コラム
COLUMN
大気も乾燥しがちな寒い季節には、肌が乾燥してかゆみを伴うことがあります。かゆみや赤みとともに炎症が広がり、掻いてしまうと、さらに状態がひどくなり膿が出るほど悪化してしまう場合もあります。
そこで今回は、乾燥肌で膿が出る原因と治療法、乾燥肌を悪化させないための5つの対策ポイントをお伝えします。
乾燥肌で膿が出てくる症状
肌が乾燥すると、外部刺激から肌を守る「バリア機能」が低下し、かゆみを伴う場合があります。しかし、かゆいからと爪で掻いてしまうと、肌が傷つき患部が化膿して膿が出てくることがあります。
化膿とは、傷部分から異物や細菌が入り炎症を起こし、赤みや痛みとともに膿が出てくる症状です。
かゆみを伴う乾燥肌は悪化すると、かゆい部分に赤い湿疹ができてきて、さらにひどくなると水疱ができて化膿症状まで発展してしまうことがあります。
膿が出てくる原因は?
膿が出てくる原因は、傷口から細菌などが感染することで起きる化膿です。しかし、化膿の原因は乾燥肌だけではありません。
湿疹から化膿することが多いですが、湿疹の原因は重度の乾燥だけでなく、外部の刺激などさまざまな要因が絡み合っている場合が多いといわれています。
ほかにも、飲み薬や塗り薬、刺激物やアレルゲンへの接触、感染症なども湿疹の原因になることがあります。
湿疹の症状が長期間続くと、肌が乾燥しゴワゴワになったり、色素沈着を起こしたりすることもあります。
乾燥肌で膿が出てきた場合の治療法
では、膿が出るほど炎症している場合、どのような治療法があるのでしょうか。化膿した乾燥肌は、放置していると掻き壊してしまいさらに悪化させてしまう可能性があります。
かゆくても掻かないようにし、かゆみや赤みがひどい場合は、早めに皮膚科を受診するのが望ましいです。ここでは、乾燥肌で膿が出てきた場合の治療法を解説します。
●内服薬や軟膏で治療する
膿が出るほどの乾燥肌で皮膚科を受診すると、かゆみや炎症の抑制が期待できるステロイド外用薬や抗ヒスタミン内服薬を処方されることがあります。
医師の指示に従い、薬を服用したり、塗布したりして治療を行っていきます。治療中もかゆみを感じる場合がありますが、治りかけの皮膚を掻くと悪化させることがありますので、掻かないようにしましょう。
●湿疹の原因を取り除く
乾燥肌が原因と考えられる湿疹も、着ている衣服の素材やゴムによる擦れや締め付けなどの外部刺激や、飲んでいる薬や食品などの内的要因と絡み合っている場合があります。
まずは湿疹のできている場所やかゆくなるタイミングを見て、湿疹の原因と考えられる原因を取り除きます。
とくに直接肌に触れる衣服は、影響が大きいので綿のものに変えるのもおすすめです。必要に応じて、飲んでいる薬や食品も見直してみましょう。
化膿につながる乾燥肌対策の5つのポイント
肌にとって乾燥は大敵です。乾燥肌は膿が出るだけでなく、かゆくなったり粉をふいたようになったりとさまざまな皮膚トラブルをまねく可能性があります。乾燥肌にならないために、生活に取り入れられる5つの対策ポイントを紹介します。
●まずはしっかり保湿
乾燥肌を予防するには、しっかり保湿して肌のバリア機能を高めることが大切です。化粧水や乳液、クリーム、保湿剤を活用して肌に水分と油分を補います。
スキンケアは、ヒアルロン酸やグリセリンなど保水力のある成分が配合されたものがおすすめです。
また、肌を乾燥させないためには、室内の加湿も必要です。加湿器などを活用し、部屋の湿度を適度に保つようにしましょう。
●紫外線対策をする
シミやシワの原因として広く知られている紫外線ですが、実は乾燥肌も引き起こす可能性があります。
紫外線を長時間浴びると肌がダメージを受けるので、日焼け止めなどでUV対策をするようにしましょう。
