コラム
COLUMN
なぜか体や顔の一部だけが乾燥しやすく、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。乾燥はかゆみや湿疹などのトラブルにつながりやすいので、早めに対処することが大切です。
今回は、部分的な乾燥が起こりやすい部分と、乾燥が起きる原因、乾燥肌の改善方法を紹介します。
部分的な乾燥にストレスを感じている方は、ぜひ参考にしてください。
体や顔の一部分だけが乾燥しやすいときの症状
乾燥肌と一口にいっても、全身の乾燥に悩んでいる方と、体や顔の一部分だけの乾燥に悩んでいる方がいるでしょう。体の一部分だけが乾燥したときも、全身が乾燥したときも同じような症状が現れます。
症状としては、皮膚のカサカサ感やつっぱり感を感じる場合が多いです。そのほかに、粉がふいたり、ひび割れが起きたりするケースもあります。どちらも入浴後や洗顔後に症状を感じやすいのが特徴です。
また、空気が乾燥しやすい冬に症状が強く現れる傾向があります。
乾燥肌は刺激に弱く、悪化して皮脂欠乏性湿疹になる場合もあります。皮脂欠乏性湿疹の症状は強いかゆみです。掻きすぎるとさらに悪化してしまうので、早めに治療することが大切です。
以下では、顔周辺で乾燥しやすい部分と体で乾燥しやすい部分をそれぞれ紹介しています。
顔の乾燥がしやすい部分
顔周辺で乾燥しやすい部分は、目元・口周り・頬などです。とくに目元は前髪が刺激になり、乾燥による湿疹ができやすい部分です。気になる方は前髪が額にかからないようにしましょう。
また、口周りの乾燥は、湿疹ができると食べ物や飲み物の刺激で治りにくい傾向があります。唾液も皮膚にとっては刺激となるので舐めるのは厳禁です。
乾燥した頬は、マスクの擦れによる刺激で湿疹ができる場合があります。肌がヒリヒリと痛むときは、メイクは控えるようにしましょう。
体の乾燥がしやすい部分
体で乾燥しやすい部分は、前腕・脇の下の周り・腰回り・背中・すねなどがあげられます。
乾燥した部分は刺激に弱く、服のすれや腰の締め付けなどが原因で乾燥性の湿疹ができやすい傾向にあります。
部分的に乾燥が起きる原因
部分的な乾燥が起きる原因は、体のそれぞれの部分の皮脂腺の数や皮脂の分泌量に関係しています。
以下で、それぞれの原因について詳しく説明します。
皮脂腺が少ない
皮脂腺とは皮脂を分泌する器官です。皮脂と汗が混じると皮脂膜ができ、皮膚の水分の蒸発や乾燥を防ぎます。
体中の皮膚の構造は、基本的に大きな違いはありません。しかし、皮脂腺が多い部分と少ない部分はあります。皮脂腺が少ない部分は、皮膚の水分が蒸発しやすく乾燥しやすい傾向にあります。
とくに口周り、肘、膝やすねは皮脂腺が少なく乾燥しやすいです。一方で皮脂腺が多い胸部や背面中央などは、比較的乾燥しづらいですが、にきびができやすい傾向にあります。
皮脂の分泌量が少ない
人は、体質だけでなく年齢によっても皮脂の分泌量が変化します。とくに子どもや高齢者は皮脂の分泌量が少なく、肌が乾燥しやすいです。そのため、皮膚のトラブルが起こりやすいです。
成人でも、寒い時期には皮脂の分泌量が少なくなります。体は体温の低下を防ぐために、皮膚への血液量を減らします。血液量が減ることで皮膚の代謝が低下し、皮脂の分泌量も少なくなります。
入浴の仕方に問題がある
部分的な乾燥には、入浴の仕方も大きく関連しています。体を洗う際に強くこすりすぎると必要な皮脂まで落としてしまうので、肌が乾燥しやすくなるでしょう。
また熱いお湯は、皮膚の皮脂成分を溶かします。湯船のお湯やシャワーの温度は、38~40度くらいがおすすめです。水圧の強いシャワーも皮脂を洗い流すので注意が必要です。
入浴後に水分をふき取る際には肌を傷つけないよう、こすらずタオルでやさしく包むようにしましょう。
【部分ごとのスキンケア】乾燥を改善する方法
スキンケアの方法は、顔と体で異なります。それぞれの部位に合ったスキンケアを行うようにしましょう。以下では、部分ごとの適切なスキンケア方法を紹介します。
顔周辺の乾燥に適したスキンケア方法
顔周辺のスキンケアは、まずぬるめのお湯で洗顔料をしっかり泡立て、優しく洗顔をします。清潔なタオルでこすらずに水分を取り除いたら、化粧水を適量つけましょう。
美容液をつける場合には、化粧水の後につけるのが正しい順序です。その後に、乳液やクリームなどをつけてください。
入浴後にスキンケアを行う際は、肌の水分が蒸発しないうちに速やかに行うことがポイントです。
乾燥肌に適した成分は、保湿力が高いセラミドやヒアルロン酸、ヘパリン類似物質などです。肌が乾燥したときは刺激に反応しやすいため、敏感肌用のスキンケアアイテムを選ぶと良いでしょう。
