コラム
COLUMN
「ブツブツができる」「小さなしこりができる」「痒くなる」など、あごの肌荒れに悩んでいる方は多いかもしれません。
肌トラブルにはさまざまな種類がありますが、上述した症状が現れた場合には、あごニキビである可能性が高いです。ニキビ痕を残さないためにも、きちんとした治療が必要です。
そこで今回は、あごニキビの原因や、5つの予防方法を解説します。あごニキビに悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
あごの肌荒れ「あごニキビ」
若年層の肌のざらつきを調べると、額や頬、あごにできているのはニキビのごく初期段階のものであることが分かっています。
20代以降はあごにニキビができやすく、思春期にできるニキビに比べて治療しにくい上に再発しやすい特徴があります。
ニキビの種類には、白ニキビ・赤ニキビ・しこりを伴うニキビがあり、しこりを伴うニキビがもっとも重症です。放置せず、早めに治療したほうが良いでしょう。
あごニキビの原因となる内的要因
あごニキビの原因となる内的要因は以下のようなものがあります。
- 皮脂の過剰分泌
- 偏った食生活
- 睡眠不足
- ストレス
- ホルモンバランスの乱れ
ここからはそれぞれの内的要因を詳しく解説していきます。
皮脂の過剰分泌
あごは汗腺が少ないため乾燥しやすいです。皮膚が乾燥すると水分の蒸発を防ぐために皮脂が過剰に分泌され、毛穴に詰まってニキビとなります。
偏った食生活
揚げ物・ファーストフード・チョコレート・バター・チーズ・白米・パンなど高脂肪・高炭水化物食品を食べすぎると皮脂分泌が過剰になりやすいです。糖質が多く含まれているアルコールにも注意が必要です。
栄養が偏った食事ばかりだと、ニキビをはじめとした肌荒れが起きやすくなります。食事内容によるニキビのできやすさは、人によって異なります。さまざまなものを食べるなかで、自身は何を食べるとニキビができやすいのか把握しておくと良いでしょう。
睡眠不足
睡眠中には成長ホルモンが分泌され、皮膚のターンオーバーを促してくれますが、睡眠不足だとターンオーバーが乱れる原因となります。
ターンオーバーが乱れると古い角質が蓄積し、毛穴を塞ぎ毛穴のなかに皮脂が溜まって白ニキビとなります。
さらに、毛穴のなかでアクネ菌が増殖すると炎症がおきて赤ニキビとなり、炎症が悪化するとしこりを伴うニキビになります。
ストレス
ストレスを感じると自律神経が乱れ、通常よりも多く皮脂が分泌されてしまいます。
心理的ストレスだけでなく、生活習慣の乱れによるストレスにも目を向けなければいけません。ストレスが蓄積されると疲れにより免疫力が低下し、ニキビができやすくなります。
ホルモンバランスの乱れ
あごは男性ホルモンの影響を受けやすい部分です。男性ホルモンが優位になると皮脂の分泌量が増えるほか、角化異常が起こりやすくなります。
角質により毛穴が塞がると皮脂が毛穴のなかに溜まり、あごニキビにつながります。
あごニキビの原因となる外的要因
あごニキビの原因となる外的要因は以下のようなものがあげられます。
- 紫外線
- あごへの刺激
以下でそれぞれの要因について詳しく解説していきます。
紫外線
紫外線は肌にダメージを与え、ニキビを悪化させます。
紫外線による刺激で肌が乾燥し、水分の蒸発を防ごうと皮脂の分泌量が増えることで、皮脂が毛穴に詰まりやすくなり、ニキビができます。
あごへの刺激
男性はヒゲを剃る、女性は産毛を剃る、手で触るといった機会も多く、細菌が毛穴に入りやすいです。
あごはマフラー・襟・髪の毛などが触れる部分でもあり、細菌が毛穴に入りやすく刺激も受けやすいです。刺激により炎症が起きると毛穴が閉塞しやすくなるので、ニキビの発生につながります。
あごニキビを放置するとどうなる?
