コラム
COLUMN
40代になると、乾燥肌をはじめとした肌トラブルが気になり始める方は多いかもしれません。
そこで今回は、40代になると肌が乾燥しやすくなる理由や、乾燥肌の対策方法、乾燥肌におすすめのスキンケア成分について解説します。
40代になってから肌の変化が気になり始めた方はぜひ参考にしてください。
乾燥肌をはじめとした40代の肌トラブル
40代になると、さまざまな肌トラブルが目立つようになります。主な肌トラブルを以下で紹介します。
- しみ
- しわ
- 毛穴の開き
- 肌荒れ
- 乾燥肌
なかでも、乾燥肌はほかの肌トラブルの原因になるので注意が必要です。
肌は見た目の年齢にも大きく関係します。同じ40代でも、ケアをしている方とそうでない方では肌の状態が異なります。40代になったら、スキンケアの見直しをしてみましょう。
40代になって肌が乾燥しやすくなる理由
年齢を重ねると、肌は乾燥しやすい傾向にあります。とくに40代以降は注意が必要です。以下では、40代になって乾燥肌になる理由を解説します。
皮脂の分泌量が減少する
40代以降になると、皮脂の分泌量が減少します。20~30代は、分泌される皮脂量がほとんど変わらない傾向にありますが、40~50代は60%まで減少したというデータがあります。
皮脂量が少なくなると皮膚の水分が蒸発し、乾燥肌につながります。皮膚の表面を覆っている皮脂膜や皮膚の表にある角質層は、アレルギー原因物質や細菌、ウイルスなどから肌を守るバリア機能の役割を果たしています。
皮脂膜が不足し乾燥により角質層が剥がれると、バリア機能は弱まりかゆみや肌荒れなどのトラブルを引き起こします。
女性ホルモンが減少する
女性の平均閉経年齢は50.5歳で、閉経の前後5年間が更年期と呼ばれます。40歳をすぎると徐々に女性ホルモンの分泌が減少していき、さらに更年期になると女性ホルモンの分泌が不安定になります。
女性ホルモンのエストロゲンは、女性らしい体をつくるホルモンです。エストロゲンは、肌のうるおいを保つのに必要なコラーゲンを増やしたり、皮脂分泌を促したりする役割があります。よってエストロゲンの分泌量が減ると肌が乾燥しやすくなります。
コラーゲン量が低下する
コラーゲンは、皮膚の真皮や靭帯、腱、骨、軟骨などを構成するタンパク質の一種です。皮膚のなかにはコラーゲンの線維が張り巡らされており、隙間に保湿成分のあるヒアルロン酸が保持されて、肌にうるおいをもたせています。
40代になると女性ホルモンの減少の影響もあり、コラーゲンの量が減少します。コラーゲンの量が減少することによって肌が乾燥しやすくなるほか、シワが目立つようになります。
光老化の影響が表に出始める
加齢にともなう皮膚の変化には、年齢を重ねることでおきる生理学的老化と、紫外線による光老化があります。紫外線による肌へのダメージは、長年にかけて蓄積されるものです。
紫外線は皮膚の奥に入り込んでコラーゲンの変性を引き起こします。また、肌のバリア機能を低下させるので、肌が乾燥しやすい状態になります。
紫外線を浴びる量は人によって異なります。加齢に伴う皮膚の変化を防ぐのは難しいですが、光老化は意識すれば抑えられるのがポイントです。
体が冷えやすくなる
体が冷えると皮脂腺の働きが低下し、肌が乾燥しやすくなります。脂肪は温まりにくく、筋肉は体温を上昇させる特徴がありますが、女性は男性に比べて脂肪が多く筋肉量が少ないため冷えやすい傾向にあります。
また、40代になると、加齢による筋肉量の低下でより体が冷えやすくなります。さらに更年期になるとホルモンバランスの乱れにより自律神経の不調が発生し、乾燥肌をはじめとする肌トラブルが出やすい傾向にあります。
乾燥肌の対策方法