体の乾燥に適したスキンケア方法
体のスキンケアは、入浴後に行いましょう。タオルで優しく体を拭いてから早めに保湿ケアをするのがポイントです。体には化粧水ではなく、ボディローションやボディクリームを使ってください。
ボディローションはテクスチャが軽く、ボディクリームのほうがテクスチャは重めで油分が多い傾向にあります。ボディローションだけでは乾燥が気になる場合には、ローションを塗った上からボディクリームをつけるのがおすすめです。
顔、体ともに乾燥がひどい部分には、保湿力が高い白色ワセリンを塗ってみるのも良いでしょう。
部分的な乾燥を根本から改善する方法
部分的な乾燥は、スキンケアだけではなかなか改善できません。日々のスキンケアとあわせて、根本から改善させていきましょう。
乾燥を根本的に改善するには、「保湿に必要な栄養素を積極的に摂る」「運動によって血行促進を促す」「睡眠をしっかり取る」などがあげられます。
以下では、それぞれの改善方法を詳しく解説します。
保湿に必要な栄養素を積極的に摂る
部分的な乾燥を根本から改善するには、食生活の見直しが必要です。ここでは、健康的なうるおいのある肌を作るのに必要な栄養素を紹介します。
- タンパク質:肉類、魚類、卵、大豆製品、乳製品に多く含まれる
- オメガ3系脂肪酸:アマニオイル、エゴマ油、青魚に多く含まれる
- ビタミンA:レバー、うなぎ、ホウレンソウに多く含まれる
- ビタミンB群:レバー、うなぎ、納豆、卵に多く含まれる
- ビタミンE:ごま、ナッツ類、アボカドに多く含まれる
- ビタミンC:いちご、キウイ、野菜に多く含まれる
ファーストフードやインスタント食品は、炭水化物やトランス脂肪酸、植物性油脂が多く、代謝に必要なビタミンB群を消費してしまうので注意しましょう。
また、塩分の摂りすぎも体内の水分量を減少させます。水分をこまめに摂るよう心がけることも大切です。
運動によって血行促進を促す
部分的な乾燥肌を根本から改善するためには、運動の習慣を取り入れましょう。運動をすると血行が促進され、肌に必要な栄養が運ばれやすくなります。
反対に運動不足は老廃物の蓄積や血行不良の原因になり、肌のターンオーバーを乱す原因になるため、注意が必要です。
乾燥肌の改善に適した運動は、有酸素運動です。有酸素運動は、体内の血行や肌の代謝を促してくれます。具体的には、ランニングやウォーキング、エアロバイクなどがおすすめです。
睡眠をしっかり取る
部分的な乾燥の改善を図るには、睡眠をしっかり取ることも大切です。入眠すると約3時間で、肌の代謝に必要な成長ホルモンが分泌されます。睡眠は6時間以上取るのが理想です。
寝つきが悪い方は、就寝前1時間には脳を覚醒させるスマートフォンやテレビを見ないようにしましょう。就寝前のカフェインも避けるようにしてください。
就寝する2~3時間前に入浴すると、眠るときに体温が下がり眠りやすくなります。
部分的な乾燥には適したケアと根本からのケアが大切
人の体には、皮脂腺が多い部分と少ない部分があり、皮脂腺が少ない箇所は乾燥しやすいです。また、皮脂量の分泌が少なかったり、入浴の仕方に問題があったりすると部分乾燥が起きやすいでしょう。
部分ごとに適したスキンケアを行い、乾燥を予防することが大切です。根本的な改善策として、食事や生活習慣の見直しを行うのも忘れてはいけません。
なかなか改善しない乾燥肌には、保湿力が高いセラミドやヒアルロン酸、ヘパリン類似物質が入ったローションやクリームを試してみるのも良い方法です。不安がある方は、皮膚科や薬剤師に相談をしましょう。
乾燥が悪化し、かゆみや赤み、ひび割れなどの症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
日本皮膚科学会皮膚科専門医。
琉球大学医学部卒業/東京大学医学部附属病院皮膚科・都内美容皮膚科・形成外科勤務後、ココメディカルクリニックを開業。一般皮膚科、美容皮膚科、アレルギー外来、女性外来を行い、漢方薬などを用いた近代西洋医療と補完代替医療、伝統医学等を組み合わせて行う統合医療を積極的に取り入れている。
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泉医師からのコメント
健やかでみずみずしい肌は、健康でなければ保てません。規則正しい生活習慣やバランスのとれた食事、スキンケアが大切です。乾燥肌が季節にかかわらず長期間続き、適切なケアをしていても治らない場合には皮膚科受診を検討されるといいでしょう。