とくに夏など紫外線が強い季節は、肌が軽いやけどのような状態になり、炎症することもあります。日焼けした肌は、角質層がダメージを受けているので乾燥しやすくなります。
●睡眠は十分にとり、ストレスをためない
乾燥肌にならないためには、睡眠も重要です。肌は約1ヶ月のサイクルで生まれ変わっていると考えられており、これをターンオーバーとよびます。
肌は生まれ変わることで乾燥から守る「バリア機能」を保ち、うるおった肌をキープしていると考えられています。
睡眠不足など不規則な生活習慣は、自律神経を乱れさせ、このターンオーバーに影響を及ぼす可能性があります。
生活習慣のほかにストレスも自律神経を乱れさせるといわれており、乾燥肌の原因になる場合があります。
日頃から、軽い運動をしたり、好きなことをしたりして適度にストレスを発散し、睡眠は十分にとるようにしましょう。
●適切な入浴方法で肌を乾燥させない
入浴や洗顔は肌をお湯にさらしたり洗い流したりするので、一歩間違えるとバリア機能を崩す原因になりかねません。入浴は毎日するので、間違った方法を続けていると乾燥肌がひどくなってしまう可能性もあります。
まず大切なのは、42℃以上の熱いお湯ですすいだり、浸かったりしないことです。熱いお湯は、肌に必要な皮脂を過剰に洗い流してしまう可能性があります。
顔や体を洗うときは肌をゴシゴシこすらないようにし、水流の強いシャワーで洗い流さないようにしましょう。
肌に負担をかけないように、顔や体を洗うときはしっかりと泡立てて、綿素材のものや手で優しく洗うようにします。
●栄養バランスのとれた食事を摂る
食事により栄養素を摂り入れることも、大事な乾燥肌対策のひとつです。うるおいのある肌を保つためには、栄養バランスのとれた食事が必須です。
とくに乾燥肌の方に摂っていただきたい栄養素は、タンパク質、ビタミン類、亜鉛、必須脂肪酸です。
まず、肌をつくる材料となるタンパク質は、ターンオーバーを活発にします。タンパク質には、肌の弾力を保つコラーゲンも含まれているため、うるおった美しい肌をつくるために必要な栄養素です。
ビタミンAは肌にうるおいを与え、ターンオーバーの働きを助けるといわれており、ビタミンB2、6、12もターンオーバーを整え肌荒れを防いでくれるといわれています。亜鉛もターンオーバーを整える効果が期待されている栄養素です。
必須脂肪酸は、肌の表面を覆い乾燥を防いでくれる皮脂の材料です。皮脂が少なくなると乾燥肌になりやすくなるだけでなく、外部刺激にも敏感になります。
まずはしっかり乾燥肌を予防!膿が出た場合は早めに医師に相談を
乾燥肌は、膿が出るほど悪化する前に対策することが大切です。乾燥肌にならないために、食事や睡眠などの生活習慣のポイントを抑えて予防し、保湿や加湿もしっかり行いましょう。
それでも乾燥肌が悪化し、膿が出るほど化膿してしまった場合は、早めに皮膚科を受診してください。
金沢医科大学医学部を卒業後、大学病院で小児科、市中病院で内科医として勤務。皮膚科、美容皮膚科でも研鑽を積み、2018年クリスタル医科歯科クリニックにて内科、アレルギー科、美容皮膚科を開設。内科院長として勤務。
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乾燥肌治療薬
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第2類医薬品
- クリーム
- ローション
- スプレー
- Hクリーム
- 泡フォーム
中島医師よりコメント
肌が乾燥すると痒みを生じ、爪で皮膚を掻くことで表皮が傷つきそこに細菌が繁殖すると化膿する場合があります。化膿する前に皮膚の異常を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。毎日保湿を行い乾燥を予防することも大切です。