。
ヒアルロン酸を含むスキンケアアイテムには、高い保湿効果が期待できますが、アイテムによって作用は一時的なので、継続して使用する必要があります。
セラミド
セラミドは角質層に存在し、皮膚のなかにある水分が蒸発するのを防ぐ、外部の刺激から肌を守るといった役割があります。
セラミドは加齢により減少していくため、スキンケアアイテムで補うのが良いでしょう。
スキンケアと日常生活を見直し乾燥性湿疹を予防しよう
乾燥肌が原因でおきる発疹は「皮脂欠乏性湿疹(乾燥性湿疹)」である場合が多く、症状が気になる場合には皮膚科を受診しましょう。
皮脂欠乏性湿疹(乾燥性湿疹)の原因である乾燥肌は日常生活で予防することも可能です。生活習慣や食生活の改善のほかに、保湿に特化した成分の入ったアイテムで保湿するなどして、乾燥を予防しましょう。
日本皮膚科学会皮膚科専門医。
琉球大学医学部卒業/東京大学医学部附属病院皮膚科・都内美容皮膚科・形成外科勤務後、ココメディカルクリニックを開業。一般皮膚科、美容皮膚科、アレルギー外来、女性外来を行い、漢方薬などを用いた近代西洋医療と補完代替医療、伝統医学等を組み合わせて行う統合医療を積極的に取り入れている。
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乾燥肌治療薬
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第2類医薬品
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泉医師からのコメント
乾燥肌の予防は、日々のスキンケアや生活習慣で予防することができます。肌を清潔に保つ、外側と内側の両方向から潤いと栄養を補う、乾燥と刺激から守る、この3点を意識したケアを心がけましょう。