以下では、乾燥肌の対策方法を紹介していきます。スキンケアはもちろん、食生活や生活習慣なども乾燥肌と関係があるのでチェックしてみてください。
生活習慣を見直す
ちょっとした生活習慣が、乾燥肌につながっている場合があります。乾燥肌を予防・改善する生活習慣は以下になります。
- 入浴時に熱い湯船につかったり、熱いシャワーを浴びたりしない
- 体や顔を洗うときにゴシゴシこすらない
- 喫煙を控える
- 睡眠を1日7時間以上とる
- 運動習慣をつける
入浴時に熱い湯船につかったり、熱いシャワーを浴びたり、体をゴシゴシ洗ったりすると、皮脂が流されて乾燥しやすくなるので注意しましょう。
タバコを吸うと、皮下のコラーゲンが破壊されるので、喫煙習慣がある方には禁煙をおすすめします。
また、睡眠不足は成長ホルモンの分泌の低下につながり、乾燥肌を招きます。睡眠は1日6~7時間とるのが理想です。運動習慣をつけて血流を促進させて体を温めるのもおすすめです。
自身ができることから、少しずつ習慣づけていきましょう。
食生活を見直す
胃腸に負担のかかる食事は肌トラブルの原因になります。肌の健康を保つために、栄養が不足しないよう気をつけましょう。
肌のために摂りたい栄養成分と主な食べ物は以下になります。
- タンパク質:肉類・魚介類・卵・大豆・チーズ
- 炭水化物:ごはん・パン・麺
- ビタミンA:レバー・うなぎ・人参・卵
- ビタミンB1:豚肉・大豆・玄米
- ビタミンB2:レバー・納豆・うなぎ・牛乳
- ナイアシン:たらこ・きのこ類・アボカド・豆腐・ぬか漬け
- ビタミンB6:かつお・まぐろ・バナナ・にんにく
- ビタミンB12:牛レバー・鶏レバー・カキ・あさり
- ビタミンD:鮭・サバ・きくらげ・卵
- カルシウム:小魚・海藻・牛乳・チーズ・小松菜
- 鉄:レバー・カキ・ほうれん草・ひじき
- 亜鉛:カキ・赤身肉・甲殻類・うなぎ・たまご・チーズ
肌に良い食べ物は健康にも良いです。40代は体の不調も増えてくるので、バランスの良い食事を心がけましょう。
紫外線対策をする
光老化を防ぐためには、紫外線対策を行いましょう。具体的な紫外線対策の方法は以下になります。
- 日焼け止めを使用する
- 紫外線の強い時間帯を避けて行動する
- 日傘や帽子を利用する
- UVカット機能がある衣服を着用する
光老化は今まで蓄積されてきたものが影響しますが、40代から対策をはじめても遅くはありません。
部屋を加湿する
部屋が乾燥していると、皮膚の水分が蒸発して乾燥肌になりやすくなります。とくに冬は空気が乾燥しやすいですが、夏のエアコンによる乾燥にも注意が必要です。部屋の湿度は、50~60%を維持しましょう。
部屋の乾燥防止には、加湿器の使用や洗濯物の室内干し、観葉植物の設置などがおすすめです。オフィスが乾燥する場合には、持ち歩き可能なポータブル加湿機を利用すると良いでしょう。
適切なスキンケアを行う
乾燥肌の予防には、保湿を重視したスキンケアが必要です。40代になると、今まで乾燥肌でなかった方も、乾燥している場合が多いです。今一度、スキンケア用品の見直しを行いましょう。
乾燥肌を予防するためには、洗顔料の使い分けもポイントです。洗浄力が強いと必要な皮脂が流れ落ち乾燥肌の原因になりますが、汚れが肌に残ってしまうのも良くありません。ナチュラルメイクの日としっかりメイクの日で、洗浄力の違う洗顔料を使い分けるようにしましょう。
洗顔後は化粧水でしっかり水分を補給し、乳液やミルクで水分が蒸発しないように蓋をするのも大事なポイントです。
乾燥肌におすすめの成分
乾燥肌の方は、保湿を重視するべきです。以下では、スキンケアアイテムを選ぶ際にチェックすべき成分を紹介します。
セラミド
セラミドはもともと人の皮膚の一番外側に位置する表皮に含まれており、角質層のうるおいを保っていますが、加齢によって減少します。
