コラム
COLUMN
乾燥肌の原因には、空気の乾燥や紫外線など外的な要因もありますが、体の内側が関連している可能性も考えられます。
しかし、内臓疾患など、体内の異常が乾燥肌の原因となり得ることはあまり知られていません。
今回は、乾燥肌と内臓の関係や、乾燥肌の原因となる内臓疾患について説明します。また、体の内側から乾燥肌を改善する方法も紹介します。スキンケアだけでは乾燥肌が改善されない方は、内側からのケアを行う際の参考にしてください。
乾燥肌と内臓の関係
乾燥肌は加齢のほか、内臓の状態から引き起こされるケースもあります。
内臓に限らず、体の不調が肌荒れとしてあらわれることは少なくありません。乾燥肌に加えて、さまざまな肌トラブルの原因となり得ます。腸内環境の悪化によるニキビなどが代表例です。
内臓を含む体内の何らかの変化から間接的に影響を受け、乾燥肌や皮膚疾患を招く場合もあることを踏まえ、皮膚の表面だけでなく体の内側にも意識を向けてみましょう。
乾燥肌の原因となる内臓疾患とは?
乾燥肌の原因には空気の乾燥など外的なものもありますが、体内の状態に影響を受けることも多いです。
そのため、内臓疾患が原因で乾燥肌やかゆみが出るケースも考えられます。例えば、以下のような疾患が乾燥肌の原因になる可能性があります。
- 糖尿病
- 腎臓病
また、内臓疾患があると内臓の機能が低下してしまい、肌のターンオーバーが正常に働かなくなります。ターンオーバーとは肌が新しく生まれ変わること(新陳代謝)です。
内臓の機能が低下すると体の代謝が悪くなり、老廃物が排出されなくなる、血行が悪くなるといった問題が起きます。その結果、肌のターンオーバーも乱れ、肌の再生が妨げられ、うるおいの足りない状態になってしまいます。
乾燥肌の原因は内臓からなのか調べる方法
内臓疾患の有無や種類は、皮膚の状態からだけでは判断できません。
そのため、皮膚科のみの受診ではなく、内科による検査も必要です。問診や視診、血液検査などを行うことで、疾患やアレルギーなどを発見できます。
内科検診は健康診断でも行われることが多いですが、心配な方は早めに内科を受診すると良いでしょう。自覚症状のない方も、定期的に健康診断を受けることで疾患の予防や早期発見ができます。
乾燥肌を体の内側から改善する方法
乾燥肌は、必ずしも内臓疾患が原因とは限りません。ですが、乾燥肌に加えて体の不調が続く場合は、疾患の可能性を考えて早めに医療機関を受診しましょう。
なお、乾燥肌は保湿などのスキンケアだけでなく、日頃から体の内側からのケアも大切です。乾燥肌を体の内側から改善する方法を紹介します。
こまめな水分補給
水分の足りない状態が続くと、体調が悪くなるだけでなく肌も乾燥してしまいます。肌の内側まで水分を補うためには、こまめに水を飲むことが大切です。
水分補給により肌に水分を与えることで、乾燥肌の原因となるターンオーバーの乱れも改善されます。水分摂取の目安量は、1日あたり2リットルとされています。活動量などによっても必要な量は異なるため、目安量を基準に調整しながら補給しましょう。
睡眠時間を確保する
睡眠を十分にとると、成長ホルモンの分泌が促され肌が回復しやすくなります。成長ホルモンを分泌させるには、入眠から3時間深く眠ることが重要です。深い眠りが確保できるよう、入眠環境を整えましょう。
体温が下がると入眠しやすいため、入浴は就寝1時間前に済ませることが望ましいです。
また、就寝前の食事は控え、就寝時に血糖値を下げておきましょう。就寝前に脳を覚醒させないために、スマートフォンやテレビの使用を避けることも大切です。
栄養バランスの整った食事を摂る
タンパク質やビタミン類を中心に、肌に必要な栄養をバランス良く摂ることが望ましいです。糖質や脂質も適度に摂ると良いでしょう。脂質は、良質な植物油や魚油から摂取しましょう。
ビタミン類は、とくにA、B、C、Eが肌のうるおいを保ったり、ターンオーバー機能を正常化したりするのに役立ちます。
料理の品数が少なくても、肉や魚、野菜など多種類の食材を使うと、栄養バランスが整いやすいです。また、栄養バランスに加えて食事のリズムも重要です。朝食を摂ると排便が促され、便秘予防に役立ち、代謝も高まりやすくなります。
体を冷やすものばかり食べると、代謝が悪くなります。肌のターンオーバー機能も乱れやすくなるため、注意が必要です。菓子パンや清涼飲料水など糖分の多い食品も、なるべく控えるようにしましょう。
適度な運動を取り入れる
食事から摂取した栄養素を体内に行き渡らせるには、適度な運動を行い、血流を良くしておく必要があります。
血流が悪いと代謝が落ち、老廃物も溜まりやすくなり、肌荒れしやすくなってしまいます。日頃から運動不足にならないよう気を付けましょう。
適度な運動は筋肉量の維持に役立ち、代謝が良くなりやすいです。さらに、便秘解消効果やストレス解消効果も期待できます。
日常的に続けられるものが望ましいため、負担の大きいものではなく、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動を取り入れましょう。運動により汗をかくと老廃物が排出されやすくなり、肌が適度にうるおうというメリットもあります。
乾燥肌改善に効果が期待できる成分
乾燥肌が悪化しないよう、体の内側からだけでなく、適切なスキンケアをすることも大切です。スキンケアアイテムにはさまざまな種類がありますが、乾燥肌の方は保湿効果の高い成分を含むものを使用すると良いでしょう。
ヘパリン類似物質は、乾燥肌を改善する目的でも使われている保湿力が高い成分です。保湿力が高いだけでなく、血行促進や抗炎症作用もあるため、乾燥による肌荒れが気になる方にも適しています。
なお、有効成分としてヘパリン類似物質を含む保湿剤には、医薬品や医薬部外品があります。いずれの場合も、使用上の注意事項を確認して使いましょう。
乾燥肌は内臓が原因の場合も!定期的に健康診断を受けよう
乾燥肌の原因は、皮膚の表面だけでなく体の内側にあるケースも多いです。内臓疾患などの病気により、乾燥肌やかゆみが引き起こされる可能性もあります。
乾燥肌やかゆみが自宅でのスキンケアで改善しない場合は、まず皮膚科を受診すると良いでしょう。
それでも改善されない場合は、内臓疾患の可能性も考え、内科で検査を行うことが望ましいです。内科検診は健康診断でも受けられます。定期的に健康診断を受けて、ご自身の健康状態を把握しておきましょう。
日本皮膚科学会皮膚科専門医。
琉球大学医学部卒業/東京大学医学部附属病院皮膚科・都内美容皮膚科・形成外科勤務後、ココメディカルクリニックを開業。一般皮膚科、美容皮膚科、アレルギー外来、女性外来を行い、漢方薬などを用いた近代西洋医療と補完代替医療、伝統医学等を組み合わせて行う統合医療を積極的に取り入れている。
このコラムが気に入ったらシェアしよう!
乾燥肌治療薬
-
第2類医薬品
- クリーム
- ローション
- スプレー
- Hクリーム
- 泡フォーム
泉医師からのコメント
乾燥肌には、乾燥のほかにもさまざまな原因があり、ほかの病気が隠れていることがあります。健やかでみずみずしい肌を保つには、サプリメント(栄養補助食品)を摂ることもある程度は効果がありますが、規則正しくバランスの良い食事を摂ることの方がより大切です。