ニキビは皮膚疾患であるにも関わらず、いずれ治るだろうと軽視される傾向があります。しかし、適切な治療をせず悪化するとニキビ痕が残り、治すのに長期間を要します。
とくに赤ニキビ・しこりを伴うニキビができた場合には、悪化してニキビ痕が残る可能性があります。ニキビのダメージが真皮深層まで及んだ場合には、肌にクレーターのような凹凸が残ってしまいます。クレーターができると元の肌状態に戻すのが難しくなるため、ニキビは重症化する前の段階で治療するようにしましょう。
あごニキビの予防する5つの方法
ここからは、あごニキビを予防する5つの方法を紹介します。
- 泡立てた洗顔料でやさしく洗顔する
- 適切なスキンケアを行う
- 栄養バランスの良い食事を心がける
- 必要な睡眠時間を確保する
- ストレス解消法を見つける
それぞれの予防方法を詳しく解説していきます。
1.泡立てた洗顔料でやさしく洗顔する
余分な皮脂や汚れを落とすためには洗顔が非常に重要です。洗顔を行う際には、洗顔料をしっかりと泡立てて、摩擦を起こさないようにしましょう。洗顔が終わったら、洗顔料が残らないようにぬるま湯ですすぎます。洗いすぎは肌荒れにつながるので、朝晩の1日2回を目安にしましょう。
2.適切なスキンケアを行う
皮脂が多いと、保湿をしないほうが良いと考えてしまう方も多いでしょう。
しかし、肌が乾燥すると皮膚が水分を保持するために余計に皮脂を分泌するので、保湿はしっかり行うべきです。
肌が乾燥しやすい方は保湿効果が高いヘパリン類似物質やセラミドが配合された保湿剤がおすすめです。ご自身の肌質に合ったタイプのスキンケアアイテムを選びましょう。
3.栄養バランスの良い食事を心がける
あごニキビを予防するためには、ニキビを誘発する高脂肪・高炭水化物食品などの過剰摂取を控えるようにしましょう。
以下のような肌に良いとされている食べ物をバランス良く取り入れるよう、心がけてみてください。
- タンパク質(肉・魚)
- 必須脂肪酸(青魚・ナッツ類・えごま油・アマニ油)
- 食物繊維(きのこ・海藻・さつまいも)
- ビタミンB郡(レバー・卵・納豆)
- ビタミンC(ブロッコリー・フルーツ類)
- ビタミンA(ほうれん草・にんじん・うなぎ)
- ビタミンE(ナッツ類・緑黄色野菜・うなぎ)
- 亜鉛(牡蠣・レバー・牛肉・卵)
偏って食べるのではなく、バランス良く摂取することが重要です。
4.必要な睡眠時間を確保する
寝不足はニキビの原因となるため、自身に必要な睡眠時間をしっかり確保する必要があります。肌の成長ホルモンは入眠後約3時間後から分泌されるといわれています。
また、ただ寝るだけでなく、質の良い睡眠をとるよう意識しましょう。ブルーライトは睡眠の質を下げるため、就寝前にスマートフォンを見ることを控えたり、シャワーのみでなく湯船につかって体を温めたりして、睡眠の質向上のための工夫をしてみましょう。
5.ストレス解消法を見つける
ストレスはニキビの原因となるため、自身にとってのストレス解消法を見つけ、実践しましょう。
運動はストレス解消になりますが、運動が苦手な方にとっては反対にストレスになる場合もあるので、散歩などから始めてみると良いかもしれません。
ほかにも、アロマテラピー・呼吸法・ヨガなど、リラクゼーションを生活に取り入れるのもおすすめです。
また、暴飲暴食・多量のアルコール摂取など、体の負担になるストレス解消法を選ばないようにしましょう。
適切なケアをして繰り返すあごニキビを改善しよう
あごニキビができる原因には、内的要因と外的要因があるので、両面から対策することが大切です。
適切な洗顔やスキンケア、食生活、睡眠、ストレスのコントロールにより、あごニキビを予防できる可能性が高まりますが、ニキビが悪化する前に皮膚科などに相談するのも1つの選択肢です。
ニキビの予防方法は肌をきれいにすることにもつながるので、できることからぜひ実践してみてください。
日本皮膚科学会皮膚科専門医。
琉球大学医学部卒業/東京大学医学部附属病院皮膚科・都内美容皮膚科・形成外科勤務後、ココメディカルクリニックを開業。一般皮膚科、美容皮膚科、アレルギー外来、女性外来を行い、漢方薬などを用いた近代西洋医療と補完代替医療、伝統医学等を組み合わせて行う統合医療を積極的に取り入れている。
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泉医師からのコメント
顎は男性ホルモンの影響を受けやすく、汗腺に比べて皮脂腺が発達しているため、ホルモンバランスの乱れやスキンケア不足によりニキビが生じやすくなります。規則正しい生活と適切なスキンケアが顎の肌荒れにつながります。