セラミドが不足すると、肌が乾燥し乾燥肌や敏感肌を引き起こしやすくなります。そして乾燥肌はさらなるセラミド減少の原因になります。
セラミドのスキンケアアイテムには、保湿機能だけでなく肌のバリア機能を高める保護効果も期待できるでしょう。選ぶ際はセラミドを多く含んだ商品を選ぶのがおすすめです。
コラーゲン
コラーゲンはタンパク質の一種で、皮膚だけでなく血管や内臓、骨組織を構成する成分の1つです。肌の一番外側は表皮と呼ばれ、その下の真皮と呼ばれる層の約70%はコラーゲンでできています。
コラーゲンの形は繊維状で、肌の土台としてハリや弾力を維持していますが、加齢や光老化の影響で減少します。
コラーゲン入りのスキンケアアイテムは、高い保湿効果があるため、乾燥肌の方に適しています。しかし、コラーゲンが含まれるスキンケアアイテムを使っても、体内のコラーゲンが増えるわけではないことを覚えておきましょう。
ヒアルロン酸
ヒアルロン酸は、1gで2~6Lもの水分を蓄えられる成分です。真皮を構成するコラーゲンが柱の役目を担っているとすると、ヒアルロン酸はその中を潤す保湿成分です。ヒアルロン酸は、皮膚だけでなく関節や血管、脳液にも存在しています。
ヒアルロン酸入りのスキンケアアイテムは保湿効果が高く、さまざまな種類のアイテムが販売されています。
プラセンタ
プラセンタとは胎盤のことで、栄養が多く、医薬品の原料としても使用されています。プラセンタには、豚・馬・羊を使った動物性プラセンタ、ヒト由来プラセンタ、植物性プラセンタなどの種類があります。
スキンケアアイテムを選ぶ際には、プラセンタエキスの配合量が多いものを選ぶのも良いでしょう。
乾燥肌を治すなら医薬品の「ヘパリン類似物質」もおすすめ
ヘパリン類似物質とは、ヒトの肝臓でつくられる糖類の一種である「ヘパリン」とよく似た成分で、水分子を引き寄せて保持する特徴があります。ヘパリン類似物質が含まれた化粧水もありますが、乾燥肌を改善したい方は医薬品を選ぶと良いでしょう。
医薬品のヘパリン類似物質は保湿・血行促進・抗炎症の効果があります。軟膏・クリーム・ローションなどのタイプがあるので、部位や症状によって使い分けましょう。ただし、医薬品のヘパリン類似物質を使用する際は使用上の注意をよく読んでから使うようにしてください。
40代は乾燥肌になりやすい!日頃から対策を意識しよう
40代になると、乾燥肌をはじめとしたさまざまな肌のトラブルが現れやすくなります。乾燥肌は、ほかのトラブルにつながる場合が多いので、早めに対処しましょう。
スキンケアアイテムを選ぶ際には、コラーゲンやヒアルロン酸、セラミドなどが含まれたものがおすすめです。乾燥肌の改善のためには、医薬品のヘパリン類似物質も良いでしょう。
スキンケアとあわせて食生活などの生活習慣を見直し、乾燥肌を改善していきましょう。
日本皮膚科学会皮膚科専門医。
琉球大学医学部卒業/東京大学医学部附属病院皮膚科・都内美容皮膚科・形成外科勤務後、ココメディカルクリニックを開業。一般皮膚科、美容皮膚科、アレルギー外来、女性外来を行い、漢方薬などを用いた近代西洋医療と補完代替医療、伝統医学等を組み合わせて行う統合医療を積極的に取り入れている。
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- Hクリーム
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泉医師からのコメント
40代の肌の変化は、年齢による女性ホルモンや三大保湿因子の皮脂膜(皮膚の表面で水分の蒸発を防ぐ)、天然保湿因子(NMF)(水分を抱える)、細胞間脂質(セラミド)の機能低下が主な原因です。日頃から、正しいエイジングケアを意識することが重要です。